第67話:原始時代の「UIアップデート」。~「洞窟の壁画に『いいね』ボタンを彫ったら、宗教画扱いされた件」~
マンモスの肉が投げ込まれる「肉テロ」配信から一夜明け、カナタは要塞のテラスから地上の集落を見下ろしていた。
そこには、昨日の「投げ肉」で味を占めた原始人たちが、今度は生きたままのサーベルタイガーを引き連れて、期待に満ちた目で要塞を仰ぎ見ていた。
「……なぁテツ。あいつら、俺に何か伝えたいみたいだけど、結局『ウホ』しか言わないからレスポンスが分からなくて困るんだよ。……ライバーとして、視聴者の反応を可視化するのは基本だろ?」
『カナタさん、また嫌な予感がします。……彼らはまだ火の使い方も怪しいレベルなんですよ? 文字もネットもない世界で、どうやって反応を可視化するつもりですか……』
「簡単だよ。空間の物理レイヤーに、直接【リアクション・ボタン】を彫り込めばいい。……ノア、お前のバグで『岩に触れたら信号が飛ぶ』仕組みを作れるか?」
「お安い御用だよマスター! 洞窟の壁画に『バグのリンク』を埋め込んで、触るたびに要塞に通知が届くようにしちゃうね!」
カナタが指を鳴らすと、地上の巨大な岩壁に、突如として巨大な「親指を立てたアイコン」が刻み込まれた。
原始人たちは驚き、その「神の紋章」を恐る恐る触ってみる。すると、触れた瞬間に岩が黄金色に輝き、空中要塞から「ピコーン!」という軽快な電子音が鳴り響いた。
「……おお、届いた。……よし、いい反応だ。……テツ、お返しに『いいね』一回につき、空からプロテイン配合の特製恵みの雨を降らせてやれ」
『……カナタさん。彼らにとって、それはもはや宗教儀式ですよ。「神の石に触れると天から栄養価の高い雨が降る」なんて、後世の考古学者がひっくり返るような奇跡を量産しないでください!』
地上では、原始人たちが狂ったように岩壁に群がり、代わる代わる「いいね」を連打し始めていた。彼らにとって、その岩は「神との対話」を可能にする唯一の聖域であり、その壁画は至高の宗教画(UI)として崇拝の対象となった。
「……ふふ。……素晴らしいですわ、カナタ様。……未開の民たちが、主様の慈悲を求めて列をなす光景。……これこそが、主様が支配する世界の正しい形ですわね」
ルナが聖なる光を纏いながら、地上に降り注ぐ「プロテインの雨」をうっとりと眺める。
「……あの、岩の彫刻。……不純物が、詰まっている。……叩きすぎて、角が、丸くなってる。……私が、魂まで、磨き直して……一生、壊れない、ピカピカの、祭壇に、してあげる……ッ!」
セレスティアが「研磨用の巨石」を抱え、地上へとダイブした。彼女の手によって磨き上げられた「いいねボタン」は、ダイヤモンド以上の硬度と輝きを持ち、原始時代にはありえないオーバーテクノロジーな輝きを放ち始めた。
「あはは! ライバーさん、今の『原始時代のIT革命』動画、インプレッションが爆速で伸びてるよ! リスナーも『世界最古のSNS誕生の瞬間かよw』って大盛りあがり!」
ノアがゲラゲラと笑いながら、原始人たちのステータスに「神のデバッグ担当」という不穏な称号を勝手に付与していく。
カナタの「利便性」を求めたアップデートは、原始時代の文明バランスを根底から破壊し、世界を「神にいいねを送ることで存続する巨大な信徒コミュニティ」へと強制進化させてしまった。
「……よし、次は洞窟の中に『無料Wi-Fi(魔力通信網)』を通してやるか。……テツ、通信強度は『最強』で頼むぞ」
『……カナタさん。それ、電波を受信した原始人の脳が先にオーバーヒートしますよ……』
【次回予告】
第68話:『原始時代の「オンラインサロン」。~「マンモスの倒し方をレクチャーしたら、地上の生態系が崩壊した件」~』
「効率的な狩りの方法を教えてやるよ」
カナタが原始人たちに、空中から【AR(拡張現実)】でマンモスの弱点を表示!
スキルを伝授された原始人たちが、地上のモンスターを乱獲し始め、絶滅の危機に!?
「主様、獲りすぎた、お肉……。腐らないように、私が、分子レベルで、磨き上げて、冷凍保存して、あげますから……ッ!」
【作者よりお願い】
最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!
第67話、原始時代に「いいねボタン」を実装して宗教化させてしまうという、神をも恐れぬ(?)魔改造回をお届けしました。
もし「原始人がいいねを連打する光景がシュールw」「セレスティアが岩まで磨き上げるの流石すぎるw」と思っていただけましたら、
ページ下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして評価いただけると、執筆の大きな励みになります!
ブックマーク登録も、ぜひポチッとよろしくお願いいたします!
また、もしよろしければX(旧Twitter)などのSNSで「#セカダン」でシェアしてくれたら嬉しいです!




