第4話:『聖女の愛が重すぎる。~「今日から私が、あなたの専属マネージャー(飼い主)です」~』
狭いワンルームに、甘い花の香りが充満する。
ルナは俺のベッドに当然のように腰を下ろし、うっとりとした表情でこちらを見つめていた。
「カナタ様、怯えないでください。私はただ、あなたの才能を……あなたという存在を、誰にも汚されたくないだけなんです」
「……才能? 俺のスキルは、みんなにゴミだと言われてたんだぞ」
俺がそう返すと、ルナの瞳がスッと細まり、冷たい光を放った。
「あの無能なギルド連中のことですか? ――消しちゃいましょうか、今すぐに」
冗談には聞こえない。彼女が指先を動かせば、一国すら滅ぼす「聖女」の魔法が発動することを俺は知っている。
「やめろ! ……そんなこと、望んでない」
「ふふ、お優しいんですね。でも、だからこそ危なっかしい。あなたの【空間編集】は、この世界のバランスを壊す『神の権能』です。それを理解していないハイエナたちが、すぐにあなたを奪いに来るでしょう」
ルナは立ち上がり、俺の胸元に指を這わせた。
「だから、私があなたを守ります。今日からこの部屋で、私たちが最強のタッグであることを世界に知らしめるんです。もちろん、配信のプロデュースは私に任せてくださいね?」
「待て、共同生活なんて聞いてないぞ」
「あら? 拒否権なんてありませんよ。……だって、もうお隣の部屋、私が買い取って壁をぶち抜く工事を予約しちゃいましたから」
彼女の笑顔はどこまでも美しいが、その背後には逃げ場を許さない圧倒的な執念が渦巻いていた。
こうして、俺の「自宅ダンジョン配信」は、世界最強のヤンデレ聖女を相棒に迎えるという、最悪で最高のスタートを切ることになった。




