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第20話 魔導二輪×ティナ

 

「アンタは相変わらずゆっくりだねぇ。すぐに朝ごはんを用意するから座って待ってな」

「ありがとう」


 1階に降りるとガランとしたホールを、女将さんが1人で後片付けをしていた。

 座って待っていると、テーブルにサンドイッチとスープが置かれた。


「お待ちどうさま。そうそう、テオさんから手紙を預かってるよ。なんでも急用で戻らないと行けないからとか言ってたけど、何かあったのかねぇ」


 女将さんはそう言うと、手紙をテーブルに置いて厨房の方へと入っていった。


「テオさんはもうカタクにいないのか……バイクのことか?」


 俺はサンドイッチを口に運びながら、手紙を開いた。


 -----------


 ユウヤさんへ


 ギルドに確認したところ、依頼に向かわれたとのことでしたので、手紙を残させていただきます。

 修理の方は無事終わりました。宿の中庭に置かせていただいてますので、ご確認ください。

 珍しい構造だったので色々と勉強になりました。ありがとうございます。

 動力部分を私なりに作り直したので、使用方法を別紙書かせていただきます。


 追伸:イエンと言う港町に立ち寄る際は、是非当店にお立ち寄りください。


 -----------


 バイクの修理が終わってるなら礼を言おうと思っていたが、どうやらイエンと言う街に戻ったらしい。


「修理できたのか。さっそく見に行くか」

「どこか行くの?」

「ん? ああ、ティナはゆっくり食べてて──」


 ティナの前には綺麗になった皿と器が残されていた。


「って、もう食べたのか……」


 朝食を急いで胃に放り込んだ俺は、ティナと一緒に中庭に向かった。


 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞


「見た目はそこまで変わってないんだな」


 中庭に置かれたバイクは外見こそ変化はあまりないが、エンジン部分に魔石がはめ込まれた魔導具らしい物が取り付けられていた。


「えっと、ハンドルを握って魔力を込める……」


 俺はバイクに跨り、テオさんの手順書通りに魔力を込めてみると、甲高い機械音が鳴り響き、力が抜き取られるような妙な感覚に襲われた。


「なんだこれ」

「ユーヤの魔力がこれに流れ込んでる」


 ティナがエンジン部分を指さしながら言った。


「そういう事か……ん? ティナは魔力の流れが分かるのか?」

「ん。ちゃんと見えてる」

「ちゃんとって、普通見えないだろ……」


 そうこうしていると、魔力を抜き取られる感覚は和らぎ、耳障りな機械音もしなくなった。


「操作方法は……特に変わりはなさそうだな。ん?」


 手順書を読んでいくと最後に気になる文章が書かれていた。

『浮いた方が段差や障害物を避けやすいと思い、動力以外にも少し手を加えました。モード切り替えはハンドル横のボタンを押してください』


「このボタンのことか?」


 俺はウインカーの横に設置されたボタンを押してみた。すると、バイクがゆっくりとホバリングを始めた。


「ここから風魔法が出てるよ」


 ティナがタイヤ近くに取り付けられた魔導具を見ながら言った。タイヤには魔法陣が展開されている。


「バランスが結構むずかしいな……」


 それからしばらく操縦練習をし、乗りこなせるようになった。


「ふぅ……魔力をちょっと使いすぎたな」


 手順書に書かれていたが、空走モードでは通常よりも魔力を使うらしい。


「これはもうバイクじゃないな。魔導具で動く二輪車だから魔導二輪ってとこか」

「ユーヤ嬉しそうだね」


 久々のバイクにニヤけていると、ティナが顔を覗き込みながら言った。


「ティナ、悪いな。待ってるだけで暇だったろ」

「んん。大丈夫だよ」


 久しぶりに愛車に乗って夢中になり過ぎたらしく、いつの間にか昼を過ぎていた。


「よし、買い物前に飯でも行くか」

「んッ! 行くッ」


 ティナが嬉しそうに返事をした。


 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞


「いらっしゃい! 空いてるお席にどうぞ!」


 俺たちは宿屋の近くにあった飯屋に入った。

 昼時なのもあってか店内は賑やかだ。

 奥の2人席に座るとすぐに店員が水を持ってきた。


「ご来店ありがとうございます。本日のおすすめは、カワードブルのカルボナードです」

「どんな料理なんだ?」

「カワードブルのお肉をエールで煮込んだギーベルの郷土料理になります」

 ──カワードブルが何かわからないが、エールってことはビール煮みたいなものか?


「それじゃ、とりあえずそれを2人前で」

「ありがとうございます」


 店員はオーダーを取り終えると、厨房の方へ歩いていった。


「なぁ……ティナ、ゴントを倒したのはティナだよな? あの時近くにいたし」

「ゴント?」

「盗賊団の頭だ。こーんなでかい大男で大きな斧を持った奴だ」

「あっ、うん。雷霆で倒したよ?」

「雷霆?」

 ──あの光のことか? やっぱりあの時見たのはティナだったのか……ステータスを見てみるか。


 ティナを鑑定すると、半透明のウィンドウが表示された。


 -----------


【名前/性別】ティナ / 女


【レベル / Exp】Lv.?? / ????<next:->


【スキル】轣ォ鬲疲ウ Lv.? / 豌エ鬲疲ウ Lv.? / 鬚ィ鬲疲ウ Lv.? / 蝨滄ュ疲ウ Lv.? / 繝槭リ繧ェ繝シ繝ゥ Lv.? / 生活魔法Lv-


【ユニークスキル】遨コ髢楢サ「遘サ / 逡ー遨コ髢灘卸騾


 -----------


「んだこれ……」


 ティナのステータスはほとんどが文字化けし、読めなくなっていた。

 ──こんなの初めてだ。でもユニークを2つも持ってるってことだよな……


「ティナ、自分が持ってるスキルは分かるか?」

「んーわからない?」

「どうして疑問形なんだよ……」


 俺は呆れながら、ティナのステータスを閉じた。

 ティナを知れば知るほど疑問が増える一方だ。


「そう言えば昨日の夜、魔素がどうとか言ってたよな? 魔素って人間には毒じゃなかったか?」

「ユーヤは魔素のことも忘れちゃったの?」


 ティナは呆れたように聞いた。


「そうみたいだ……教えてもらってもいいか?」

「魔素は魔物の根源だよ。あの時……ユーヤの体は魔素に蝕まれてたの。だから魔素を吸い取ったんだけど」

「魔素を吸い取る? ティナはそんなことも出来るのか?」

「んん。わたしじゃなくて、これ」


 ティナは首を横に振ると、腕に嵌めた腕輪を見せてきた。

 腕輪には大きな魔石が填め込まれており、魔石の中で黒い靄が(うごめ)いている。

 ──この黒いの……そうか。あの時、体に纏わりついてきたのは魔素だったのか……


 腕輪が鑑定され半透明のウインドウが現れた。


 -----------


【雷霆の腕輪】

 雷竜の魔石が填め込まれた魔導具。

 使用者は雷竜の固有スキル『雷霆』を放つことが出来る。

 使用後は魔素を補填する必要がある。


 -----------


 ──雷霆……あの時の光はこのスキルを使ったってことか。固有スキルは本来こうやって使うものなのか?


「でも、ユーヤの体の中の魔素が多すぎて、全部の魔素は吸い取れなかったの」


 ゴントとの戦闘で気絶したあと、ティナが俺の中から魔素を取り出してくれていたらしい。


「……ユーヤ怒ってる?」


 ティナは、難しい顔をしている俺を覗き込むようにして聞いてきた。


「いや、ただ……体に残った魔素はどうなるのかと思ってな」

「ん。魔素はね、体の中で魔力に変換されるんだけど……量が多いと変換が間に合わなくなるの」


 ティナは苦しそうな表情をすると、ゆっくりと口を開いた。


「体に溜まった魔素は体を侵し始めて、侵された人は徐々に攻撃的になっていくんだけど、その頃には魔素は身体の中で核……つまり魔石になるの。だから……」

「それじゃ……俺の体の中には魔石があるってことか?」

「……ん」


 ティナは小さく頷いた。


「魔石ができたらどうなる?」

「普通の人は自我を失って、魔力を求めて人を襲い始めるんだけど」

「……それじゃ俺もいつかはそうなるのか?」

「わからない……けど、ユーヤからは魔素を感じないから大丈夫だよ。きっと……」

 ──人によって耐えられるキャパがあるってことか? 帰る方法もだが、魔石を取り除く方法も探さないとだな……


「お待たせしました」


 俺たちのテーブルにカルボナードとパンが運ばれた。

 ティナは浮かない表情で俯いている。


「ティナ、大丈夫だ。体調もいいし体に違和感もない。俺はこれからも俺のままだ。 よし、この話は終わりにして食べるぞ」

「……んッ!」


 俺たちは手を合わせて料理を口に運んだ。

 カルボナードはビーフシチューのような見た目をしていて、簡単にほぐれるほどしっかり煮込まれた肉の塊が存在感を際立たせる料理だった。

 口に運ぶとフルーティな風味が口に拡がった。


「うまいな」

「おいひぃ!」


 余程美味しいのか、ティナは口いっぱいに頬張って応えた。


「「ごちそうさまでした」」

「腹も満たしたし風呂にでも行くか」


 俺たちは店を出て大浴場へ向かった。

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