第11話:『監禁されても配信は止まらない。~「外に出られないなら、最強の仲間をデリバリーすればいいじゃない」~』
「……ルナ。いくらなんでも、この結界はやりすぎだろ」
窓の外を覆う、禍々しくも美しい神聖結界を見上げて俺は溜息をついた。
ルナは俺の隣にぴたりと寄り添い、幸せそうに微笑んでいる。
「いいえ、これで安心です。カナタ様を奪おうとする害虫も、あなたの休息を邪魔する有象無象も、誰もここへは入れません。……ふふ、ここには私とあなた、二人きりですよ?」
だが、ルナの計算違いが一つだけあった。
この「自宅ダンジョン」の入り口は、俺の【空間編集】の起点でもある。結界の内側だろうが、俺は外の世界と「通信」し、「干渉」することができたのだ。
「悪いなルナ。俺、もっとこのダンジョンを面白くしたいんだ」
俺がスマホを操作し、結界の外側に向けて『空間の穴』を小さく開ける。
そこへ、昨夜からずっとアパートの前で土下座し続けていた世界1位、ジークの叫び声が飛び込んできた。
『カナタさぁぁぁん! 結界越しでもいい! 俺を弟子にしてください! 雑用でもなんでもやります! 頼むから置いていかないでくれぇ!』
世界トップライバーのあまりの情けなさに、視聴者数は再び跳ね上がる。
「ルナ。彼なら『外の世界との連絡役』として使える。それに、彼が門番をしていれば、変な奴も近づけないだろ?」
「……門番、ですか。カナタ様がそこまでおっしゃるなら、犬小屋くらいは用意してあげてもいいですが」
ルナが渋々指を鳴らすと、結界の一部がジークだけを通すように歪んだ。
転がり込むように入ってきたジークは、俺の足元に跪く。
「ありがとうございます、兄貴! ――あ、それとこれ、途中で見つけた救助要請です。地下深くで身動きが取れなくなっている凄腕の技術者がいるみたいで……」
こうして、監禁されながらも俺の「自宅ギルド」は、外部の戦力を取り込む形で拡大を始めた。




