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ある日の気まぐれ日記

作者: 夢幻

 夢を叶えたくて、故郷を飛び出して来た。

 初めの一年は何もかもが新鮮で楽しかった。 それも二年目には日常になっていた。


 自分で決めたから頑張るのも当然で、必死に駆けだした一年目は周りを気にする余裕なんて無くて。

 当たり前のように一緒だった家族も、気心の知れた友人も、ただの知り合いすら居ない。

 名前を呼ぶ人なんて居ない。 顔も知らない他人ばかり。


 生活にも慣れて来た頃。

 ふとすれ違った三人組みが、何故だかとっても羨ましくて。

 柄にもなく、虚しいなーなんて思ってしまったり。

 そんな自分が情けなくて、またため息をついた。

 モヤモヤしたこんな気持ちは、全部出してしまえたらいいのに。


 辛くなんかない。 自分で選んできたんだし。

 悲しくなんかない。 やりたいことをしているんだから。

 苦しくなんかない。 頑張れって応援してくれてるんだから。


 寂しくなんて、ないんだ。


 もう何度、空回りしたか、分からないけれど。

 一人で泣いたって何も変わらないことくらい、分かってる。


 全部が無駄だったのかなって思うと、もうやってらんない。



 あぁ、それでも――――

 好きなんだよね。 どうしても嫌いにはなれないんだ。

 好きなのに全然上手く出来なくて、失敗ばっかりだもの。 辛いに決まってるじゃないか。

 悲しいよ。 周りとの温度差を感じて、何してるんだろう自分って思うことだってある。

 だからこそ応援してくれる人に、苦しいなんて言えないよ。


 決めたんだ。

 また情けなく泣いたって

 またため息をついたって

 また虚しさを感じても


 前に強がった自分を無駄にしたくないから。

 今はもう少しだけ強がって

 

 いつの日か、本当に強くなろうって。


 そう――――必ず。

 

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― 新着の感想 ―
[一言] ちょっぴり感銘を受けたー。 私は今まで無駄な事や遠回りしたけど今の私は胸を張って言える事はどんな事があろうとも最後まで突き進む事。 最後の一歩前で自分にありがとうと言いたい。
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