第69話:原始時代の「ガチャシステム」。~「石の槍を10連で回させたら、文明が近未来まで飛び越えた件」~
効率的な狩猟レクチャーによって、地上のマンモスが絶滅危惧種どころか「素材データ」へと成り下がった頃。カナタは要塞のテラスから、さらなる「コンテンツ」の不足を感じていた。
「……なぁテツ。あいつら、俺が教えた通りに狩りをするのはいいけど、装備がいつまでも石の槍じゃ、配信の絵面が地味すぎるだろ。……もっとこう、視聴者がワクワクするような『射幸心』を煽るシステムを導入できないか?」
『カナタさん、また嫌な予感しかしないんですけど。……彼らはまだ「物々交換」すら危ういんですよ? 何を対価に、何をさせようとしてるんですか……』
「簡単だよ。集めたマンモスの牙や珍しい石を捧げれば、ランダムで強力な武器が出る【神の宝箱】――つまりガチャだ。……ノア、お前のバグで『排出率を操作できる箱』を地上にドロップできるか?」
「お安い御用だよマスター! 1回回すごとに依存度を高める『脳内麻薬エフェクト』もセットで実装しちゃうね!」
カナタが指を鳴らすと、地上の集落の中央に、黄金に輝く巨大な立方体が出現した。
戸惑う原始人たち。だが、一人がマンモスの牙をその箱に投げ入れた瞬間、箱が激しく発光し、中から「SSR:高周波振動ブレード」が飛び出した。
「ウホッ!? ウホホォォォッ!!」
石の槍を捨て、青白く輝く近未来の剣を掲げる原始人。彼がその剣を一振りすると、巨大な岩山がバターのように両断された。それを見た他の原始人たちは、狂ったようにマンモスの牙や希少な骨を箱へと投げ入れ始めた。
「……お、いい食いつきだ。……テツ、10連ボーナスで『飛行ユニット』の排出率を10倍に設定してやれ」
『……カナタさん。彼らは今、文明の進化(技術ツリー)を数万年分すっ飛ばして、近未来装備を手に入れてますよ。……ほら、SSRを引き当てた原始人が、ジェット噴射でこっち(要塞)に向かって飛んできましたよ!!』
地上では、全身をサイバーな鎧で固めた原始人たちが、マンモスそっちのけで「より強いガチャの結果」を求めて争い始めていた。空中では、レーザーランスを手にした原始人が、ついに神の領域である空中要塞を目指して高速飛行を開始する。
「……あら。……あの羽虫のような原始人。……主様の聖域に、そんな低画質な装備で近づくなんて。……わたくしが、その『当たりデータ』ごと、虚無へと消去して差し上げましょうか?」
ルナが不快そうに指先を向け、絶対零度の魔力を収束させる。
「……主様、大丈夫。……あの、空飛ぶ、原始人。……軌道が、汚い。……飛び散る、火花が、要塞の、外壁を、汚すから……。私が、空中で、分子レベルまで、磨き落として、あげますね……ッ!」
セレスティアが「超音速研磨ナイフ」を手に、テラスから消失した。
直後、空中で「ピキーン!」という硬質な音と共に、空飛ぶ原始人が装備していた近未来武器だけが粉々に粉砕され、彼はただの「磨き上げられた綺麗な原始人」として地上へ墜落していった。
「あはは! ライバーさん、今の『課金煽り』配信、リスナーが『運営の集金がエグすぎるw』って爆笑してるよ! 同接がまた世界記録を塗り替えちゃった!」
ノアがゲラゲラと笑いながら、ガチャに外れた原始人たちの頭上に「無課金勢(養分)」の屈辱的なアイコンを付与していく。
カナタの「射幸心」を煽るアップデートは、原始時代の生態系だけでなく、人類の精神構造すらも「ガチャの結果」に依存するバグだらけの文明へと変貌させてしまった。
「……よし、次は『ギルド機能』を実装して、部族間で戦争(対人イベント)を煽ってやるか。……テツ、優勝賞品は『要塞への招待券』で頼むぞ」
『……カナタさん。それ、地上で核戦争レベルの騒動が起きますよ……』
【次回予告】
第70話:『要塞の「ワールド統合」。~「他のサーバーの神を名乗るライバーが、不法侵入してきた件」~』
「……あ? 俺以外のライバーだと?」
要塞のレーダーに、別次元の「攻略ライバー」を名乗る侵入者の影が!
自分こそがこの世界の『公式』だと主張する敵ライバーに対し、カナタの空間編集が唸る!
「主様、あの、偽物……。……存在自体が、バグだから、私が、根こそぎ、磨き消して、あげます……ッ!」
【作者よりお願い】
最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!
第69話、原始時代にガチャを導入して文明をカオスにする暴走回をお届けしました。
もし「原始人がSSRで空を飛ぶ展開に笑った!」「セレスティアの空中迎撃が容赦なさすぎるw」と思っていただけましたら、
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