18 依頼の完遂、されどさらなる依頼
「話はおいおいしていこうか」
壁に灯る明かりを辿って二人は来た道を戻る。
「しかし、あんたすごいな。ここに住み着いているラタペ・ルダを退けるとは」
煉瓦が敷き詰められた地下道に二人の足音が反響する。
「ええ。しかし、あなたこそどうやってここに」
そのビアトロの問いにラトプは懐から何かを取り出す。
それは壁の明かりを反射して銀色に光る首飾り。
「こいつを神官から借りたのさ、こいつにはラタペイロスの加護が込められている。普段はあの神殿に向かうときに神官達が身につけるやつなんだが」
「そうでしたか」
適当に相槌を打ちながらビアトロは改めて周囲、特に水路の中に気を配るが、先ほどとは違いラタペ・ルダが姿を見せる様子はなかった。
その後何事もなく、地下道を抜けて神殿に戻ったビアトロはラトプを連れて神殿を出ると、依頼人のいるはずの裏路地に戻る。
しかし、裏路地に入るとラトプはいささか強引にビアトロをあるところに連れて行く。
「ついたな」
「ここですか?」
ついたのは裏路地の一角にある家。しかし、はじめにビアトロが訪れた家とは違う家であった。
「ほう、よく戻ったな」
しかし、扉を開け中に入ったビアトロらを出迎えたのは依頼人であるラトプの父、トプソンであった。
「親父、実は」
困惑するビアトロをよそにラトプがトプソンに近づくとなにやら耳打ちをする。
「ふむ……なるほど、そのような術をな……」
「あなた方は一体」
戸惑うビアトロにトプソンはしきりにうなずくと、口元ににやりと笑みを浮かべる。