悪役令嬢、もふもふに目覚める。
もふもふもふもふもふもふ。
あー……なんて幸せな一時なのかしら。
もふもふもふもふもふもふ。
こうしてるだけでもう幸せがこみあげてくる。
ハ……駄目だ駄目だ。
このもふもふ生物をもふっているだけで私の気が狂ってしまう。
もふもふもふもふもふもふ。
駄目えええーーーーーーー。
このもふもふは私の理性が理性が……。
「お嬢様、どうなさいましたか?」
私がもふもふ生物のもふもふ天国に浸っているとメイドが私に声をかけてきた。
「な、なんでもないわよっ」
私は至って平静を装ってそっぽを向きながらそう告げる。
そう。
私はこんなもふもふなんかには屈しない。
私はこの街で恐れられている令嬢なのだ。
だからこんなもふもふなんかに……。
もふもふもふもふもふもふ。
あーやばいやばいヤヴァイ。
平静を装うとしてもこのもふもふが顔をにやけさせてしまう。
もふもふ、やばい。
もしかして、もふもふさえあれば世界は平和なんじゃね?
そんな訳で私はもふもふ生物を一家に一匹飼わせるおふれを出すことにした。
一家に一匹もふもふ生物。
なんて非道な行いなのかしら。
しかしこれで私の悪逆非道な行いも、皆気にしなくなるだろう。
おふれが出て暫くして。
もふもふが一家に一匹普及すると今まで馬鹿みたいに起こっていた暴動も嘘のように無くなった。
もふもふは正義。
もふもふは最強。
もふもふこそが世界平和への第一歩。
今日も私はもふもふにまみれて一日を過ごす。
はぁ……もふもふって最高だわ。
もう世の中もふもふだけでよくないかな?
しかし……これは恐るべき出来事への序章でしかなかったことを、私達はまだ知らない。
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