第19話:『空中要塞からの初配信。~「お祝いに、世界中のS級ボスをペット(インテリア)として拉致してきました」~』
雲を突き抜けた先に浮かぶ、鋼鉄と魔導の城。
かつてボロアパートだった場所は、今や世界で最も空に近い、俺だけの「聖域」となっていた。
「……さすがに、やりすぎたか?」
玉座のようなリビングの椅子に深く腰掛け、俺は広大なフロアを見渡した。
床は最高級の魔導大理石。壁にはテツが組み上げた最新のホログラムモニターが浮かび、世界中の防犯カメラや他人の配信映像をリアルタイムで映し出している。
「いいえ、カナタ様。あなたには、この世界の頂点が相応しいのです」
隣に立つルナが、うっとりとした表情で俺の髪に指を絡めた。
彼女は新居の完成を祝うためか、いつもより露出の多い、けれど神聖な空気を纏ったドレスに着替えている。その瞳の奥には、この巨大な閉鎖空間で俺を独占できることへの、狂気的な歓喜が渦巻いていた。
「……さて。家が立派になったのはいいが、中身が少し寂しいな」
「兄貴! それなら俺が、世界中のオークションから最高級の家具を運んできましょうか!」
門番兼連絡係として認められたジークが鼻息荒く提案するが、俺は首を振った。
「いや、せっかくの空中要塞だ。そこらで買えるものじゃ面白くない」
俺はテツが同期させた世界各地のダンジョン映像をスクロールし、特定のターゲットをロックオンした。
「【空間編集:範囲選択】。……ターゲット、アフリカ未踏領域の『獄炎のケルベロス』、極北の『氷河の巨像』……それと、深海の『古代龍』」
「え、兄貴? それ全部、各国が軍隊を出しても勝てないS級ボスじゃ……」
「倒す必要なんてないだろ? ――『切り取り』、そして『庭に貼り付け(ペースト)』」
パチン、と指を鳴らす。
次の瞬間、空中要塞の広大な庭園に、三体の巨大な魔獣が同時出現した。
本来なら世界を滅ぼしかねない怪物たちが、俺のスキルの影響で、まるで躾けられた子犬のように庭にうずくまっている。
『……は!? 待て、今の配信見てるか!?』
『ケルベロスが……庭で昼寝してる……だと!?』
『カナタ、お前……インテリアのセンスが狂ってるぞ(褒め言葉)』
コメント欄が過去最大の速度で流れていく。
こうして、俺の新しい「自宅」は、世界中の脅威をペットとして飼い慣らす、史上最恐のギルド拠点へと進化した。
【次回予告】
第20話:『世界中からのスカウト。~「俺の家に来たい? じゃあ入居審査を始めようか」~』
バズりすぎて世界中の権力者が空中要塞に殺到!
だが、ルナ様の許可なく一歩でも足を踏み入れた者には、無慈悲な「選別」が待っていた……。
【作者よりお願い】
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