第3話:『世界3位のライバーが、なぜか俺のボロアパートの前にいる件。』
配信を切った後も、手の震えが止まらなかった。
スマホの画面には、たった数十分の配信で「フォロワー10万人突破」という信じられない数字が表示されている。
「……『空間編集』。俺のスキルは、こんなことができたのか」
これまで、映像の細部を切り貼りして「映え」を作るだけのゴミ能力だと思っていた。
だが、今の俺は確かに、現実の空間そのものを「カット」して敵を葬った。
混乱する頭を冷やそうと顔を洗ったその時、通知音が部屋に響いた。
SNSのダイレクトメッセージだ。
送り主の名を見て、心臓が跳ね上がる。
『ルナ』
世界ランキング3位。美しすぎる「聖女」として知られ、数千万人のフォロワーを持つトップライバーだ。
そんな雲の上の存在が、なぜ俺に?
『カナタ様。あなたの【編集】、世界で一番美しかったです。……もう、見つけましたよ』
見つけた? 何をだ。
俺は配信中、顔を「モザイク」でペーストして隠していたはずだ。
その直後、古びたドアの向こうから、ガチャン、と重々しい金属音が響いた。
「――カナタ様。開けてくださいますよね?」
震える手でドアを開けると、そこには配信画面で見るよりもずっと透明感のある、けれど瞳の奥にどろりとした闇を湛えた銀髪の少女が立っていた。
「ル、ルナ……!? なんでここが……」
「私、あなたの配信を0.1秒単位で解析したんです。背景に映り込んだ一瞬のノイズ、空気の揺らぎ……そして、あなたが追放されたギルドのアーカイブ。全てを照らし合わせれば、あなたの居場所なんて、愛の力ですぐに分かります」
彼女は俺の制止を無視して、するりと部屋に滑り込んできた。
「さあ、続きをしましょう? 私、あなたを誰にも渡したくないんです。あなたのその『神の指先』は、私だけが独占するべきものですから……」
部屋の鍵が、内側からカチリと閉められた。




