高校=恋
あか
あかい。まっかな夕日がみえる。
日の暮れた夕方。あなたはまっかな夕日を背に笑ってる。
五月。暖かい風が窓から入り優砂の髪をなでる。高校に入学して約一ヵ月。だいぶクラスにも慣れて、クラスメートの顔と名前も一致してきた。
「…寒。」
カーディガンを着ていないからだろうか。ふと肌寒さを感じ窓を見た。…目があった。
あの人…名前なんだっけ…あ、また外向いちゃった。
優砂の席から左に7つずれた席に座る男の子。時々目が合うが目が合うとすぐにそらしてしまう。
優砂は前を向き授業へと戻った。
「優砂ァお腹減ったよ-なんか持ってない??」優砂の前に座っていた夏菜穂が振り向いて聞く。「んーガムならあるよーいる??」
「あー!!いる!!何味??」
「んとねェ、桃だよ」
「桃ー??珍しいねぇ」
「今日コンビニで見つけたんだぁ」
と平凡な会話をしていると「一枚」
誰かが単語でガムを要求してきた。
「…兎神君。せめて"下さい"トカ"ちょうだい"トカ言おうよ…」
「うっせぇな」
面倒くさそうに返答をする。しかし兎神君もお腹が減っているのかちゃっかり右手を差し出している。
「…はいはい」
しょうがなく優砂は右手にガムをのせてあげた。
兎神君は素早く包装を解き口にガムを放りこんだ。…お礼もなしですか??
「剣-お前も食うかぁ??」
剣??
「あ-いる-」
剣と呼ばれた男の子が兎神君の後ろから出てきた。…背は160ちょっとの小柄な子。体の大きい170ぐらいの兎神君とは正反対な感じの男の子だ。
「えぇッと…??」
「榊。榊剣…何味??」
「も、桃…」
桃の甘い香りがした。
「おーい。席つけー」
古典の木村先生の声で私達みんなは席へと戻った。なんだか顔が暑かった。
こんな時こそ窓は開いてないかと窓のほうに目をやった。
…目があった。
また外に向いてしまうかと思ったが榊君はにっこりと笑って小さく手をふった。
(なんだろ…めっちゃ暑い…)
暑くてぼーっとなった頭では手をふり返すだけしか優砂にはできなかった。
「優砂今日バイト??」
「違うよ。甘菜は??」
「うちも今日休み。どっか遊び行こッ」
「ん、いいよ。」
甘菜は小学校から同じで中学の部活も一緒にバレー部だった、仲良しだ。この二人が遊ぶ場所はたいてい決まって、ファミレスに行く。
放課後。甘菜と共に学校近くのファミレスに向かった。
「ドリンクバー二つ。」
ドリンクバーのみを頼んで約3時間はここに居座る。会議トカではない。ただ普通に今日あったおもしろい事。むかついた事を話すだけ。……だった。いつもは…。
「〜〜〜朽木君がまぢ転んだッてわけッ!!」
「えーまぢうけんだけどッ!!……」
「ん??どしたぁ??」
「実は今日さぁ…」
優砂は今日あった事を話した。そして最後に呟いた。
「…なんで…体が熱くなったんだろ…」
しばしの沈黙。
「…甘菜??」
「…それってさぁ…」
ゆっくりと俯いてた顔をあげて言った。
「恋…ぢゃない??」
「…恋??」
甘菜から思ってもいなあった言葉が返ってきた。
思わぬ甘菜の言葉から私の恋が始まった。