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第71話 バホテン×活動時間


「やっと着いたけど、暑いわ……」

「ん。とける……」


 7日間の航海を終え、バホテンに到着した俺たちは港町を見渡しながらバホテンのギルドへと向かっていた。

 空高く昇った太陽からの刺すような日差しが、容赦なく俺たちに降り注ぐ。

 2人は茹だるような暑さに限界が近いようだ。

 コダパウア王国は広大な土地の大半を砂漠が占める、砂の王国だ。

 その港町のバホテンは、シグニンズ王国から輸入された物資が数多く揃う場所だが、露店はチラホラとある程度で人は少ない。


「国が変わってもギルドの看板は同じなんだな」


 目の前の建物に掛けられた看板を見た俺は、呟きながら扉を開く。一瞬、ギルド内の人たちの視線がこちらに集まるが、すぐに散っていった。

 俺は奥に見えた受付カウンターへ進み、受付嬢に声を掛けた。


「ギルドプレートの更新をしたいんだが、ここでいいか?」

「はい? えっと……」


 受付嬢はキョトンとした顔でこちらを見ると、黙ってしまった。


「ユウヤ。シグニンズ語で話しても伝わるわけないでしょ」

「あ、そうか」

「いいわ。私が話すから」


 そう言うと、リアは聞き慣れない言語で受付嬢と話し始めた。さすがは元貴族令嬢だけあって、他国の言葉もマスターしているらしい。


「ここで更新できるそうよ。2人のギルドプレートをカウンターに置いてくれる?」

「ああ」


 俺たちがギルドプレートをカウンターに置くと、受付嬢が奥の部屋へと持っていった。

 しばらくして戻ってきた受付嬢が、俺たちのプレートと新しいプレートをカウンターに置く。


「お待たせ致しました。こちらがコダパウア王国で使用できるギルドプレートになります。ランクや依頼情報などは全てデータを移行済みとなっておりますので、直ぐにお使いいただけます」


 受付嬢はニコニコと説明を始めた。


「ランクも同じなのか?」

「え、あはい。シグニンズ王国とはギルド情報を共通の物としておりますので」


 俺の質問に一瞬、動揺した受付嬢だったが、すぐに説明をしてくれた。


「なんだ、ユウヤはコダパウア語も話せたのね。話せるなら私が通訳する必要もなかったわね」

「そうだな」

 ──話せるようになったのは今なんだが……わざわざ説明する必要も無いか。


 俺はカウンターに置かれたギルドプレートを手に取り、適当に返事をした。


「そうだ。王都までの馬車の護衛依頼はあるか? 出発が早い方がいいんだが」

「それでしたら、本日の夕方出発の依頼に空きがございます」

「出発が夕方なのか?」


 出発時間に違和感があった俺は、確認のために聞き直した。


「はい。夕方の出発で間違いありません」

「それだと、出発してすぐに野営することにならないか?」

「この時期のコダパウアは夜間の活動が主流なんです。日中は日差しと湿度で外にいるだけで体力が奪われますから」

「なるほど……それじゃ、その依頼を頼む」

「かしこまりました。お手続きをさせていただきます」


 受付嬢は頭を下げると、手続きを進めた。


「こちらで手続きは完了しました。夕暮れの鐘がなる頃に外壁門に集合となります」

「わかった。近くに宿はあるか? 風呂があるところがいいんだが」

「それでしたら、ギルドを出ていただいて右手に行った所に宿がございます」

「そうか。ありがとう」


 俺は受付嬢に礼を言って、日差しが突き刺さる外へ出て宿へと向かった。


∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞


「夜は涼しいぐらいね」

「ん。快適」


 日が暮れ始めたバホテンは気温が一気に下がり、過ごしやすい気候になっていた。

 日中は宿で体を休めた俺たちは、護衛対象の馬車が停る街の門へと来ている。


「お、あれじゃないか?」


 門の近くに馬車を見つけた俺は、2人に声を掛けて馬車へと近づく。

 馬車は巨大な荷台が取り付けられ、三体のフールが手網に繋がれている。


「あなた達が護衛してくれる冒険者? なんと言うか……大丈夫なの?」


 馬車に近づくと、御者台から1人の女性が顔を覗かせた。ひとつに束ねられた金色の髪が夕日に照らされ、鋭い緑の瞳が、俺たちを見透かすように睨みつける。

 女性は俺たちを見るなり不安をあらわにした。


「こう見えて、俺はゴールド階級(クラス)だ。こっちはシルバー階級V(クラス5)で2人とも魔剣持ちだ」


 俺は信頼を得るために、こちらの情報を開示する。


「ふーん。そっちのちっこいのは?」


 女性はティナを顎で指しながら聞いてきた。


「ティナは全属性魔法が使える。訳あって階級はアイアンのままだが、索敵にも優れている」

「ん!」


 ティナは胸を張って強そうなアピールをしている。


「そ。人は見かけによらないのね……それじゃ、依頼はあなた達にお願いするわ。私は商人のリリィよ」

「俺はユウヤだ。こっちはリアとティナだ。護衛は俺たちだけなのか?」


 俺は周囲を見渡すが、馬車の周りには冒険者は見当たらない。


「依頼に来た冒険者なら、みんな断ったわ」

「断った?」


 予想外の返答に俺は聞き返した。


「ええ。私の大切な商品を守れそうになかったからね。安心して、あなた達は合格よ」

「そうか……」

「これからのスケジュールを説明するわね」


 リリィは地図を広げると、説明を始めた。俺たちは地図を囲むように覗き込む。


「王都までは日暮の間の移動になるわ。予定では3日で到着よ。日中の休む間の見張りと、夜間の護衛をお願いするわ。報酬は王都に到着してからでいいかしら?」

「ああ。それで問題ない」

「それじゃ、いきましょうか」


 俺たちが荷台に乗り込むと、馬車は王都へと移動を始める。外は夕日が砂漠を照らし、少しずつ暗闇に染まり始めていた。

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