表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

39/114

第39話:解凍厳禁。~「主様、このファイルから変な悲鳴が聞こえます」~

神話級の巨神兵を沈め、さらには降下してきた『真・月球都市』をまるごと「zip圧縮」するという前代未聞の荒業を成し遂げたカナタ。

 空中要塞に再び静寂が戻ったが、それは平穏とは程遠い、嵐の前の静けさだった。

「……はぁ、はぁ。……テツ、状況は?」

 カナタは、激痛に耐えながら掌の中にある銀色の結晶体――圧縮された月球都市――を見つめた。その中には、数万の月の民と、彼らの高度な文明が、高度な演算処理によって数センチの立方体に押し込められている。

『カナタさん、冗談抜きでシステムがパンク寸前です! 月一個分の質量を「データ」として保持し続けるなんて、要塞の魔力炉ハードディスクにとっては、超高画質の4K動画を数万本同時にストリーミングしてるようなもんですよ!』

 テツが、火を吹きそうなコンソールを必死に叩きながら叫ぶ。

『このままじゃ要塞ごと「クラッシュ」します! 早くどこかに「展開エクスポート」するか、完全に削除デリートしてください!』

「デリートは流石に後味が悪いだろ。……よし、じゃあ『新規レイヤー』を作成して、この要塞の地下……いや、裏庭の空きスペースに、箱庭として「解凍インストール」してやる」

 カナタはフラつく足取りで、要塞の広大な庭園へと向かった。

 ルナ、セレスティア、リリアーヌの三人も、満身創痍の体を引きずりながら、主の背中を追う。

「……カナタ様、それは危険です。その結晶の中には、まだ奴らの敵意が圧縮されたまま……」

「大丈夫だ。解凍する時に、『敵対心』のパラメータだけ一括で0に設定し直す。……テツ、やるぞ。対象オブジェクト、展開開始!」

 カナタが結晶を空中に放り投げ、指先で『解凍ツール』を起動した。

 

 ドォォォォォン!!

 

 凄まじい光とともに、要塞の裏庭に新たな空間が拡張されていく。

 だが、カナタの「うっかり」はここでも発動した。

 要塞の容量に合わせて『リサイズ』をかけてしまったため、本来数キロメートル四方あったはずの都市が、ドールハウスのような「ミニチュアサイズ」で解凍されてしまったのだ。

「……あ。スケール設定、1/1000にしてた」

 目の前に広がるのは、膝の高さほどしかない銀色の高層ビル群。そして、そこから這い出してきたのは、親指ほどのサイズになった月の民たちだった。

「な、ななな……何という屈辱! 我ら誇り高き月の民を、このような虫籠のような場所に閉じ込めるとは!」

 ビルの中から、ひときわ豪華な衣装を纏った「小さな影」が飛び出してきた。

 それは、月の民を統べる女王、セレナだった。

 彼女は本来、神々しいまでの威厳を持つ美女のはずだが、今のサイズでは、怒って地団駄を踏む姿も、カナタたちには「可愛らしい妖精」にしか見えなかった。

「……あら。カナタ様、新しい『ペット』ですか? 随分と騒がしいゴミですが、私が踏み潰して掃除しておきましょうか?」

 セレスティアが、虚ろな瞳で女王セレナの上に足をかざす。

「ひ、ひいぃっ!? 止めるのです、この野蛮な地上の女! 私は女王……あ、待ちなさい、その大きな雑巾で私を包まないで――!」

「……磨く。……小さい……。磨き甲斐が、ある……。主様、この子……ピカピカに、しても、いいですか……ッ?」

「わたくしも混ぜてくださいな! お人形遊びの相手にはちょうど良さそうですわ!」

 ルナ、セレスティア、リリアーヌ。

 先ほどまで死闘を繰り広げていた三人のヤンデレたちが、今や小さな月の女王を「共有の玩具」として愛でる(という名の調教)を開始しようとしていた。

「……なあテツ。……なんか、思ってたのと違うけど、これで一応、解決……だよな?」

『……カナタさん。これ、解決じゃなくて、新しい「火種」を要塞に飼い慣らしただけですよ。……あと、月の女王を解凍したせいで、要塞の「愛のパラメータ」が、さらに異常な数値を叩き出してます……』

 月の都市を「箱庭」として所有することになったカナタ。

 空中要塞という密室に、新たな(極小の)ヒロインが加わり、主を巡る争奪戦は、さらにカオスな多層構造レイヤーへと突入していく。

【次回予告】

第40話:『ミニチュア女王の反乱。~「私の魔導砲、水鉄砲以下の威力なんですけど!?」~』

要塞の「観賞用」として飼われることになった女王セレナ。

何とかして元のサイズに戻ろうと、カナタの「編集ゴーグル」を盗み出そうと画策するが……。

そこで彼女が見たのは、ルナたちによる、想像を絶する「主様への奉仕活動ヤンデレ」の現場だった。

【作者よりお願い】

最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!

ページ下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして評価いただけると、執筆の大きな励みになります!

ブックマーク登録も、ぜひポチッとよろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ