死んだ夫に会う方法
友人が未亡人となった。彼女は、しばらく塞ぎ込んでいたが、ようやく立ち直ったのか、食事を共にし、こんな話をしてくれた。
ある夜、彼女の目の前に悪魔が現れた。そいつは、「願いを一つ、なんでも叶えてやる」という。夫に会いたいと願う彼女に、悪魔は答えた。
「死者をよみがえらせることはできない。だが、会う方法なら教えてやる」
悪魔が言ったその方法とやらは、私には教えてくれなかった。
しばらくして、彼女は息子と心中した。知人は皆、夫を亡くした悲しみに、耐えられなかっただろうと言う。でも私は、あの悪魔の話を思い出す。あの話が本当なら、悪魔の言うことが本当なら、きっと死後の世界があるのだろう。そこで再会するのだろう。ある意味救いのある話だ。
それから程なくして、この心中はまた大きな話題となった。短い期間に一家三人の死というだけではない。これらをきっかけに行われた警察の捜査によって、彼女の夫は大した悪党だと分かった。裏では人死にも出たらしい。これで事件は終わった。誰にとっても、済んだ話となるだろう。しかし、あの話を聞いた私にだけは、厭な疑念が残った。
なぜ、彼女は息子まで殺した?
初めは息子と共に、夫に再会するためだと思った。それならいい。でも、違ったら?
地獄に落ちた夫に会うには、自らも罪を犯さなければいけなかったからではないか?そのために、息子を手にかけたのではないか?




