表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/10

第4節:Soul Over

前回のあとがきで言ったことを簡単に覆しました。勢いって怖いですね。


今回から話が一気に動き出します。

   4


 その日も、オレたちは《クロスロード》の街中で、一緒に映画を観たり、ゲーセン入ったり、パフェを食べたりしてた。

 システムが脳神経と繋がってるから、《ロードクロッサー》のオレにも、ものの味や匂いは感じられる。腹は膨れないけど。

 ていうか、五感が繋がってるなら、《クロスロード》内で死んだ《ロードクロッサー》はどうなるんだ?


 そのとき、オレたちの、そして周りにいる人たちのポケットから、キィンキィンとサイレンが鳴った。

 スマホのアラート。悪霊がどこかに出たのだ。


「南西、やすらぎの村!」


 近くはない。連中はなぜかエリア転送装置を使えないから、人々もひとまず安堵する。 

 だが、オレと美琴だけは、急いで近くの装置に走った。

 転送装置は街中のところどころに置かれていて、大昔の電話ボックスのような形をしている。


「まだ閉鎖はされてない。行くよ」

「うん」


 二人して入り、行き先を入力すれば、たちまち目的地に着く。

 やすらぎの村は、ファンタジー世界の村風に作られたエリアだ。派手な娯楽は少ないが、自然に寄り添った穏やかな暮らしを好む人たちが多く住んでいる。


 が、その穏やかさが今、迫り来る黒い影に脅かされていた。

 到着したとたん、オレたちの目の前で、人がひとり、悪霊の餌食になった。


「美琴!」


 オレは美琴を、そしてここの人々を守りたいと、強く想う。


「オッケー!」


 美琴がオレを抱きしめた。

 その瞬間、美琴の体は光に変わり、オレの鎧へと変身した。

 《ソウルギア》……死者の想いが生者の装備になる現象。

 悪霊に追い詰められ、偶然にも発動したときから、オレたちはこの力で、この世界を守っていこうと誓った。

 世界中にも何人かいるらしいが、そうとうな少数で、まだ他の人には有ったことがない。


「覚悟しろ、化け物ども!」


 装甲の一部を弓に展開して、群がる悪霊どもに光の矢を連続で放つ。矢は無尽蔵だから、弾切れを気にする必要はない。

 が、軌道を曲げたり、矢を分身させるといった大技を撃つと、美琴が疲れやすくなる。


「反応、三時の方向──え、待って?!」

「なに? え?」


 ナビゲーターをしてくれてる美琴の声で、オレも異変に気付いた。

 側面に展開したマップのなかに示されている悪霊のマーカーが、すごいスピードで減ってゆくのだ。

 やすらぎの村の脅威はまたたく間に排除され、そして彼女(・・)が、オレたちの前に現れた。


「はぁい《ソウルオーバー》。きみ、このへんの自警団?」


 十代半ばの、おっとりした感じの女の子だった。

 ただし、それは顔だけで、首から下は炎が形を留めたような禍々しい鎧に包まれている。


「《ソウルオーバー》?」

「《ソウルギア》を使える《ロードクロッサー》のことを、そう言うんだよ? 使ってるのに、知らなかったの?」

「え? ええ……。ところで、スゴく強いんですね、あなた」

「そーお? こんなザコ、相手にする価値もないし、ほっといてもよかったんだけどね」


 オレの背筋がゾクッと冷えた。


「ほっとくって……! ここの人は、助けなくていいっていうんですか!」

「力がないやつが死ぬのは当然でしょ? それにボクが興味あるのはキミだけだし。悪霊どもは、邪魔だから始末しただけ」

「オレに……?」


 自分以外の《ソウルギア》を使える人に会えたと思ったら、会話のペースについてゆけない。

 それにこの人、言葉のふしぶしから残酷さを感じる。

 いったい、なんなんだ?


「きみ……んーん、キミが纏ってる、《ソウルギア》の子、可愛いね。ボクにくれない?」

お読みくださりありがとうございます。


さてさて、新たに登場した少女はいったい何ものなんでしょうか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ