第101話:要塞の「ハネムーン」。~「新婚旅行の行き先が『地獄の最下層ダンジョン』に設定されていた件」~
第100話での強制的「ご成婚」から一夜明け。カナタが目を覚ますと、空中要塞の窓の外には、かつての青い空も、宇宙の星々もなかった。
広がっていたのは、煮えたぎる血の池と、黒煙を吹き上げる火山が連なる、世界の底――『地獄の最下層ダンジョン』の絶景だった。
「……なぁテツ。俺の記憶が確かなら、ハネムーンの行き先はリゾート地のプライベートビーチだったはずだよな? なんで目の前で獄卒の鬼たちがバーベキューしてるんだ?」
『カナタさん、諦めてください。……奥様方(ヒロイン一同)が、「安っぽいリゾートは不純物が多い」という理由で、座標を物理的にこの最悪のエリアに固定しちゃいましたよ。……あ、朝食の準備ができたみたいですよ』
リビングへ向かうと、そこにはエプロン姿(の下に暗黒ドレス)のルナが、禍々しい紫色のスープを並べていた。
「……おはようございます、わたくしのカナタ様。……地獄の最下層こそ、二人(?)の絆を深めるのに最適ですわ。……邪魔なノイズも届かない、この静寂の中で、永遠に愛を育みましょう……?」
ルナの背後では、地獄の王たちが「おめでとうございます……」と震えながら給仕をしている。彼女の魔力は、地獄の秩序さえも「披露宴の余興」へと書き換えていた。
「……主様、おはよう。……地獄、不潔。……硫黄の、匂いが、主様の、髪に、こびり付いている。……私が、この、階層ごと、高圧洗浄して……。……主様との、初夜に、相応しい、鏡面仕上げの、地獄に、磨き直して、あげますね……ッ!」
セレスティアが「対・溶岩用」の超耐熱研磨ブラシを手に、窓の外の火山へとダイブした。彼女がブラシを一振りするたびに、噴き出すマグマは瞬時に冷却され、美しい黒曜石のタイルへと磨き上げられていく。
「あはは! ライバーさん、見てよ! 『地獄で新婚旅行配信』、同接数が第2シーズン開始早々に銀河記録を再更新したよ! リスナーたちが『奥様怖すぎw』『死後の世界より過酷な新婚生活w』って、お供え物のアイコンを投げまくってる! ゲラゲラゲラッ!! 最高にバズってるよ!!」
ノアは要塞の壁に逆さまに張り付きながら、地獄の亡者たちが祝儀袋を持って列を作る様子を中継し、狂ったように笑っている。システムのバグから始まった結婚生活が、地獄を「映えスポット」に変えていく。
「……よし、テツ。……こうなったら、この地獄を『銀河一のテーマパーク』にリデザインしてやる。……鬼たちに制服を着せろ、ハネムーンの思い出作りは、俺がプロデュースしてやるよ!」
【次回予告】
第102話:『要塞の「家計簿」。~「地獄の魔王をバイトで雇ったら、給料が『カナタのサイン入り生写真』で完結してしまった件」~』
「……あいつ、魔王のプライドどこに捨てたんだよ」
地獄の支配者が、カナタの熱狂的なファン(リスナー)化!?
現金よりも価値がある「限定グッズ」を巡り、亡者たちの間で血で血を洗うオークションが始まり――。
「主様、あの、魔王。……魂が、欲に、汚れている。……私が、履歴書ごと、漂白して、あげますね……ッ!」
【作者よりお願い】
最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!
第101話、逃げ場のない地獄のハネムーン編が開幕しました。
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