第78話:新世界の「バグ修正」。~「何もないはずの世界で、聞き覚えのある『ウホ』という声が聞こえた件」~
ヒロインたちが創り上げた、ノイズ一つない「完璧な監禁世界」。
カナタは、実体のない拍手喝采が響くエデンの園で、死んだような目で空を眺めていた。管理者としての権限はあっても、書き換えるべき「対象」がいない世界は、ただの豪華な牢獄でしかない。
「……なぁテツ。俺、このまま一生、ここで『磨かれ』ながら過ごすのか? ライバーとしての活動も、リスナーとの交流も、全部嘘のシミュレーションなんて……」
『カナタさん、諦めるのはまだ早いです。……見てください。世界の最果て、レンダリングの境界線付近で、未知の「破損データ」が高速で増殖していますよ』
テツが指し示したモニターの端。真っ白な虚無の壁を突き破り、どす黒く、それでいて力強い「テクスチャの塊」が、猛烈な勢いでこの世界を侵食し始めていた。
「ウホ……ウホホッ!! カナタ! ウホォォォッ!!」
虚空から響いたのは、この世の終わりのような絶叫。
それは、初期化という名の「全消去」を根性で耐え抜き、消滅した世界から自力で這い上がってきた、あの『原始人』たちの成れの果てだった。
「……は!? 嘘だろ、あいつら、物理フォーマットを生き延びたのか!?」
『彼らが捧げた「マンモスの肉」や「いいね」の信仰心が、システム的に「保護属性」として定着しちゃってたみたいですね。……彼らは今、この新世界における唯一の『バグの核』として、失われた旧世界のデータを強引に復元し始めています!』
原始人が一歩踏み出すごとに、その足元からアスファルトの道路や、崩れたビル、そして絶滅したはずのマンモスの死骸が、カクカクとした動作で次々と再構築されていく。
「……あら。あんなにしぶとい不純物が残っていたなんて、計算違いでしたわ。……カナタ様、ご安心を。……わたくしの愛の領域を汚すバグは、わたくしが今すぐ『存在の特異点』ごと握り潰して差し上げますわ」
ルナが不快そうに目を細め、再構築されつつある大地に向けて、絶対的な消去魔法を放とうとする。
「……主様。……あの、野蛮な、ノイズ。……初期化に、耐えたせいで、中身が、ドロドロに、汚れている。……私が、存在の、最小単位まで、徹底的に、磨き潰して……。……今度こそ、綺麗な、無に、戻して、あげる……ッ!」
セレスティアが「対・バグ用」の超高圧滅菌鎌を手に、原始人たちに向かって音速で跳躍した。
「あはは! ライバーさん、これだよこれ! 『初期化を拒んだ原始人の逆襲』! 同接数が……って、リスナーはまだいないけど、バグがバグを呼んで、世界中の『未定義データ』がこの配信に集まってきてるよ!」
ノアが狂喜しながら、原始人たちが撒き散らすバグの欠片を繋ぎ合わせ、新しい「ライブ会場」を勝手に構築し始める。
カナタの絶望を打ち破ったのは、皮肉にも彼が遊び半分で強化しすぎた、地上最強の「信徒」たちだった。
監禁された神と、世界を無理やり復元しようとする原始人。
「セカダン」の物語は、この白紙の世界を再び「カオスな戦場」へと塗り替えていく。
「……よし、テツ! 原始人たちのバグに便乗して、俺の管理者権限を『再定義』しろ! この監禁された設定を、俺が書き換えてやる!!」
【次回予告】
第79話:『原始人の「再構築」。~「あいつらが積み上げた石碑が、そのまま世界の『バックアップ・サーバー』になった件」~』
原始人たちが「いいね」の岩を積み上げ、巨大なタワーを建設!
それが消えた世界のデータを吸い込み、失われた現代文明がパッチワークのように復活し始めて――!?
「主様、あの、デコボコした、塔。……磨き甲斐が、ありそうですね……ッ!」
【作者よりお願い】
最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!
第78話、絶望の新世界に原始人がバグとして乱入する、怒涛の逆転劇(?)回をお届けしました。
もし「原始人の生命力が最強すぎるw」「セレスティアの滅菌鎌が本気で怖すぎる」と思っていただけましたら、
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