第6話:『「戻ってきてくれ」と泣きつく元ギルド。~今さら遅い。俺の隣には、世界最強の聖女(ヤンデレ)がいる~』
配信を終え、ルナが淹れてくれた紅茶を飲んでいた時だ。
俺のスマホに、一通の着信が入った。
画面に表示された名前は『大手ギルド「ライトニング」・マネージャー』。
昨日、俺を「ゴミスキル」と罵って放り出した男だ。
「……なんだ、今さら」
俺が通話ボタンを押すと、耳が痛くなるような大声が響いた。
『カ、カナタ君! 見たよ今の配信! 君、あんなスキル持ってたんだね! ははは、実は君の才能には気づいてたんだ。ちょっとした試練を与えただけでさ!』
あまりの調子の良さに、乾いた笑いが出る。
『今すぐ戻ってきてくれ。特待生として契約し直そう。給料も10倍、いや20倍だ! あの美少女ライバー……聖女ルナ様とのコネも、ギルドを通して管理させてくれれば――』
「――その汚い口、今すぐ閉じてもらえますか?」
隣で紅茶を飲んでいたルナが、俺の手からスマホを奪い取った。
彼女の瞳からはハイライトが消え、絶対零度の殺気がスマホ越しに漏れ出している。
『え、あ、ルナ様!? なぜ貴女がカナタ君と……』
「カナタ様を『ゴミ』と呼んだこと、忘れたとは言わせません。あなたたちのような有象無象が、私のカナタ様に触れていいはずがないでしょう?」
ルナが空いている方の手で、空間に複雑な魔法陣を描く。
「お詫びに、あなたたちのギルドが管理しているダンジョンの『出口』、全部私の魔法で封鎖しておきました。……あ、解除してほしければ、全資産をカナタ様に譲渡して、裸で土下座配信でもしますか?」
『な、何を……!? 冗談はやめて――』
「さようなら。二度と、私の宝物に近づかないで」
ルナが通話ボタンを叩きつけるように切る。
直後、ネットニュースは「大手ギルド、原因不明の魔法封鎖により活動停止」という速報で持ちきりになった。
「カナタ様。……あんなゴミ、もう二度と視界に入れないでくださいね。あなたには、私だけがいればいいんですから」
俺の首に腕を回し、顔を寄せてくるルナ。
元ギルドへの復讐は、俺が指一本動かすまでもなく、彼女の狂気的な愛によって完遂されてしまった。




