プロローグ
ちょっぴりシリアス風味。
ねぇねぇ、おかーさん。“王子”ってどういういみ?
それはね…偉大な人の事を指すの。
いだい、な人?
そう、偉大な人。
王子にはまだちょっと難しいかもね。
でもね、母さんと父さんは貴方にそんな風な素晴らしい人になってもらう事を願って、貴方にその名前を付けたのよ。
ふーん…よくわかんないや。
けど、僕ってかっこいい、ってことだよね!
ふふ。そうよ。
王子はカッコイイわ。そう、誰よりも。
母さん!
なんで俺に、こんな名前つけたのさ!
学校で「王子様〜」なんてからかわれるんだぞ!
……王子。
王子、母さんを悲しませるんじゃないよ。
僕達は王子の名前を適当に決めたわけじゃない。
悩んで、悩んで、決めたんだ。
そんな風に言われちゃうと、なんだか寂しいね。
ごめん、父さん母さん。
傷つけて…ごめん。
父さん達が付けてくれたこの名前の意味、全然理解してなかった。
俺…この名前に相応しい男になってみせるよ!
父さんっ!!…っ、ねぇ、父さん!!
…死なないでっ!!
…ごめんな、王子。
父さんは…悲しいけど、もう母さんや…王子達とお別れしないといけないみたいだ。
っ!!ダメだよ!
い、いかないで…
…王子。
すまないね、母さんの…事、頼んだよ。
姉弟達のことも…ね。
面倒見がよくてしっかり者の王子なら、大丈夫。
お前に…全てを任せてしまう、父さんを許してくれな。
…!!
お前のこと、愛しているよ。
父さんという…カタチとしては、消えてしまうけれど、いつでも…お前の成長を、見守っているから…ね…。
…………
……
…