表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/10

6装備

いいね、ブックマークがモチベになります!

「クエスト見に行く前におにーさんの荷物返さないと」


 そーいえば俺のリュックが無いと思ってたが、預かってくれてたのか。


「持ってくるから1階で待ってて〜」

「了解です」


 1階に移動し、テーブル席に座って待つ。

 

「あんた、何者だ?」


 筋肉もりもりのガタイのいい、いかにも冒険者って感じのおっさんが話しかけてくる。


「え、と・・・今日冒険者になったものですが・・・」


 ビビりながら答える。

 いきなり先輩冒険者からの洗礼が来るんかな。


「そんなにビクビクしないでくれ。別に怒ってるわけじゃ無いからよ。冒険者はいつでも歓迎さ!」


 人は見かけによらないって言うが、この人、いい人やなぁ。

 めっちゃいい笑顔だもんな。


「いやーすみません、いきなり何者だって聞かれたもんですから、何か気に食わないことしてしまったと思いまして。」

「そんなんじゃねぇよ〜。ただ俺の聞き方が悪かったな。すまん」

「いえいえ。それで、何者だって言うのは?」

「いやなに、あのアリアが男と一緒にギルドに入ってくるもんだからよ。クエスト関連かと思ったが、どうにも違うみたいだから気になってよ。」


 さすがSランクの冒険者ってところか。

 顔を他の冒険者に覚えられてるのかな。


「アリアさんに命を救われまして。その縁で色々と教えてもらっているところなんですよ」

「なるほどなー。」

「アリアさんはSランクの冒険者と聞いています。やはり他の方は皆気になるんですか?」


 よく周りを見ると、チラチラと俺を見てくるものがいる。

 そんなに気になるものなのか。


「アリアは、あんまりパーティを組んでくれないからだな。ほとんどソロでクエストに行ってる。だから、さっきあんたと一緒に来た時は驚いたさ。それに、アリアはモテる。あの若さでSランクだしよ、可愛いだろ?スタイルも悪くねぇ。狙ってるやつは多い。」


 確かに可愛い。160くらいの身長に胸はD〜Eはあるだろうか、おまけにSランクときたもんだ。みんなに狙われるのも納得だ。

 ただ、あんまりパーティを組まないのは何でだろうか。


「おっと、アリアが来たぜ」


 話をしてる間にアリアさんが来たようだ。


「おにーさんお待たせ。ありゃ、ドムさんだ。何か用?」


 ドムって言うのかこのおっさん。


「あのアリアが男連れ来たってんで、気になってよ。まさかパーティを初心者と組む気なのか?」

「んーー?どうだろうね?」


 イタズラっぽく笑っている。


「・・・まぁ、いいか。アリアの自由だしよ。ただ、たまには俺んとこや他の連中と組んでくれよ。」

「あいあいさー」

「それじゃーな。えーと名前聞いてなかったな。」

「すみません、アサヒです。」

「アサヒか。アサヒもきぃつけろよ。じゃーな。」


 軽く手をあげ去っていくムキムキおっさん改め、ドムさん。

 普通にいい人。


「さて、おにーさん、これ荷物だよ。」

「ありがとうございます。」


 剣にリュック、特に消えている物もなく返ってきた。


「それでどのクエストに行きますか?」


 ボードの前に移動し、紙を見ながら聞いてみる。だって何もわからないから!


「そうだねぇ。おにーさんはまだ怪我完全に治ってないし、簡単なものがいいよね。あとスキルとかも確認したいよね?これでいいんじゃ無いかな?」


 見せてきた紙は、薬草20個採取のクエスト。

 うん、これなら簡単だし、危険なモンスターと戦うこともないだろう。病み上がりの俺でも大丈夫そうだしスキルの確認もできそうだ。


「いいですね、これにしましょう。」

「よし!受付いこー」


 まーた腕引っ張る。

 やめてやめて、勘違いしちゃうし、周りの何人か睨んでくるし、怖い。多分アリアさんを狙ってる人だろうけど、そんなに怒らないで!わざとじゃないから!


「これお願いしまーす!」


 受付に紙を渡すアリアさん。

 腕いつまで離さないんだろう。


「はい、それでは冒険者カードをお願いします。」

「おにーさん、カード出して〜」


 なるほどな、クエストの前に紙と冒険者カードを確認することで、なんのクエストに誰が何人で行ったかギルドが把握してるのか。 


「お願いします。」


 カードを渡す。


「確認できました。気をつけて行ってきてください。」

「じゃー行こうかー」


 カードを受け取った瞬間、まーたまた引っ張られる。


「ここから街の外に出られるんだ。」


 へぇ、ちょっとデカい門だな。ギルドの裏がそのままクエストの出入り口ってことか、便利だな。


「それじゃ行きますか?」

「んーその前におにーさんの装備買わなきゃ」


 そういえば洞窟で着ていたのが返ってきたが、傷ついてるな。薬草採取とはいえ初冒険のためにちゃんとした装備があれば安心だ。

 ただ・・・


「俺、お金持ってないのですが・・・」


 我無一文也


「私が買ってあげる!!」

「え!?いや、悪いですよ!今のままの装備でも大丈夫です!お金貯まったら新しいの買いますよ。」

「んー?私の厚意がそんなにいやー?悲しいなーしくしく」


 泣くふりなのはわかるが、周りがめっちゃ睨んでくる。

 いやいや、愛されすぎでしょアリアさん・・・


「・・・・・・わかりました。今回はアリアさんの厚意に甘えます。」

「うんうん!任せなさい!」

「ただ!絶対お金貯まったら返しますからね?」

「おにーさん、真面目だね〜私Sランクだからお金たくさんあるのに」

「年下に買ってもらって、返さないほど落ちてないので。」

「ふふん、じゃお店先に行こっか。こっちだよ」


 まーたまたまた腕を引っ張(ry

 

「一応ねギルドの中にも装備売ってるんだけど、今回は私の行ってるとこいこっ」

「Sランク冒険者の行きつけってやつですか。高そうだなぁ」

「そんなに高くないから大丈夫!」


 Sランクの高くないは安心していいものなのか。


「そーいえば、クエスト受けたのにすぐ出発しなくても大丈夫なんですか?」

「大丈夫大丈夫、薬草採取とか簡単なのだったら大丈夫!」


 なーんか軽いなぁ、Sランクが言うなら大丈夫か。




「ここだよ、私の行きつけ!」


 意外に早く着いたな。ギルドから10分くらいか。

 まんま鍛冶屋って感じだ。


「いらっしゃいアリアさん」

「モーガスさん、今日はお客連れてきたよ」

「初めまして、アサヒといいます」


 30代くらいの白髪で顎髭を生やしたイケおじって感じがする。渋っ!


「アリアさんが客を連れてくるなんて珍しい。今日は何をお探しで?」

「このおにーさんの新しい装備が欲しいんだ!お金は私持ちだから金額は気にしないよ!」

「いや、いずれ返すので、あまり高すぎないものがいいですね。」

「えー、全然いいのにー」

「俺がよくないんですよ。」


 高すぎなのはダメだ。着るのを躊躇ってしまう。ただでさえ初心者の俺だからな、最初はある程度の防御があればいい。高いものは自分で買いたいしな。


「なるほど。何か要望がありますか?」

「あんまりわからないんですが・・・アリアさん、初心者はどんなのがいいと思いますか?」

「そうだねぇ、私もわかんない!私は最初から、機能性とかあんまり気にしないで自分にビビッときたものしか買ってこなかったし!」


 参考にできないってことか。


「えーと、モーガス?さんの初心者におすすめって装備はありますか」

「そうですね、初めての方は防御を固めたいようなので、こちらの装備はどうでしょう」


 いかにも守りが固そうな甲冑のような装備だ。

 防御面に関しては心配なさそうだが・・・俺の強みを殺してしまいそうだ。

 俺は俊敏のある動きで攻撃したいし、守るというより、攻撃を避ける動きをしたい。そのため、この甲冑のような装備では関節の動きを制限されるし、走りずらそうだな。


「すみません、動きやすい装備はありますか?軽めのもので関節の動きが制限されないものがいいのですが。」

「ふむ、少々お待ちください。」


 そう言い店の奥に入っていく。


「おにーさん、武器も買う?」

「え?あー、どうしましょうか。」

「一応武器も見て行こうよ」

「了解です。」

「お待たせしました。」


 奥から装備を持って戻ってくる。


「こちらならご要望に合うのですが。」


 黒を基調とした薄くて軽めの装備だ。悪くないな。


「こちらは軽いて動きやすい装備なのですが、いかんせん防御面が心配なので売れ残ってしまっていました。なのでこちらなら無料で差し上げます。」

「いいんですか?そしたら、これいただいてもいいですか?」

「もちろんです。装備は使われてこそ意味があるのです。使っていただけるなら、この装備も喜びましょう。」

「ありがとうございます。」

「もう、おにーさん、いくらのでも私が買ってあげたのに」


 これで装備はいいだろう。死ぬ気で攻撃を避ける生活の始まりってわけよ。


「まぁアリアさん、そんなこと言わずに。アリアさんには武器を買っていただきたいですね。」

「まっかせて!どれがいいのー?」

「えーと、出来ればこの剣と長さが同じくらいで、武器も軽めのものがあればいいですね。」


 俺はロングソードを渡す。


「他に何か要望はありますか?」


 あるかわからないが、聞いてみるか。


「えと、両刃ではなく片刃のものはありますか?」


 所謂日本刀が俺の思い描く戦闘スタイルに合っているだろうと思い、聞いてみる。


「ほう、なるほど。なかなか変わっていますね。」

「やはりないですか?」

「いえ、ありますが、使う方はあまりいません。」


 そう言い、奥から日本刀に似たものをもってくる。


「なんであまり使われないんですか?」

「斬ることに関しては優秀な武器ですが、構造的に耐久性が低いのです。防御に周ってしまえば、最悪一撃で壊れるかもしれないので使う方が減り、今ではほぼいないでしょう。」

「私は違う武器がいいと思うなぁ。ま、おにーさんの好きなのでいいけどね!」


 確かに言われた通りだ。

 だが、俺はこの武器がいい。


「これください。」

「承知しました。金額は後でアリアさんに請求しますね。」

「アリアさんお願いします。あとありがとうございます。後で必ず返します。」

「どーいたしまして〜」


 新しい装備を着て、新しい武器を腰に下げる。

 これだけでワクワクしてくる。

 あぁ、いい感じだ。



「じゃー装備も揃ったしクエスト行こー!」

「行きますか。ではありがとうございましたモーガスさん。」

「装備、武器に何かありましたらいつでもきてください。」

「はい。」


 鍛冶屋を出て、ギルドに向かう。

 さてさて、初めてのクエスト、薬草採取とは言え何が起こるかな。

 起こらなくていいけどな!



続く

いいね、ブックマーク待ってます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ