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2 堕天使

堕天使……天使が魔に触れることより落ちた種族。天使と悪魔の双方の力を使うことができる。しかし、天使が堕天することは禁忌とされるため、見つかり次第天使により処刑される。

生まれ変わってから数年。

いやあ、苦労したもんだ。

始めはこの世界の言語すらわからなかったのだから。


しかし今日で7歳になった私はもう無敵さ。なんて言ったって、今日はアレ・・がある。


「フラムー。こっちにおいで」


私はここではフラムと言う名前を貰っている。前世では相生あいおいういという名前で生きていたが、今はその名を使っていない。


まだまだ前世で生きてきた時間のほうが長いけれど、7年も過ぎればさすがにおぼろげになる。

今では、遠い昔の記憶で、夢だったんじゃないかとすら思えてくる。


「フラム、7歳の誕生日おめでとう。これは私からのプレゼントよ」

「やったー!」


母さんが手渡してくれたのは小さなナイフ。果物を切るやつだ。ただし、サキュバスにとっては別の意味も含まれる。

サキュバスとは、その名の通り、男の精を貪りつくすモンスターだ。しかし、相手が屈強な男であると、逆に反撃を受けてしまうこともある。その際、最後の頼みの綱としてナイフを所持するのだそうだ。

そうして7歳の誕生日の日にナイフをプレゼントする風習が生まれたそうな。

サキュバス豆知識、おしまい。


ナイフを貰って喜んでいるように見える私だが、内心は実はそうではない。

私は、前世は普通の女子学生だったのだ。当然サキュバスになんてなりたくない!

だけど、それを言ったら母さんが悲しむし、他に生きていく道はない。


しかし私は知ってしまったのだ。この世界には魔法というものが存在する。

そしてその魔法は、安全上の理由から7歳になったら母さんが教えてくれると言ったのだ。

そう、アレ・・とは、母さんから魔法を教えてもらえることを指していたのだ!


魔法が使えれば、このサキュバス街から抜けられる。一人でこの世界を歩いていけるのだ。


「でね、約束通り今日から魔法を教えたいと思うんだけど……」


母さんが少しためらうような口調になる。


「言いにくいんだけどね、フラム。よく聞いて。貴女のお父さんは、実は天使だったの」


てててて天使!?

サキュバスに続いて天使と来たか。

私、天使とサキュバスの子供なのか!


本来サキュバスというのは、人間から精を貰い、子を孕む。そして生まれてくるのはサキュバスか、インキュバスというサキュバスの男バージョンみたいなものになる。

しかし稀に、男が人間以外の種族となると状況が変わることがある。

サキュバス、インキュバスの他に、男の種族が加わることもあるそうなのだ。

つまり私は、天使かサキュバスのどちらかかもしれないということなのだ。

以上、サキュバス豆知識2でした。


「で、それをわざわざ言うってことは……?」


つまり、私は天使だということになる!

ひゃっほーい!

確かに私、みんなみたいに巻角無いし、耳尖ってないし、腰から羽根生えてないからおかしいなあとは思ってたんだよ。

髪の毛は真っ白で、先だけ少し黒くなってるストレート。目はほんのり赤くて、肌は白い。背中には手のひらサイズの羽根が生えてる。しかし、サキュバス特有の悪魔みたいな尻尾は生えていた。

この尻尾のせいで、私サキュバスだと思い込んでたのよね。


「そう、天使だと思ってたんだけどね。どうやらフラム、堕天使みたいなの」


は?

堕天使?

どうやら天使ではなかったようだ。

あー……、堕ちちゃったかー。

まあ、そりゃ天使がサキュバスの姦淫を受けたら堕ちるよね。

てっきりサキュバス道から天使の道に進めるかと思ったのに、堕天使ですかい。堕天使って何するの?


「それでね、堕天使ってサキュバスのように男から精を貪ることが難しいみたい。それに、フラムは完璧な堕天使じゃなくて、サキュバスもちょっと混ざってるみたいなの。どっちも中途半端で、丈夫なサキュバスに生んであげられなくてごめんね」


母さんはどうやらサキュバスとして立派になってもらうのを望んでいたようだけど、私からすれば逆によかった。

そっかー、でもちょっとはサキュバス混ざってるんだね。

この尻尾がそうなのかな。

それに私の羽根は、片方が小さかった。

それが不完全な証拠なのだろう。


しかし、今はそんなことはいい。どちらにせよ、私はこの街を出るのだから。それには魔法という自力で生きていく力が必要だ。

さあ、母さん!

魔法教えて!

魔法……この世界での物理法則の一つ。あらゆる物体に存在する魔力を行使することにより発現可能。魔力は主に、生命の魂から生み出されるが、種族問わずその魔力量は個体差が激しく出る。

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