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Disc-01:イントロダクション

相原 あきと/百年の虚読



 あらすじ


 一度プレイしたら二度とログアウトできない、ゲーム内での死亡は現実での死を意味する。

しかしトゥルーエンドを見た者はどんな願いも叶うと言う……

そんな都市伝説を持つMMORPGゲーム『ダブルクロスαテスト版』。

生浄院学園料理部のメンバーは、ゲーム好きの顧問からそのゲームを皆でプレイしてみようと提案される。


 プレイする前日、料理部のメンバーは全員同じ夢を見る。

それは現実にはあり得ないピンク色の髪をした巫女オフィーリアという少女から、ロストエデンを救って欲しいと頼まれる夢。

 ロストエデン――それはゲームの世界の名前だった。


赤光ヒカルは従姉である顧問に付き合わされ、

坂月恒輝は趣味を見つけるため、

雫野陽和はいろいろな物にチャレンジするため、

土矢重雄は妹の伊緒がそのゲームのプレイ中に倒れたため、

鳳飛鳥は自身の妹がゲームに関わっている不安を持ちつつ、

黒木流子はもう1人の自分を消す願いを叶えるため、

門路建はゲームの世界から母親を助けるため、


それぞれがそれぞれの理由でゲームをプレイすることとなる。


 そして当日、

ゲームの電源が入ったその瞬間、0と1の羅列が緑色の帯状となって溢れ部室を浸食し世界を書き換えて行った。

メンバー達の姿もゲーム内のアバターと同じ服装に変わり、目の前にはリアルな質量を持ったドラゴンが現れる。

本物の血を流しながらも、ゲーム内の特殊能力を駆使してドラゴンを倒すことに成功するメンバー達。


嫌な予感は本物に変わっていた。


 ドラゴンを倒し世界が元に戻った後、このままゲームに再びログインするべきか皆が顔を見合わせる。

だが結局、自らの目的と好奇心により11人中7人のメンバーが

ゲーム世界へとログインしていったのだった。

 PREPLAY


GM:さて、それでは第1話の収録と参りましょう!

重雄しげお:今回、ゲームにログインしなかった坂月とひよりは不参加なんだよね?

GM:そうだね、あと衣織いおり先生と学生アイドルのひじり海音うみねもゲーム世界には来ていません。

ヒカル:変わりに前回、凄い怖かった流子先輩と、凄い怪しかった黒幕がいるという(笑)

けん:待て、せめて名前で言ってくれ! 黒幕ってなんだ! 俺はPCだぞ!

ヒカル:自分だって解ってるじゃないですか!(笑)

おおとり飛鳥あすか:ま、まぁ、門路かどみち先輩は本当に怪しかったからねぇ。

建:否定はしない。

GM:とりあえず今回はPC5人と、NPCで尾道おのみちみつる南雲なぐも美空みそらの計7人で協力していってもらうよ?

流子りゅうこ:今回は戦闘用人格の演出をいろいろする予定だから、すっごい楽しみ~♪

重雄:でも流子先輩の演出って……なんか怖いんだよな(笑)

流子:重ちゃん、先輩に向かってそれは失礼なんじゃない? ごめんなさいは?

重雄:ご、ごめんなさい。すいませんでした。

流子:よろしい!

鳳飛鳥:重雄……情けない。ま、あたいはあたいで気合入れてるよ、

小鳩こばとがこのゲーム知ってた事もあるし、もしかしたらゲーム世界で伊緒に会えるかもしれない。

重雄:そうだ! 伊緒を探さないと!

鳳飛鳥:はぁ……。

ヒカル:ところでGM、俺達ってゲームの世界にやって来たけど、ゲームをプレイしている肉体ってどうなったんだ?

GM:そりゃ現実世界にあるでしょう。

ヒカル:???

GM:うーんと、これはメタ的だけど、

今回はゲームをプレイ=魂がゲームの世界に、という感じでゲームの世界に取り込まれていると思って欲しい。

だから今のキミ達は現実の世界がどうなったのか知る術は無いんだ。

ヒカル:それじゃあ……現実に戻ったら数年経ってたとか?

GM:ありうるかもねぇ~。まぁ、現実の方のGMは私じゃないから私も解らないし(笑)

ヒカル:そうなんだ(笑)

GM:とりあえず、自分の体がどうなってるか知る為にも、現実世界に戻らないとだね。

鳳飛鳥:もとより現実世界には戻るつもりだ。小鳩はあっちにいるし、心配だからね。

GM:うん、現実に戻る為に頑張ってくれると、ゲーム世界編のGMとしてはありがたいよ? 

じゃあそろそろトレーラーを読み上げようか?



●トレーラー


目の前には緑溢れる草原が広がり、頭上には雲の流れる青い空がどこまでも続いていた。

そこはゲームの仮想現実世界。


「初めてやってきたって? じゃあ記憶石はもう手に入れたか?」

それはゲームをセーブする為に必要な最初のアイテム。

この世界にやってきた初心者が一番初めに受けるクエストだった。


ゲーム世界を堪能するプレイヤー達、しかしその道中、起こってはいけない事件が起こる。


「あんたら……プリズナーじゃないのか?」



『ダブルクロス The 3rd Edition リプレイ・AR』


「ファーストクエスト」


ダブルクロス――それは世界を変えるゲームの名



ヒカル:世界を変えるゲームの名……か。意味深だなぁ。

建:望みが叶う……とか、そういう意味かな?

GM:まぁ、それはおいおいね?

鳳飛鳥:あたいはそれより、プリズナーって言葉が嫌な感じなんだけど。

ヒカル:囚われた者? ゲームから出られなくなる?(笑)

重雄:い、いきなり不吉な空気が……。

流子:ずいぶん重いファーストクエストになりそうだよね(笑)

GM:それでは次はハンドアウトの公開だけど、

誰がどのハンドアウトをやっても構わないから、自分で好きなのを選んでね? 

ただし、他人と被らないようにそこは相談で。


-------------------------------------------------

●PC①用ハンドアウト

ロイス:無垢なるイノセント  推奨感情 P:庇護 / N:無関心

 キミがこの世界へきて最初に出会ったのは、白い一枚服を着た6歳ぐらいの子供だった。

 子供は自身のことを「イノセント」と呼ぶ不思議な子で、誰かに追われているようだった。


ヒカル:なんでこのPC①だけ、この子を助けるの?

GM:ああ、PC①以外がその場にいないからね。

重雄:え? どういう事?

GM:簡単に言うと、このゲームは登録してログインすると、スタート地点がいくつかあってランダムにスタートするの。

なのでPC①は気が付くとたった1人で草原にぽつーん、となります。

流子:それでイノセントって子を見つけるってわけか。

GM:そういう事です。

ヒカル:主人公っぽいし俺がやろう。

ゲーム世界にそこまでモチベーション無いから、イノセントと仲良くなった方が面白そうだ(笑)


-------------------------------------------------

●PC②用ハンドアウト

ロイス:導きの巫女オフィーリア  推奨感情 P:尽力 / N:疎外感

 キミがこの世界で気がつくと、一緒にログインした仲間の姿はなく、尾道満とPC④と3人だけだった。

 その時だ、周囲の画像がブレたかと思うと導きの巫女オフィーリアが現れた。


建:オフィーリア、この前の夢の人か。

流子:誰が取ってもよさそうなハンドアウト。

重雄:じゃあ余りそうだし僕が取ります。

鳳飛鳥:余り物と予想して取るのかい?(笑)

重雄:いや、そういう役回りだしなぁーって。

流子:じゃあ重ちゃん、全部見て微妙だったら私が②をやるね! いいよね?

重雄:流子先輩それはすでに命令ですよ! いや変えますけどね(笑)


-------------------------------------------------

●PC③用ハンドアウト

ロイス:南雲美空  推奨感情 P:連帯感 / N:不安

 キミがこの世界で気がつくと一緒にログインした仲間の姿はなく、南雲美空と2人きりだった。

 地平線の向こうに村が見える。まずはそこに向かってみるべきか。


流子:建が裏で動いているのに気が付いた人だっけ?

建:そうそう(笑)

ヒカル:見た目不良の自由人だけど、けっこう良い先輩ってイメージ。

流子:じゃあ私がこれやろうっかな! 同学年だしちょっと親睦を深めておきたい!

GM:そういえば、美空とはプロローグではそんなに話さなかったんだっけ?

流子:うん、私はほとんど後輩と絡んでたし(笑)

GM:それじゃあ同じ3年生として対等な会話をしましょうか。

建:ま、苦労するのは美空の方だろうな(笑)


-------------------------------------------------

●PC④用ハンドアウト

ロイス:尾道満  推奨感情 P:連帯感 / N:不安

 キミがこの世界で気がつくと一緒にログインした仲間の姿はなく、PC②と尾道満と3人しかいなかった。

 ここは山道の途中らしく、周囲を探索しているとPC②がいる方で何かが光った気がした。


重雄:ああ、さっきの3人組のもう片方か。

GM:違いはロイスが尾道であるだけで、説明もスタートもPC②と変わらないね。

建:尾道へのロイスなら俺が取るべきだろうな(笑)

鳳飛鳥:まぁ門路先輩が強引にこのゲームに誘った張本人ですしね。

建:否定はしないぞ(笑)

重雄:しかしこの3人スタートは全員が男か……色気が無いなぁ。

建:まぁこういうのも良いじゃないか、女子がいるとできない会話も遠慮なくできるしな。

GM:じゃあ建にお願いしちゃおうかな。


-------------------------------------------------

●PC⑤用ハンドアウト

ロイス:「氷の大剣」スノウ・アルピニス  推奨感情 P:誠意 / N:恐怖

 キミがこの世界で気がつくと、一緒にログインした仲間の姿はなく1人きりだった。

 そしていつの間にか周囲はモンスターに囲まれ絶対絶命。

 その時だ、巨大な氷の剣がモンスターを薙ぎ払ったのだった。


鳳飛鳥:いきなり絶対絶命かい(笑)

流子:これはベテランゲーマーに助けてもらうっていうスタートかな?

GM:その通り。

鳳飛鳥:余ってるしあたいがやるよ。1人っきりで戦うホットスタートも違和感無いしね(笑)

重雄:中学の頃は喧嘩三昧だったしなぁ……飛鳥は。

鳳飛鳥:そういや怪我すると簡単な傷は重雄に診てもらってたね。

重雄:まぁ、怪我してくる事の方が稀だったけど。

ヒカル:さすが伝説の不良(笑)

GM:じゃあハンドアウトもこれで決定だね!

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