第82話:新世界の「バズりスポット」。~「魔王城の跡地にコンビニを建てたら、勇者がバイトの面接に来た件」~
新世界。そこは超高層ビルの隣にマンモスが歩き、魔王城の跡地に「24時間営業のコンビニ」が建つ、カナタの気まぐれな再設計が生んだカオスな楽園だ。
要塞のモニターで地上の「復興状況」をチェックしていたカナタは、設置したばかりのコンビニの監視カメラ映像を見て、思わずコーヒーを吹き出した。
「……なぁテツ。この履歴書、見てくれよ。名前は『アレイウス』。特技は『ギガ・エクスプロージョン』と『全属性耐性』。……志望動機が『魔王が消えて食いっぱぐれたので、安定した現金収入が欲しい』だってよ」
『カナタさん、あの方は旧世界で最強と謳われた伝説の勇者ですよ! 貴方が魔王城をコンビニに書き換えたせいで、宿敵を見失って完全に路頭に迷っちゃったんです!!』
「……いいじゃん、伝説の勇者がレジを打つコンビニ。絶対バズるだろ。……よし、採用だ。……ついでに、彼の聖剣に【バーコードスキャン機能】を勝手に付加しておけ」
数時間後。かつての魔王城――現在は「魔王城跡地・セントラル店」のレジには、光り輝く伝説の鎧を纏い、死んだような目で「いらっしゃいませ……温めますか……?」と呟く勇者の姿があった。
「……あら。あのような力の使い道を知らない不純物が、主様の経営する店に居座るなんて。……わたくしが、あの勇者ごと、店内の在庫を『聖光で一括購入(焼却)』して差し上げましょうか?」
ルナが不快そうに唇を噛む。彼女にとって、カナタの関心を引く「新しいコンテンツ」はすべて排除の対象だった。
「……あの、勇者。……心が、折れて、汚れている。……磨き甲斐、皆無。……聖剣が、指紋だらけで、不潔。……私が、魂ごと、漂白して……。……二度と、剣を、握れない、綺麗な、置物に、してあげる……ッ!」
セレスティアが「業務用・高圧滅菌スプレー」を手に、勇者の背後に音もなく忍び寄る。勇者がレジを打つたびに、背後から強烈な殺気(除菌)が放たれ、彼は恐怖で震えながら、マンモスの肉(チルド品)を袋に詰めていた。
「あはは! ライバーさん、今の『勇者のバイト初日』配信、インプレッションがまた過去最高だよ! リスナーも『勇者の聖剣でバーコード読み取るなw』『魔王の玉座がイートインになってて草』って大盛りあがり!」
ノアがゲラゲラと笑いながら、勇者の頭上に「時給:850ゴールド」の悲しいバグ看板を固定し、さらに「モンスターの万引き犯」を次々と店内に召喚し始める。
新世界での「バズり」は、かつての英雄すらもコンテンツとして消費していく。
カナタは、勇者が聖剣の一振りで万引き犯をレジ付近で炭塵に変えるのを見ながら、満足げに次の「編集」を考え始めた。
「……よし、次は地上のコンビニ全部に『ダンジョン入り口』を増設するか。……買い物ついでにレベル上げ、これぞ新時代のライフスタイルだろ?」
【次回予告】
第83話:『要塞の「広告収益」。~「空に浮かぶ俺の顔が、全人類の『義務教育』の教材になった件」~』
「世界を教え導いてやるよ」
カナタが空全体を【巨大スクリーン】に設定し、ライバー活動を教科書として配信!
子供たちが「カナタ様のように空間を弄りたい」と願い始めた結果、世界中がバグった超能力者だらけに!?
「主様、あの、小さな、不純物たち。……未来の、種。……今のうちに、私が、一人ずつ、魂を、磨き上げて、おきますね……ッ!」
【作者よりお願い】
最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!
第82話、勇者がコンビニでレジを打つという、新世界の世知辛くもシュールな日常回をお届けしました。
もし「勇者の扱いが酷すぎて笑った!」「セレスティアの除菌スプレーが安定の怖さw」と思っていただけましたら、
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