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第67話 賢者×国王


「こんなもので終わるまい。早く出て来い」


 フジワラ王が瓦礫に声をかける。


「……いきなりブレスとか、笑えねぇな」


 俺は血刃(けつじん)に炎を能力付与(エンチャント)し、瓦礫を吹き飛ばす。瓦礫はフジワラ王へと飛来するが、リベルレイドで容易くたたき落とした。


「ほう、炎を纏わせたか。私は今、次から次に力が溢れ出てくるのだよ……私を満足させてくれよ!?」


 フジワラ王は血走る目を見開き、リベルレイドを振り上げて構える。

 

「──天雷(てんらい)


 リベルレイドを振り下ろすと、頭上から稲妻が落ちた。


「ぐぁああ!」


 炎の鎧を突き破り、稲妻が体を焼き脳天から地面へと流れていく。


「ふむ。、一撃では死なんか。次はもう少し威力を上げてみるか」


 フジワラ王がリベルレイドを振り上げると、躊躇い(ためらい)もなく振り下ろす。


「──氷棘(ひょうきょく)!」


 俺が手を突き出し唱えると、地面から天井に向かって1本の氷柱が伸びた。フジワラ王の放つ、天雷は氷棘に向かって落ちる。


「氷の魔法だと……?」

「避雷針代わりだ。これで天雷は使えないぞ」


 俺は、体の傷が取り込んだ魔素で治っていくのを確認しながら、血刃(けつじん)を構えた。


「ならば、水で攻めるまでだ」


 フジワラ王は懐から取りだした魔石をリベルレイドに喰わせると、刀身のスパークが渦巻く水へと姿を変えた。

 

「行くぞッ!」


 俺は地面を蹴り距離を詰めると、リベルレイド目掛けて血刃(けつじん)を振り上げる。


「──血刃炎刀!」


∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞


 ティナが作り出したゴーレムの体が砂になり消えた。


「さて、すぐに終わらせましょうか」


 ルピートは腰の剣を構えると、地面を蹴りティナとの距離を詰める。


「──ロックウォール!」


 ティナを地面に手を付くと、岩の壁を作りルピートの接近を止めると、至る所に複数の岩壁を作り身を隠した。


「ほう……ならば──複合魔法『雷光球(らいこうきゅう)』!」


 天井付近に光の球が出現し辺りを照らす。


「どこへも逃がしませんぞ?」


 ルピートが手を動かすと、雷球球から一筋の光が飛び出し、いとも簡単に岩の壁を破壊する。


「ほれ、どこに隠れても無駄じゃ。次はこっちかのう?」


 岩壁に逃げ込み隠れるティナだったが、ルピートは移動しながら、いたぶる様に岩壁を壊し、次々と逃げ場を減らしていく。


「む? 観念しましたかな?」


 逃げ惑うティナだったが、


「ここに来るのを待ってた」


 ティナは一言呟くと、腕輪を嵌めた右手を天井に突き上げた。


「──雷霆(らいてい)!」


 ティナが手を振り下ろすと、天井を突き破り轟音を響かせながら、雷光球とルピートを巻き込む。


「雷魔法とは……興味深いのう」


 爆煙から土埃を払いながら、無傷のルピートが現れた。


「しかし、王命じゃからな……せめて痛みを感じぬうちに終わらせてやろうぞ」


 ルピートは剣を空に突き上げ目を見開く。


「──四重魔法陣(しじゅうまほうじん)森羅(しんら)』!」


 ティナの頭上に4つの魔法陣が展開される。周囲の魔素を吸い込み輝きを放ち始めると、真下のティナに光の柱が降り注ぐ。


「無駄だよ」


 ゆっくりと手のひらを上げたティナが呟くように言う。


「──空間転移」

「な、なんじゃと!?」


 ルピートの放った魔法が、ティナの手のひらに現れた白い光に吸い込まれるように消えていく。


「返してあげるね」


 ティナが笑みを浮かべて言うと、ルピートの頭上が白く輝く。咄嗟に見上げたルピートは言葉を失った。

 自分が放ったはずの魔法がそこにあった。


「ま、待て……」

「──森羅」


 ルピートの制止も虚しく、ティナが呟くように唱えると、光の柱がルピートに降り注いだ。


「ッ……」


 ルピートは言葉を発する暇もなく、その場に倒れた。


「倒せた……ユーヤ──」


 魔力を使いすぎたのか、虚ろな目をしたティナは体をふらつかせながら、ユウヤの戦いに目を向ける。


∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞


「どうした、手も足も出んか?」

「くッ……」


 俺はフジワラ王の剣戟をただひたすらに受け流し続けていた。


「そうだろうな! お前にこの体は攻撃できんだろう!」


 フジワラ王は勝ち誇ったように、魔剣リベルレイドの切っ先をユウヤに向けながら笑みを浮かべた。


「ユウヤ、助太刀するわ!」


 俺の前に駆けつけたリアが現れナイトメアを構える。

 全身の装備はボロボロになっているのを見るに、兵士の相手をしてここまで来たらしい。


「小娘が増えたところで同じこと」

「わたしもいるよ」


 全身を土まみれにしたティナが俺とフジワラ王の間に割り込んできた。


「ルピートを倒したか……まぁいい、3人まとめて相手をしてやろう」

「2人とも無事だったか。けど、レンの体を取り返す方法がまだ見つかってないんだ……」

「そのことだけど、私ここに来るまでに思い出したことがあるの」


 リアが振り返ると真剣な目をしながら言った。


「ねぇ、王様? 体を乗っ取るのに使ったのは魔鏡よね?」

「魔鏡の存在を知っておるのか……エストレア家も知らんはずだったが、どこで知った?」

「それを作った人を知ってるの。体を元に戻す方法も聞いているわ」

「バカなッ! 偶然言い当てただけであろう!」


 フジワラ王は狼狽えながら、リアに叫び返す。


「偶然かどうか試して見る?」


 リアが懐がら魔石を取り出すと、笑みを浮かべた。


「ッ!? そんなはずは!」


 魔石を見たフジワラ王は、慌てて首にかけた魔石を手に取った。


「ユウヤ! あの魔石を壊せば元に戻せるわよ!」

「き、貴様ッ!」


 フジワラ王は怒りを顔に浮かべ怒鳴りつける。


「そうと分かれば──炎纏(えんてん)


 俺は血刃(けつじん)を構えると、体に炎を纏わせた。


「すぐに終わらせてやるよ」


 地面を蹴り距離を詰め、懐に入り込む。


「──血刃<炎刀>!」


 下から振り上げた炎の刃が、フジワラ王の首にかけた魔石のチェーンを斬り裂いた。


「わ、私の魔石が……ッ!」


 フジワラ王が手を伸ばすが、触れることが出来ず魔石は宙を舞う。


「──氷棘(ひょうきょく)!」


 地面から伸びた氷の棘が魔石を貫く。


「い、嫌だ……私は、帰るのだ……日本に……」


 レンの体が赤く光り始めると、光が四散して消えると、力なく倒れた。


「レン!」


 俺たちはレンの元へと駆け寄った。

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