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第44話:要塞の「お客様アンケート」。~「えっ、地上の国が全部合併して『カナタ帝国』になった?」~

勇者カイルが「生きた雑巾」として廊下を磨き上げ、要塞がかつてない輝きを放っていた頃。

 地上の世界地図は、カナタの「うっかり」によって、数千年の歴史を無視した劇的な再編を強いられていた。

「……なぁ、テツ。さっきから下のレイヤー(地上)が騒がしいんだけど、何かあったか? 画面が通知アイコンで埋まってて、作業がしにくいんだよ」

 カナタがモニターの端っこに溜まった「未読通知」をドラッグして広げると、そこには信じられない見出しが並んでいた。

『【速報】大陸全12カ国、全会一致で合併。新国家「マゼラン・カナタ帝国」建国へ』

『「月をハートにする男に逆らうのは無理」各国の王、揃って隠居。カナタ氏を終身皇帝に指名』

『本日より、共通通貨は「カナタ・コイン」に変更。デザインは空中要塞を模したものに』

「……は? 帝国? 皇帝? 俺、一言もそんなこと言ってないぞ」

『カナタさん……。貴方が「月の重力設定」をいじったり、伝説の勇者を「粗大ゴミ」としてパージしたりするのを、地上の王たちはモニター(魔法鏡)で見てたんですよ。……「次は自分たちがデリートされる」って、恐怖で脳がバグっちゃったみたいですね』

 テツが呆れたようにログを流す。

 カナタにとっては「動画編集の微調整」感覚だった行動が、地上では「逆らえば存在を消される神の審判」として受け止められていたのだ。

 その時、要塞のインターホンが、再び鳴り響いた。

 今度は勇者のような殺気ではない。もっと、卑屈なまでに洗練された「営業スマイル」のような気配だ。

「……またゴミか? セレスティア、ちょっと見てきてくれ」

「はい、カナタ様。……今度は、もっと『吸水性の良い』ゴミだといいのですが……」

 セレスティアがドアを開けると、そこには各国の元王族たちが、豪華な宝箱と――そして、着飾った数百人の「絶世の美女たち」を連れてひれ伏していた。

「偉大なる編集神、カナタ皇帝陛下! 我ら地上の愚民一同、陛下への忠誠の証として、各国の至宝と、もっとも美しい乙女たちを『貢物(素材)』として持参いたしました!」

「……えぇ?」

 カナタが玄関に顔を出すと、美女たちが一斉に頬を赤らめ、熱烈な視線を送ってくる。彼女たちにとって、カナタは世界を滅ぼす魔王であると同時に、世界をハート形に作り変えるロマンチックな(?)絶対強者。玉の輿どころか「神の寵愛」を狙う女性たちの熱気は、要塞の室温を数度上げるほどだった。

 だが、その熱気を一瞬で凍りつかせる「氷の視線」が三方向から突き刺さった。

「……あら。カナタ様の『新規フォルダ』に、勝手にデータを詰め込もうとする不届きなバグがこんなに」

 ルナが杖を構え、背後に「一括消去」の魔法陣を展開する。

「カナタ様。……この女たち、掃除の邪魔ですわ。……わたくしが、エリュシオン王家の礼儀作法(という名の拷問)で、全員『使い物にならないクズ』にして差し上げましょうか?」

「……不純物。……多い。……主様の、視界が、汚れる。……全部、まとめて、液体洗剤に、してあげます……ッ!」

 リリアーヌの聖光と、セレスティアの殺意が混ざり合い、玄関先は一瞬で「地獄の選別会場」と化した。

「ひ、ひぃぃぃっ!? 聖女様、王女様! 私たちはただ皇帝陛下のお世話を――」

「陛下に触れて良いのは、正しく『最適化』された私たちだけです。……テツ、この『貢物』の連中、まとめて『アーカイブ保存(石化)』して、要塞の地下倉庫に放り込んでおきなさい」

『了解です、ルナさん。……カナタさん、これ放置してると、明日には「カナタ教」の本山とか建てられそうですよ』

 カナタは、美女たちの悲鳴をBGMに、頭を抱えた。

 ただ静かに、理想の空中要塞で動画を作っていたいだけなのに。

 彼の無自覚なスキルは、ついに世界を「一人の男のための巨大な編集ソフト」へと作り変えてしまっていた。

【次回予告】

第45話:『建国記念日の大掃除。~「皇帝の初仕事が、世界地図の『トリミング』ってマジ?」~』

勝手に建国された帝国の「皇帝」として、書類アンケートが山積みになったカナタ。

「国境線が複雑で覚えにくい」という理由で、カナタが世界地図を『一括トリミング』した結果、山脈が消え、海が四角形になり……。

地上の王たちが「陛下、それはやりすぎです!」と涙ながらに抗議する、地形魔改造回!

【作者よりお願い】

最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!

3,000文字級のボリュームで、カナタが勝手に皇帝に祭り上げられるカオスを描きました。

もし「世界が勝手にひれ伏す展開が面白い!」「ヤンデレたちの嫉妬がどんどん怖くなってるw」と思っていただけましたら、

ページ下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして評価いただけると、執筆の大きな励みになります!

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