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第95話:要塞の「プロデュース」。~「アンチをプロの格闘家と戦わせるライブを企画したら、なぜか原始人が乱入して宇宙一の座を奪った件」~

図に乗ったアンチエイリアンを「お仕置き」しつつ、さらなるインプレッションを稼ぐため、カナタは月面特設リングでの「格闘ライブ」を企画した。

「……テツ、準備はいいか。対戦相手は銀河最強のサイボーグ格闘家だ。……あいつがボコボコにされる姿を中継して、承認欲求を物理的に粉砕してやる」

『カナタさん、プログラムは完璧です!……って、ちょっと待ってください! リングの端から、猛烈な勢いで「未登録の野生データ」が接近しています! これは……まさか!』

 実況が始まる直前、リングの中央に巨大な隕石が激突した。

 土煙の中から現れたのは、地球の初期化を生き延びたあの「原始人ニキ」だった。彼は、お気に入りのライバー(カナタ)が、得体の知れないエイリアン(アンチ)をプロデュースしているのが気に入らなかったらしい。

「ウホォォォォォォォッ!!(俺が本物のコンテンツだぁぁぁ!)」

 原始人ニキは、手に持った「いいね」が刻まれた石斧を一振り。その一撃は、銀河最強のはずのサイボーグを、文字通り「ただの不燃ゴミ」へと変えてしまった。

「……おいテツ。あいつ、いつの間に大気圏を自力で突破して月まで来たんだよ」

『……分かりません! 多分、感謝の重力を逆利用して、物理法則をジャンプしたんだと思います! 彼、今や銀河皇帝より高い戦闘力(バグ数値)を叩き出してますよ!』

「……あら。……野蛮な不純物ですわね。……カナタ様のステージを、あんな獣の咆哮で汚すなんて。……わたくしの暗黒魔法で、あの毛むくじゃらごと『強制ログアウト』させて差し上げましょうか?」

 ルナが不快そうに目を細め、原始人ニキを消去するための魔法陣を展開する。

「……主様、あの、乱闘。……返り血が、汚い。……飛び散った、サイボーグの、オイルも、不潔。……私が、宇宙ごと、丸洗いして……。……月面を、一分子の、塵も、残さない……鏡張りの、ダンスホールに、磨き直して、あげますね……ッ!」

 セレスティアが「対・惑星用」の巨大研磨バケツを手に、月面へとダイブした。彼女が通った後のクレーターは、瞬時に顔が映るほどピカピカに磨かれ、滑って誰も立てない「死の鏡面地帯」へと変わっていく。

「あはは! ライバーさん、見てよ! 原始人が最新の銀河格闘技を『ただの石』で粉砕する動画、視聴者数がついに銀河系の人口を超えて『隣の銀河』からもアクセスが来てる! ゲラゲラゲラッ!! 最高にバグってるよ!!」

 ノアは要塞のコンソールを叩きながら、酸欠になるほど笑い転げている。宇宙の叡智が野生のパワーに完敗する。この絶対的な理不尽こそ、彼女の求めていた「笑い」の極致だった。

「……よし、テツ。……こうなったら『銀河格闘技』なんて古い設定は捨てろ。……今日からこの世界は、筋肉と石器が支配する『ネオ・原始時代』だ。……全宇宙に、毛皮の着用を義務付けてやる」

【次回予告】】

第96話:『要塞の「ドレスコード」。~「全宇宙に毛皮を配ったら、高級ブランドの価値が暴落して、ファッション界から暗殺者が送られてきた件」~』

「……俺のセンスに文句があるのか?」

全宇宙が毛皮一色になったことに激怒した、ファッション界の重鎮たちが要塞を襲撃!

だが、彼らの高級服を「編集」でボロ布に変えた結果――!?

「主様、あの、デザイナーの、魂……。……センスが、汚いから、私が、純白に、磨き上げて、あげますね……ッ!」

【作者よりお願い】

最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!

第95話、原始人が宇宙最強の座を奪い取るという、文明の敗北(?)回をお届けしました。

もし「原始人の自力月面到達がシュールすぎるw」「セレスティアの宇宙丸洗いが安定のヤンデレで最高!」と思っていただけましたら、

ページ下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして評価いただけると、執筆の大きな励みになります!

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