友情<恋心?
榊君を好きになった。
ということを認めてしまった、今。
…意識しすぎてまともに話す事もできない!!
話せないのならせむてメールしたいなぁ…と思うこの頃である。
でも聞けっこない!!まともに話しもできないのに…
そして、またこの小さな悩みを誰にも話せずに心に秘めていた。
休み時間、優砂は鈴と廊下の休憩スペースにある、ベンチに座って缶ジュースを飲んでいた。
「だんだん暑くなってきたねぇ」
「そうだね……!?」
いきなり会話が止まる。
優砂は緑の観葉植物に隠れつつただ一点を見つめていた。
そこにはもちろん榊君。
(アド聞きたいなぁ…)
という、気持ちだけが今優砂の心には、込み上げられていた。
(でも聞けるわけない…)唇をかみしめた。
しかし、次の鈴の行動は優砂にも理解できなかった。
「榊くぅ〜ん!!ァド交換しよぉぉ♪」
こいつ何言ってんだ!?思わず
「こっ」という言葉まで出てくる。
しかし優砂は気付いた。
(そっか!!ここで鈴が優砂にも話題を振って一緒に交換するッて事かぁ!!)
優砂は待った。
鈴が自分に話題を振ってくれるのを。
でも鈴は優砂の方を見ようともしない。
楽しそうに赤外線を向け合い、笑っていた。
優砂は、ただただ二人がァドを交換するのを見ていた。
「ッぢゃ!!帰ったらメールすんねぇ☆」
「おう!」
鈴が会話を終えて振り返る。
(きっと『自分カラ話題に入って来てよ〜』とか…言うよね?)
沈黙が苦しい。
「教室帰ろっか」
裏切られた。
アドなんかどーでもいい。
なのに…なんでこんなに苦しいんだろう…
放課後になる。
「優砂っ!!バイバイっ♪」
「…う、うん!!」
普通に話してる自分が怖い。
本当なら怒り狂ってる。
自分の気持ちを知っているのに。
わざわざ目の前で、アドを聞く。
そんな行為許せない。
…でも何故か今は
怒りよりも悲しみが多いんだ…。
『裏切られた』
そんな言葉が頭でグルグルとまわっている。
「優砂??…なんかあったの?」
顔に出てたのだろうか…
心配そうに由海と夏菜穂がのぞきこんで優砂に聞ぃてきた。
「…由海ぃ…夏菜穂ぉ…」
今日一日溜め込んでいた苦しみがあふれた。
苦しんでいた理由を早口で話した。
二人はただ真っ直ぐに優砂を見ながら話を聞ぃた。
「…なにそれぇ…!?」
「意味わかんなくね!?」
話し終ぇるとまるで優砂の身になったかのように、話し始めた。
「まぢ不明!!なんで優砂の気持ち知ってんのに…そんな事すんのっ!?」
「どーする!?今、電話して聞いてみるッ!?」
「…もしかして好きなのかなぁ…?」
「それはない!!」
二人そろって否定の声。
「…え…?なんで…?」
かっこよくないから?と不安そうな声で聞く。
「違うよ!!鈴は好きな『人には即コクる!!』が鉄則ぢゃん??」
「だからアド聞く。なんてまどろっこしい真似しないよ」
「安心しな!!」
二人の優しい声。
さっきまであった苦しみが消えてきた。
「…うん…!!ありがとっ!!」
「良かったよ★元気になって!!」
「ぢゃっ!!うちら部活行くね♪」
二人は部活に行く為に去って行った。
教室はもう優砂だけ。優砂のクラスで帰宅部の人はほとんどいない。
そのため優砂は放課後一人の事が多いのだった。
「もうちょっとシフト増やそうかなぁ」
一人は寂しい。
だからバイトを増やそうかな?
と呟いているとそこに
「あれ?まだいるの?」
…榊君。
「う、うん!!」
また急の事で声が大きくなってしまう。
「ハハッ、お前はいつも元気いいよなぁ」
ドキドキしていた。
…笑顔…。
だけじゃない。彼はバスケのユニホームをきていた。
その事にもドキドキしてしまっていた。
「バスケ部なんだねっ!?」
「オウ…でも…」
笑っていた顔が曇るのがわかった。
「…でも?」
「正直やめてぇんだよなぁ…」
突然のカミングアウト。
「えぇ!?なんでっ!?」
「実はさぁバイトしたいんだよ」
チャンス…。
これはチャンスだった。
「えぇ!?バイト!?」
「やっぱ遊ぶ金トカ欲しいじゃん??」
「だよねぇ!!バイトはいいよーお小遣いいっぱいだよぉ!!」
「え??バイトやってんの!?」
「やってんるよぉっ!!」
「何??何やってんの!?」
「……パン屋…。」
「プッ!!似合わねぇな!!」
「ヒドッ!!」
「うそうそ!!怒んなよ!!」
「怒ってないですー!!」
楽しい時間は短くて感じる。
というのは本当だった。
10分くらいの出来事が1、2分くらいに感じた。
「…ッと…。そろそろ行かなきゃやべぇな…!!」
「そっかぁ…。まだ部活中だもんね…」
「やっぱ伊那丘ッて面白いな!!」
「えっ!?そう??」
「最初、話しにくいかなと?思ったんだけど、面白くて最高!!」
今の優砂にとってこれころ史上最高の褒め言葉だった。
本来の目的であるボールをいったん優砂を置いて教室の隅に取りに行った。
そして優砂は考えていた。
……アド知りたい。
今の流れからいけば簡単な事。
一言いえばいい。
勇気をだして一言。
でもその勇気が優砂には出す事ができなかった。
ボールをとって彼は優砂の前に戻って来た。
「ぢゃっ!!行くな!!」
「うん!!…頑張ってねっ!!」
心とは裏腹の笑顔で彼をみおくる。
教室から彼の姿が消えて行く。
それと同時に後悔の渦にまきこまれる。
「はぁ…」
深い溜め息。
「どした!?溜め息ついちゃって!!」
「えぇ!?榊君!?」
さっきみおくったばかりの榊君がまた目の前にいる。
「え?なに?部活は?」
「いや、いい忘れた事あってさぁ!!」
「ん?なに?」
「アド教えて!?」
…もう天国いってもいいかも…