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天の鎖に祈る言葉は

 

 俺は丘の上に寝転がってた。



 何故そんなとこをいたかって?



 俺がそんな事知るもんか。



 ただそうしたかっただけだよ。



 いつかって? 俺がまだこんくれーのサイズの時の話だ。



 なに? それじゃあ小さすぎるだあ? んな、こまけえことはどうでもいいんだよ。どうでも。



 それで、あん時の俺はおやじの転勤でむりやりこの糞田舎に連れてこられててな。



 正直反抗期とかも重なって全然学校に行かなかったんだよ。



 今は行ってるのかって? いい男にんなこと聞くのは野暮ってもんだぜ。



 そんでな、学校がかったるくて、いっもさぼってこの丘にいた。



 んで、ある日さすがにおやじが激怒してよ、大げんかしたんだよ。



 いやーあれはすごかったぜ。


 

 なんつーの? フライングソーサーみたいに皿がこう、ビュンビュン飛びまくってさ。



 一昔前のSF映画みたいだった。



 そーいえば、いつもは俺にゲキ甘なおやじがあんなに切れたのはあれが初めてだったな。



 まあ、それはさておきそれで家を飛び出したんだよ。



 んで、盗んだバイクで走りだそうとしたんだけど、あいにくバイクがなかった。


 

 原付さえ無かった。



 笑えるだろ? 今も昔もどんだけ糞田舎なんだよここは。



 まあ、どうせ乗れなかったろうけど。



 つーことで、行く当てもなくふらふらっとこの丘に来たんだ。



 どんだけ行動にバリエーションがねーんだよ。



 我ながら笑えるな。



 んで、今日は帰れねーかなーとか思いながら草の上に寝っ転がったんだ。



 そしたらさ、ブワーって目の前に満天の星が広がってた。



 こう、都会のどんより曇った空の下じゃ絶対に見えないそんな夜空が、満天の星が。


 

 それでしばらくポケーっと見てたんだよ。綺麗だったしすることもないしで。



 どんくらい見てたかな? 頭ん中にある星座の知識と照らし合わせて見てたらさ、



 サクッ   サクッ   サクッ   サクッ



 って誰かの足音が聞こえてきたんだよ。



 いやー正直ビビったね。



 え? どうしてビビったかって?



 そりゃ、何かに夢中になってる時にいきなりだけかが来たらビビるだろ?



 初めはおやじかとも思ったけどすぐに違うって思った。



 だっておやじはあんなゆっくり歩かねーもん。



 そんで誰だろうか、って思ってソッチを向いたらまたビビった。



 だってきれいな浴衣着たおんなのこがいたんだもん。


 

 んで、さらに驚くことに俺の隣に寝転がってきたんだぜ?



 いやーあれはビビった。本当にビビった。



 さっきからビビリすぎだって? うっせーやい。



 んで話を戻すと、星の光があったから、結構くっきり顔が見えたんだよ。



 そんでテンパって、ついこんな事聞いちまったんだよ。



 君はお星様なの? って。



 えーい! そこ笑うな! 笑うんじゃねえ!!!



 うっせー! 自分でも阿呆なこと言ったなーっておもっとるわ!



 ……話を戻すぞ。いいな!



 で、そしたらなんて答えたと思う?



 君はずいぶんとロマンチストなんだね だとさ。



 はいそこ、メルヘンとか言わない。



 そんで俺は真っ赤になった。



 こう、トマトもかくやと言わんがばかりに。



 んで、俺が赤くなってたらその女の子がこういったんだよ。



 でもまあ、お星様か。お星様も悪くはないね。よし、今日はお星様の日だ って。



 つーことで、俺と仮名・お星様は一緒に星をみることにしたんだよ。



 しばらく星を見てたら女の子、じゃないお星様が声をかけてきた。



 君はどんな願い事をしたの? って。



 知ってるか? 天の川は人生で一度だけ願い事をかねえてくれるんだぜ?



 んで、そん時の俺は、星をみることに夢中で願い事云々は完璧に忘れてた。



 だから、時間稼ぎをしようと逆に質問したんだよ。



 じゃあ、君の方はどんなお願い事をするの って。



 ……うん。ガチでマナー違反だね。



 そういえば、マナーとエチケットってどう違うんだろうね?



 まあ、どうでもいいか。



 それで、少し考えたあとにお星様はこう答えた。



 君が願うことが僕のお願いだよ。



 だとさ。



 ……改めて考えるとすげー丸投げしてんな。



 そんで、そう言われたら変なことお願いできないじゃん。



 こう、魚がつれますようにーだとか、でっけーカブトムシが捕まえられますようにーだとか。



 だからこう言ったんだよ。



 もう一度この丘でお星様に会えますように。



 ってね。



 そしたらお星様は笑ってた。



 その後? その後はいつまでたっても帰ってこないって、さらにブチ切れたおやじに連れ戻された。



 そんで、さすがにそれからは学校に行くようにしたな。おやじが切れるし。


 

 んで、今までの付けを払うがごとく学校に行きだしたんで丘にはめっきり。



 さらに、またおやじの転勤つーことで、とある地方都市にとばされてな。



 そして今にいたると。



 つーことでおはなしは終了。チャンチャン。



 さて、そろそろ冷えてきたな。



 ほーら帰るぞ帰るぞ。ここには地下鉄なんて便利なものはねーんだからな。



 ったく。明日遅れたらどうしてくれんだよ。


 

 え? 遅れないようにお願いすれば良いって?



 ばーかそんなこと願うかよ。



 だって、俺の願い事はもうかなってるんだから。



 



 


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