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第2話:「初配信。ゴミスキルだと思っていた【空間編集】が、神スキルだった件」

……嘘だろ。畳が、消えてる。

 

 雨に濡れたまま立ち尽くす俺の目の前には、見慣れたボロアパートの床ではなく、冷たく光る石畳が広がっていた。

 

「なんだよ、これ……」

 

 会社をクビになり、雨に降られ、ようやく辿り着いた安らぎの場さえ奪われたのか。

 絶望する俺の視界に、追い打ちをかけるような半透明のウィンドウが浮かび上がる。

 

『未発見ダンジョン「自宅(仮)」の所有権を確認。初探索のライブ配信を開始しますか?』

 

 配信。

 それは、選ばれた強者が富と名声を得るための聖域だ。

 地味なスキルしか持たず、ギルドからも「映えない」と捨てられた俺には、一生縁のない言葉だと思っていた。

 

 だが、今の俺にはもう、失うものなんて何一つない。

 

「……ああ、やってやるよ。どうにでもなれ!」

 

 やけくそで「はい」のボタンを叩く。

 その瞬間、俺のスマホが勝手に浮き上がり、自撮りモードのカメラが俺を捉えた。

 

 視聴者数は当然、0。

 しかし、ダンジョンの奥からカタカタと骨の鳴る音が響き、一体のスケルトンが姿を現した。

 

 死の恐怖が全身を駆け抜ける。

 俺の手元にあるのは、これまでの人生で一度も戦闘に使ったことのない、映像を少し弄る程度のゴミスキル【空間編集】だけだ。

 

「……動画編集と、同じだろ……?」

 

 俺は震える指先で、モニターをいじるようにスケルトンの「首」をなぞった。

 

「対象指定……『カット』!」

 

 パチン、と指を鳴らす。

 次の瞬間、スケルトンの頭部が空間ごと「切り取られ」、物理法則を無視して床に転がった。

 

『――は? 今の何?』

 

 画面の端に、初めてのコメントが流れた。

 

『新人の配信だと思って見たら、一瞬でボス級の骨が消えたんだけど!?』

『今のエフェクトじゃないよな? まさか、現実を「編集」したのか……?』

 

 視聴者数が10、100、そして1000へと跳ね上がっていく。

 俺が呆然と立ち尽くす中、世界が俺を見つけようとしていた。

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