第5話:『初タッグ配信。世界3位の聖女が、俺のスキルを「コピペ」して無双を始めた件』
「さあ、カナタ様。世界を絶望……いえ、熱狂させる準備はいいですか?」
翌朝。ルナは昨日までのドレス姿ではなく、動きやすいがどこか扇情的な戦闘用ライバースーツに身を包んでいた。
俺の自室の「入り口」から広がるダンジョンの空気は、昨日よりも濃くなっている。
『ライブ配信を開始しますか?』
目の前に浮かぶウィンドウに、俺は迷わず触れた。
配信開始からわずか10秒。同接数は、ルナが自身のSNSで告知した影響もあり、いきなり30万人を突破した。
『うわああ! マジでルナ様と謎の新人ライバーが一緒にいる!』
『場所どこだよここ! 未発見ダンジョンってガチ?』
『カナタ……? 追放されたあの無能のカナタか!?』
コメント欄が罵詈雑言と期待で埋め尽くされる中、ダンジョンの奥から巨大な「アイアンゴーレム」が地響きを立てて現れた。
本来なら、数十人のエリート探索者がチームで挑むレベルの強敵だ。
「カナタ様、出番ですよ。あなたのその指先で、私を『増幅』してください」
ルナが聖なる光を纏い、俺の前に出る。
俺は深く息を吐き、ルナの背中に向けてスキルを発動させた。
「【空間編集】――『コピー&ペースト』」
俺が空中でルナの姿をなぞり、横へとスライドさせる。
次の瞬間、一人だったはずのルナが空間ごと複製され、十人、二十人と増殖した。
『は!? ルナ様が分身した!?』
『いや、分身じゃない。全部の個体から同じ魔力反応があるぞ! 本物が20人いるのか!?』
「「「「「滅びなさい」」」」」
二十人のルナが同時に放った極大魔法が、アイアンゴーレムを塵一つ残さず消し飛ばした。
静まり返るコメント欄。
そして次の瞬間、サーバーが落ちるほどの勢いで、見たこともない額の「投げ銭」が画面を埋め尽くした。
「ふふ、これで分かりましたか? カナタ様。あなたは私の隣にいるだけで、世界を支配できるんですよ」
勝利の余韻に浸る間もなく、ルナが俺の腰を引き寄せ、カメラに向かって微笑んだ。
その瞳には、視聴者ではなく、俺だけを反射するどろりとした独占欲が宿っていた。




