第12話:『地下100階からのSOS。~「俺をコピペして助けてくれ」という天才技術者の無理難題を、編集スキルで解決します~』
「……助けて、ください……。ここ、暗いし……お腹空いたし……もう限界……」
ジークが持ってきたタブレットに映し出されていたのは、薄暗い作業場で力尽きかけている一人の少年の姿だった。
ボロボロの作業着をまとい、周囲には見たこともない機械の残骸が散らばっている。
「彼はテツ。不遇な『魔導工学者』だよ。既存のギルドでは『ガラクタばかり作る無能』って追い出されたらしいけど、彼が作るデバイスはこの世界の常識を超えているんだ」
ジークが説明する間も、ルナは俺の肩に顎を乗せ、画面を冷ややかに見つめている。
「カナタ様。こんな弱そうな子供、助ける価値がありますか? 私が新しいおもちゃ……いえ、機械を買い与えてあげますよ?」
「いや、ルナ。彼が持っている『解析能力』があれば、俺の【空間編集】を遠隔でも発動できるようになるかもしれない」
俺の言葉に、ルナの瞳が怪しく光る。
「……遠隔で。つまり、カナタ様がこの部屋から一歩も出ずに、世界中を支配できるということですね? ――素晴らしい。今すぐ救出しましょう」
ルナの許可(?)が出たところで、俺はスマホのカメラを「救助要請のライブ映像」に向ける。
「テツ君、聞こえるか。今から俺がお前を『コピペ』して、この部屋まで引き寄せる。……少し空間が歪むけど、我慢してくれ」
『えっ……? コピペ……? 何を言っ――』
「【空間編集:範囲選択】。ターゲット、テツ。貼り付け先、俺の目の前」
俺が画面上のテツを指で囲み、自分の部屋の空間へとスライドさせる。
パチン、と指を鳴らした瞬間。
アパートのボロい畳の上に、物理法則を無視して、椅子に座ったままのテツと山積みの機械パーツが出現した。
『……えっ? ここ、どこ? なんで……僕、さっきまで地下100階にいたはずじゃ……』
「ようこそ、俺の『自宅ギルド』へ。今日からお前が、俺たちの技術顧問だ」
唖然とするテツをよそに、視聴者数は再び爆増し、スパチャ(投げ銭)の嵐が吹き荒れる。
こうして、最強の「足」であるジークに続き、最強の「頭脳」であるテツが、俺の監禁部屋……もとい、司令部へと加わった。




