第54話:新装開店・空中要塞。~「家具の配置をいじったら、地上の都市が一つ消えた」~
過去の自分を「統合」し、OSのバージョンアップを果たしたカナタ。
彼の瞳には、以前よりも鮮明に「世界のレイヤー構造」が映し出されていた。もはやキーボードを叩く必要すらない。彼が望めば、空間はその指先に吸い付くように形を変える。
「……ふぅ。覚醒したせいか、要塞のインテリアが急に古臭く感じてきたな。テツ、心機一転、模様替え(リノベーション)でもするか」
カナタは軽い気持ちで、空中に浮かぶ「要塞設計レイアウト」のウィンドウを広げた。
『カナタさん、今の貴方の権限は「管理者」を超えて「創造主」に近いです。少しの変更でも、地上への影響は甚大ですよ。……あ、ちょっと、そのソファのオブジェクトをドラッグしないで!』
「いいだろ、ちょっと位置がズレてるのが気になってたんだ。……よし、この重厚な黒革のソファを、窓際から中央へ――ポイっとな」
カナタがモニター上でソファを数ミリ動かした、その瞬間。
ゴゴゴゴゴゴッ!!
空中要塞そのものが激しく振動したのではない。要塞の下、はるか地上にある「大陸の座標」が、ソファの移動に同期して物理的に数キロメートル横滑りしたのだ。
「……あ。テツ、なんか地上から凄まじい衝撃波のログが上がってきてるんだけど」
『当たり前ですよ! 貴方がソファを置いた「座標」は、地上で言えば帝国の旧首都があった場所です! ソファという「高密度な質量データ」が移動した影響で、都市一つが地層ごと「上書き」されて消滅しましたよ!!』
「……マジか。まぁ、あそこは道が入り組んでて使いにくそうだったし、これを機に更地にしておいてやるよ」
カナタの無自覚な蹂躙は、覚醒によってさらにその規模を拡大していた。
「……あら。カナタ様、また新しい『更地』をお作りになったのですか? では、そこにはわたくしたちの愛を象徴する、もっと大きなモニュメントを設置して差し上げましょうか?」
ルナが頬を赤らめ、カナタの背中にぴったりと寄り添う。彼女もまた、カナタの覚醒に呼応して魔力が進化しており、その存在感はもはや神格に近い。
「わたくしは、要塞の壁紙をもっと華やかにしたいですわ! カナタ様の新しい瞳の色に合わせて、空の色を『真紅』に塗り替えてみるのはいかがかしら?」
「……賛成。……空が、赤いと……主様の、返り血が、目立たなくて……素敵。……汚れた、世界を、私が、全部、塗り潰して……あげる……ッ!」
セレスティアが、巨大な「塗り潰しツール(殺気)」を構え、窓の外の青空を睨みつける。
その時、要塞のレーダーが、未知のエネルギー反応を捉えた。
それは地上からでも、月からでもない。この次元の「外側」――すなわち、別の『プロジェクトファイル』からの不法侵入だった。
『カナタさん! 空間に穴が開いてます! 何か……言葉では説明できない「バグ」のような女の子が、こっちの次元にログインしてこようとしてますよ!』
「……は? 異次元からのログイン? 俺、そんな共有設定にした覚えはないぞ」
リビングの空間がノイズと共に裂け、そこから現れたのは、全身が「バグったテクスチャ」で覆われた、不気味に微笑む一人の少女だった。
「――見ぃつけた。……バズり方を知ってる最強のライバーさん。……君の世界、とっても『美味しそうなバグ』で溢れてるね?」
新たなヒロイン(?)の登場に、ルナたちの殺気が一気に頂点へと達する。
覚醒したカナタの空中要塞は、ついに世界の枠組みを超え、異次元のバグすらも引き寄せるカオスの中心地へと変貌し始めた。
【次回予告】
第55話:『不法侵入の「バグっ娘」。~「お前のテクスチャ、解像度が低すぎて目障りなんだけど」~』
異次元から現れた自称・世界を喰らう少女。
だが、カナタにとってはただの「画質の悪いデータ」に過ぎなかった。
「ルナ、こいつ『低画質』で見苦しいから、高精細(4K)に修正してやれ」
カナタの強制高画質化により、少女の隠された「可愛すぎる正体」が暴かれて――!?
【作者よりお願い】
最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!
第54話、新章突入回として「模様替えで都市消滅」という、スケールアップしたカオスをお届けしました。
もし「模様替えの被害が大きすぎて吹いたw」「新キャラの登場で修羅場が加速しそう!」と思っていただけましたら、
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