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第84話:要塞の「アップデート報告会」。~「俺の髪型を変えただけで、地上の流行が『丸刈り』に統一された件」~

教育番組の配信により、世界中に「リトル・カナタ」という名の予備軍が溢れかえっていた頃。要塞の主・カナタは、鏡の前で自分の【外見アバター設定】を眺めていた。

「……なぁテツ。最近、ちょっとこの髪型に飽きてきたんだよな。もっとこう、管理職らしい清潔感というか、極限まで『無駄』を削ぎ落としたスタイルにできないか?」

『カナタさん、それは単なる気分転換ですよね。……でも、今の貴方は世界の『マスター・データ』そのものです。貴方の変更は、全人類の『標準デフォルト』に影響を与える可能性があるんですよ? ……あ、ちょっと、そのスライダーを最小値まで絞らないでください!』

「いいだろ、自分一人の髪型くらい。……よし、髪の毛の【描画密度】を『0』に設定。……空気抵抗を最小限に抑えた、究極の『エアロダイナミクス・モード』だ。――適用!」

 カナタが指を鳴らした瞬間。

 要塞の中で、カナタの髪が一筋残らず消え去り、鏡のように滑らかに光り輝く「丸刈り(スキンヘッド)」へとアップデートされた。

「……お、めっちゃ涼しいな。思考の処理速度も上がった気がするぞ」

『カナタさん!! 涼しいのはいいですけど、地上の様子を見てください! 貴方の「外見アップデート」が、全人類の【トレンド・同期シンクロ】を強制起動させちゃいましたよ!!』

 地上では、阿鼻叫喚の、しかしどこか宗教的な光景が広がっていた。

 朝起きた瞬間、全人類の髪の毛が「マスター・データ」との同期により、一斉に消失したのだ。王様も、騎士も、勇者も、そしてコンビニでレジを打つあの男までもが、一分一厘違わぬ「滑らかな頭」へと変貌していた。

「……あら。……素晴らしいですわ、カナタ様。……一切の無駄を排除した、その神々しい輝き。……髪の毛という不純物さえも捨て去った貴方は、今、真の『光の神』になられたのですわね」

 ルナが、自分もいつの間にかツルツルになった頭を誇らしげに撫でながら、カナタの輝く頭部にうっとりと見惚れる。

「……主様。……最高。……髪の毛、邪魔、だった。……これで、一ミリの、遮りもなく……主様の、頭皮から、魂まで……私が、毎日、ワックスで、鏡のように、磨き上げて、あげられる……ッ!」

 セレスティアが「超高光沢・研磨クロス」を手に、カナタの頭部を高速で磨き始める。要塞の中は、磨き上げられたカナタの頭から反射する光で、もはや照明が不要なほどの輝きに満たされていた。

「あはは! ライバーさん、見てよ! リスナーたちが『ついに陛下が悟りを開いた!』『全人類丸刈りとか、これぞ真の平等社会w』って大熱狂だよ! 『光輝く陛下』のファンアートが、毎秒10万件ペースで投稿されてる!」

 ノアがゲラゲラと笑いながら、地上の「丸刈りになった人類」を衛星カメラで捉え、その反射光だけで新しい「星座」を空に描き出す。

 

 カナタの「気分転換」は、人類からファッションの自由を奪い、世界を一つの巨大な「磨き上げられた球体」の集合体へと変えてしまった。

「……よし、テツ。……ついでに、この輝きを増幅させる『反射率リフレクション』の設定も上げておけ。……世界をさらに明るくしてやろうぜ」

『……カナタさん。これ以上明るくしたら、地上の人々が自分の頭の反射光で失明しますよ……』

【次回予告】

第85話:『要塞の「ダークテーマ(再)」。~「眩しすぎて世界が見えないので、全員に『サングラス(物理)』を配布してみた件」~』

「……自分で設定しておいてなんだが、目が痛いな」

カナタが自らの光を抑えるため、全人類の視界に【遮光フィルタ】を強制適用!

すると、世界が「ハードボイルドな映画」のような色調になり、人々が突然クールに振る舞い始めて……!?

「主様、その、黒い、レンズ……。……隠された、瞳の、奥を……私が、透視するように、磨き抜いて、あげますね……ッ!」

【作者よりお願い】

最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!

第84話、カナタの髪型変更が全人類を巻き込むファッション・テロへと発展する、滑らかな(?)暴走回をお届けしました。

もし「全人類丸刈りの光景がシュールすぎるw」「セレスティアの頭皮研磨が怖すぎるw」と思っていただけましたら、

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