第88話:要塞の「感謝祭(強制)」。~「俺を殺しに来たはずの軍勢が、門前で突然『感謝のダンス』を踊り始めた件」~
要塞を包囲していた数万の軍勢。その殺気立った空気が、カナタが放った【記憶の再編集】によって一瞬で霧散した。
「……あ、あれ? 俺たち、なんで武器なんて持ってるんだ?」
「そうだ……俺たちは、カナタ陛下に『感謝の貢ぎ物』を届けに来たんだ!」
地上のモニターに映し出されるのは、つい数秒前まで「神殺し」を叫んでいた人々が、一斉に武器を捨てて涙を流し、両手を天に掲げて祈り始める異様な光景だった。
「ウ、ウホォォォォォッ!!(陛下、いつも美味しいプロテインをありがとう!)」
原始人たちが、マンモスの肉(極上品)を掲げて要塞に向かって土下座し、勇者アレイウスに至っては「レジ打ちという尊い仕事を与えてくださり……っ!」と地面に額を擦り付けて号泣している。
「……よし、テツ。作戦成功だ。これで要塞の周りも静かになるだろ」
『カナタさん、全然静かじゃありませんよ! 記憶を書き換えた際の「感謝の出力」が強すぎて、彼らの思念が物理的な重力波として要塞を直撃しています! 要塞の高度が……感謝の重みで、毎秒10メートルずつ低下しています!!』
「……なんだよそれ! 感謝が重すぎるだろ!!」
「……ふふ、当然ですわ。カナタ様の偉大さを理解した不純物たちの想い……。それが実体化するのは、管理者である貴方の力がそれだけ強大になった証拠。……わたくしも、この重力の中で、より深く貴方に沈み込みたい気分ですわ」
ルナが重力に抗うことなく、蕩けた表情でカナタの肩に頭を預ける。
「……主様。……感謝の、重み。……不純な、思念が、要塞の、外壁に、こびり付いている。……私が、この、見えない、重圧ごと……ダイヤモンドの、粒子で、磨き飛ばして、あげます……。……主様を、苦しめる、感謝なんて……一分子も、残さない……ッ!」
セレスティアが「対・概念用」の重力研磨布を手に、要塞のテラスを猛スピードで駆け回る。彼女が磨くたびに、空間に立ち込めていた「感謝の重圧」が火花を散らして削り取られていった。
「あはは! ライバーさん、見てよ! 世界中の人々が『感謝の投げ銭』を物理的に投げすぎて、要塞が埋もれそうだよ! インプレッションが天文学的数字になって、ついに『宇宙サーバー』からのアクセスが来ちゃった!」
ノアがゲラゲラと笑いながら、空から降ってくる大量の黄金や食料の座標を管理し、要塞の傾きを必死に調整している。
カナタの「記憶操作」による解決策は、皮肉にも「愛と感謝の質量」で要塞を撃沈させようとしていた。
攻略ライバー・カナタは、熱狂的なファンと化した全人類の重圧に耐えながら、次なる「編集」のボタンに手を伸ばした。
「……重い、重すぎる。……テツ、この感謝のエネルギーを全部『燃料』に変換しろ! このまま宇宙(サーバーの境界線)まで一気に加速するぞ!!」
【次回予告】
第89話:『要塞の「宇宙進出」。~「感謝のエネルギーで宇宙へ飛び出したら、月面に先客の『バズり待ちエイリアン』がいた件」~』
「……地球に居場所がないなら、宇宙へ行くしかないだろ」
加速した要塞がついに大気圏を突破!
辿り着いた月面で、カナタを待ち構えていたのは、銀河規模で『いいね』を求める未知の知的生命体で――!?
「主様、あの、タコのような、不純物……。……吸盤が、汚いから、私が、根こそぎ、磨き落として、あげますね……ッ!」
【作者よりお願い】
最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!
第88話、重すぎる感謝で要塞が沈没しかけるという、文字通り「愛の重さ」回をお届けしました。
もし「原始人の感謝が物理的に重い展開に吹いたw」「セレスティアが概念まで磨き始めるの流石すぎるw」と思っていただけましたら、
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