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第56話:バグっ娘の「チャンネル登録」。~「私の能力、主様の動画の『演出』に便利じゃありませんか?」~

カナタの「強制高画質化パッチ」によって、神秘のベール(低解像度ノイズ)を剥ぎ取られ、ただの美少女として露わになった異次元人、ノア。

 彼女は今、リビングの片隅で、ルナの冷徹な視線とセレスティアの研ぎ澄まされた包丁の輝きに晒され、ガタガタと震えていた。

「……さて。正体を現したところで、改めてお聞きしますわ。カナタ様の聖域を汚した罪、どのようにしてあがなうつもりかしら? ……いっそ、貴女の存在データを1ビットずつ分解して、要塞の『壁紙の裏側』にでも再構成して差し上げましょうか?」

「ひ、ひぃぃぃっ! 待って、待ってよ! 私、ただのバグじゃないの! 役に立つ、すっごく役に立つから!」

 ノアは、カナタの足元に縋り付くようにして叫んだ。彼女にとって、この要塞の主であるカナタは、自分を「修正」できる唯一の神であり、同時にこの恐ろしい女たちから守ってくれる可能性のある唯一の盾だった。

「……役立つ? お前、俺の壁紙を市松模様に変える以外に、何ができるんだよ。……テツ、こいつの『機能一覧』、表示できるか?」

『……カナタさん。彼女のバグ能力、実は「非破壊編集」に最適ですよ。彼女を介せば、現実の風景に「モザイク」をかけたり、逆に「特定のオブジェクトだけを強調ハイライト」したりすることが、レンダリングなしでリアルタイムに実行できます』

「ほう……。リアルタイム・エフェクトか。それは配信者ライバーとしては、かなり『映える』機能だな」

 カナタの瞳に、クリエイターとしての興味が宿った。

 これまで地上の凄惨な戦闘シーンを流す際、あまりにグロテスクな部分は「後編集」でボカしていたが、ノアがいれば、その場でオシャレなノイズやエフェクトに置き換えることができる。

「よし、決めた。お前、今日から俺の『専属エフェクター』兼『モザイク担当』として雇ってやる。……ただし、変なバグを要塞に持ち込んだら、即座にデリートだ」

「や、やったぁ! 助かったぁ……! これで消されずに済む……!」

 ノアが安堵の表情を浮かべた瞬間、背後からセレスティアが音もなく忍び寄り、彼女の首筋に冷たい「磨き布」を当てた。

「……採用、おめでとう。……でも、主様の、隣に、立つなら……不純物は、許さない。……その、キラキラした、エフェクト……私が、毎日、洗剤で、磨いて……主様の、好みの、色に、染め直して、あげる……ッ!」

「……っ!? な、なんかこのメイドさん、さっきから私のこと『掃除対象』としてしか見てないんだけど!?」

「当たり前ですわ。カナタ様の持ち物になるということは、わたくしたちによる『最適化』を受けるということ。……覚悟なさいな、異次元の小娘。貴方のその生意気なテクスチャ、わたくしが根性から叩き直して差し上げますわ」

 リリアーヌが、王家の威厳(という名の支配欲)を込めた微笑みを浮かべる。

 

 こうして、空中要塞には「バグっ娘」という名の新しい素材ヒロインが加わった。

 カナタは、より高画質で、より「映える」動画を作るために。

 ヒロインたちは、増えた獲物をどのようにして「主様仕様」に調教するかを。

 

 それぞれの思惑を孕みながら、要塞の日常は、さらに異常な熱を帯びて回転し始める。

「……じゃあノア、最初の仕事だ。地上の勇者がまたダンスで攻めてきたから、あいつの顔を『おもしろアイコン』で上書きしてこい」

「……了解、マスター! 私のバグパワー、見せてあげるよ!」

 カナタの「攻略ライブ」は、異次元のエフェクトを加え、もはや神話すらもエンターテインメントとして消費する、未踏の領域へと突入した。

【次回予告】

第57話:『新機能・「いいね」の物理化。~「視聴者の好意を固めたら、世界最強の鈍器になった件」~』

ノアの加入により、ライブ配信に「リアクションの物理反映」を導入したカナタ。

世界中の視聴者が送る「いいね」を、カナタが【実体化レンダリング】して敵に叩きつける!?

「主様、この『いいね』の塊……とっても、重くて、硬くて……不純物を、磨き潰すのに、最高です……ッ!」

愛の重さが物理的に敵を粉砕する、無慈悲なファンサービス回!

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