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第65話 城内潜入×大斧のガルド


「なんだかんだ言って、ユウヤも気になってるんだ」

「俺は王都で食材を買っていこうと思っただけだ。狭いんだから黙っててくれ……」


 俺たちは魔導二輪に跨り、王都が見えるところまで来ていた。前にティナ、後ろにリアを乗せて来たが3人乗りはかなり狭い。


「ほら、ここからは歩いていくぞ」

「はーい」

「ん。ユーヤ、あれ見て」


 2人を魔導二輪から降ろし、インベントリに収納していると、ティナに袖を引っ張られた。指さす方を見ると王都の門を厳重に守る兵士たちの姿が見える。


「前よりも数が増えてるな……」

「あれじゃユウヤは入れそうにないわね」


 リアはわざとらしい身振りをしながら言った。


「ティナの空間転移で中に入れないか?」

「場所を特定しやすい魔力とか魔石があればできるよ。レンとグレイの魔力は覚えたから、2人の近くになら大丈夫」

「ここから魔力は感じ取れるか?」

「ん。やってみる……あれ?」


 目をつぶって集中し始めたティナが、首を傾げた。


「レンの魔力が変……? それに、グレイの魔力がどんどん小さくなってるみたい」

「魔力を使ってるってことか?」

「わからない」

「とにかく、グレイの方に向かおう」

「ん」


 ティナが手を突き出すと白い光が現れ、俺たちは光に飲み込まれた。


∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞


「ユウヤさん……たすけて、レン様をたすけてください……」


 視界が鮮明になって行くと、そこには手を伸ばし助けを求めるグレイの姿があった。


「ああ、もちろんだ」


 俺はグレイの手を握り答えた。グレイの体には新しい斬傷があり、大量に血が流れ出ている。


「レン様、が……王に」

「今は喋るな、止血が先だ」


 俺はインベントリから破れた布切れを取りだし、グレイの止血を始めた。


「王は……レン様の体を……う、ゴホッ」

「喋るなって言ってるだろ!」


 傷口を押さえつけるが、血が止まらず溢れ出てくる。


「ユウヤどいて。私がやるわ」


 見ていられないとばかりに、リアが割り込んでくると、手にファイアボールを展開させた。


「痛いけど我慢しなさい」

「ぐぁぁあ……うぅ……ぁあ」


 リアが傷口をファイアボールで焼き始めると、グレイは悶えながらも叫び声を押さえつける。


「──終わったわ」

「はぁ、はぁ……」


 血は止まったが、傷口に火傷痕が残って赤く染っている。しかし、命は助かったようだ。


「助けていただき、ありがとうございます……それとユウヤさん……聞いてください」

「ああ、何があった?」

「実は──」


 グレイは謁見の間であったことを3人に話した。


「鏡……」

「リア、どうかしたか?」

「いえ、何でもないわ。それより、レンを助けに行くんでしょ?」

「そうだな。レンをこのまま放っておけない……王城に潜入しないといけないな」

「それなら、僕が……裏道を教えるよ。城門は、守りが固いだろうからね……」


 虚ろな目をしたグレイは、立っているのもやっとのようで、ふらつきながら提案してきた。


「ああ、頼む」


 俺はグレイに肩を貸し、裏道へと向かった。


∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞


「ここから、入れるよ」


 グレイに連れられて来た場所は、王城の裏側で他の壁より低い作りになっている。


「ここからは俺たちだけで向かう。グレイは休んでいろ」

「いえ、僕も一緒に」

「ダメよ。そんな体で着いてこられても足でまといなの」

「くっ……」


 リアの一言にグレイは反論できず黙ってしまった。


「レンのことは俺たちに任せておけ」

「はい……お願いします」


 俺たちは壁を越えて場内へと侵入すると、その先は訓練場になっていた。その先には場内へと続く扉が見える。

 しかし、訓練場には──


「ここから来るとヤマを張って正解だった!」


 俺たちの前に大斧を持つプレートアーマーの男が立ちはだかった。


「俺は王宮騎士団総長のガルド! 大斧のガルドとは俺のことだ!」

「知ってるか?」

「いいえ、聞いたこともないわ」


 俺たちはガルドを無視して奥の扉へと進む。


「無視をするなッ! 異端者ユウヤよ、相手をしてもらうぞ!」

「はぁ……ユウヤが戦うまでもないわ。私が相手よ」


 俺の前にリアが出ると、ナイトメアを構えて凄んだ。


「ふん。エストレアの娘か、貴様は後で相手をしてやる」


 ガルドは鼻で笑うと、リアを無視して俺に大斧を向けた。


「これでもそんな態度を取っていられるかしら。──火燕(かえん)!」


 リアがその場で一振すると、火の鳥が切っ先から飛び出しガルドへと真っ直ぐに飛来する。


「なんの!」


 ガルドは火の鳥を大斧で切り裂こうと振り下ろす。が、火の鳥は方向を変え大斧を避ける。


「ぐぁ!」


 ガルドの顔面に飛来した火の鳥は爆発を起こし、プレートアーマーの兜を破損させた。


「やってくれるじゃねぇか……」


 兜を投げ捨て素顔をみせたガルドは怒りに満ちた表情でリアを睨みつける。


「ユウヤ! ここはいいから行って!」

「ああ!」


 俺とティナはこの場をリアに預けて、先へと進んだ。


「あっさり通すのね」

「お前を殺してから追いかければいいだけだからな……」


 ガルドは大斧を構えて凄む。リアが構えるナイトメアに色濃く赤い筋が走った。2人の視線が交差する。


「なッ!」


 先手を打ったのはガルドたった。リアの目の前に爆発音と同時にガルドが現れると、振り上げられた大斧が真っ直ぐ振り下ろされる。

 リアは既のところで後方に回避し距離を取った。


「あの巨漢でなんてスピードなの……」

「ほう……今のを初見で避けるか」


∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞


「くそ……どれだけ湧いて出てくるんだ。ティナ、レンの魔力はどっちだ?」

「ん。こっち」


 俺はティナに魔力を辿ってもらい、兵士の相手をしながらレンの元へと走っていた。

 場内は兵士で溢れ、どれだけ倒しても湧いて出てくる。


「ユーヤ! この上からレンの魔力を感じるよ!」

「上か! ──炎刀炎流(えんとうえんりゅう)!」


 炎を纏った血刃(けつじん)を振り上げると、天井をぶち抜く炎の柱が昇った。


「ティナ、行くぞ!」

「ん!」


 俺たちは風を纏うと穴を抜け、上階へと上がる。

 上階は赤い絨毯が敷かれ、美しく装飾された部屋が広がっていた。


「来たか」


 声のする方を見ると、玉座に深く腰かけるレンの姿があった。

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