3-10 陰謀(3)
「アレク……様」
お忍び用のラフな装いに地味な茶色のコートを纏った、とても王子様には見えないその人。
ふわふわといつも以上に無造作な髪が風にそよいで、けれどいつもとは全く違う厳しい顔色でヴィンセントを見やる視線の冷たさに、ドキッとした。
けれど……。
「っ、とっ、とっ、わっ!」
突然情けない声をあげながらぐらっと体を傾げさせたかと思うと。
「ッ、アレク様?!」
ごんっッ、と、エイネシアを腕に抱いたまま、後頭部を柱にぶつける鈍い音が響いた。
「ッ、ったーっっ」
そう可愛らしい声を出して頭をさすったアレクシスに、誰もがキョトンッと言葉を失う。
良くも悪くも、一瞬にしてこの場の空気をアレクシスが持って行ってしまった。
緊迫した空気がたちまち霧散し、人々の凝り固まった空気が俄かに和らぐ。それがすぐにわかった。
「ッ、大丈夫ですかっ?!」
「はは、平気平気。あぁ。シアは大丈夫? 怪我はしていない?」
そう第一声から心配をされたことに何だか驚いてしまって、パチパチと目を瞬かせる。
いや。この人らしいといえばらしいのだけれど、つい今しがたまで追い詰められていた立場としては、なんだかちっとも予想できなかった言葉だったのだ。
「大丈夫、です……が。でもどうしてここにっ」
「いや、むしろどうしてシアはここに?」
「それは……」
まぁ、そうだよな、と困った顔をする。
説明してもいいが、だがどこからどう見てもそう悠長にしていられる空気ではない。
「アレクシス……何をしに来た」
そうグッと眉をしかめたヴィンセントが低い声を唸らせる。
それを耳にした瞬間、ふっと先ほどのように顔色を厳しくさせたアレクシスが、さっと庇うようにエイネシアを自分の背後にやった。
「これはまた、随分な呼び方だね。ヴィンセント王子。私は一応、君の“叔父”だよ」
そう言った冷ややかな声色に、ぐッとヴィンセントが息をのむのが分かる。
「ブラットワイス、大公……」
「うん。そう呼ぶべきだ」
静かに甥を諭すようにそう言ったアレクシスは、チラリとそのヴィンセントの庇う少女を目にやる。
「そっちは前に禁苑であった子だね」
「禁苑で?」
そう首を傾げるヴィンセントに、「まさか知らないのかい?」と、アレクシスがまたも冷ややかに言った。
知らないなんて許されることじゃない。かつて禁苑に無断で立ち入るという罪を犯した上に、“王太子の許嫁”を突き飛ばすという不敬を働いた人物であったことを。
今この現状にあって、エイネシアが突き飛ばされねばならないのであれば、それと同じことを彼女が受けねばならないということを。
だがその怒気を湧き上がらせたアレクシスが何かを言うよりも早く、「これは何事ですか!? 貴方までそのような格好で!」と、声を荒げたフレデリカが足早に寄ってくる。
流石にアレクシスが出て来ては分が悪いと思ったのか、その顔色がくぐもっている。
「あぁ、貴女の茶会を騒がせて申し訳ない。格好のことも謝罪はするが、しかし少々のっぴきならない事情があってね。陛下にはお許しを頂いている」
そう言われてはフレデリカも言葉を失って立ちすくむ。
それにチラと視線を寄越したアレクシスは、がさがさとコートのポケットを漁ると、おもむろに一つの皮袋を手に取って目の前に掲げた。
「ところで、この袋に見覚えのある方は?」
そう袋を掲げて貴族達を見回したアレクシスに、「あっ!」と、他でもないエイネシアの方が声をあげた。
「シアは、見覚えがあるようだね」
「途中、馬車に乗せた女性が持っていた袋ですっ。どうしてそれを!」
「公爵家の馬車で拾った。馬車がどういう状況だったかは……今、ここで口にするには憚られるが。出所を知っている方がいれば是非教えていただきたくてね」
そうギロリとフレデリカを見たアレクシスの視線に、「そんなもの知るわけないでしょう」とフレデリカが声を唸らせる。
「私のお客様を侮辱なさりに来たの?」
「まさか」
軽い声色で言うアレクシスは、意味ありげにクスと口元を緩める。
「犯人探しは私の役目ではありませんよ。そちらは今、近衛が調べてくれています。この袋はその近衛から預かったものなんですが、見知っているのがシアだけだということは、あの馬車にシアが乗っていたことの証明になります。さぁ、これで、シアがこんなところにいるはずがないこと。誰かが意図してこの状況を作り出したことの証明ができましたかね」
ピクリと目を細めたフレデリカがあからさまに拳を握って硬く口を噤んだその様子を、アレクシスの視線が注意深く見やる。
やはり、この件にフレデリカは無関係ではないのだ。
「シア。馬車内からはかなり強いスースラの散薬濃度が検出された。君も吸ったはずだけれど……平気かい?」
「目が覚めた時、近くで気付け薬が焚かれていました。今は平気です」
ほっ、と安堵の顔を一つみせたアレクシスは、続けてヴィンセントの方を見やる。
「それで、王太子殿下。随分と場の空気が悪いけれど。今度は一体、シアに何をしていたんだい?」
「ッ……貴方には関係ない! 突然出てきて一体何をっ」
「関係?」
ふっ、と笑う薄ら冷たい笑い声。
「関係ならある。見て分かるだろう? シアはこれから私と出掛けるところだった」
「何?」
「なのにいつまでたっても待ち合わせの場所に来ないから探していたら、すぐ近くで公爵家の馬車を襲う事件があったというじゃないか。犯人の行き先を調べたら驚いたことに、王宮に入って行ったという」
「まさかっ……」
「もし誰かが故意に公爵令嬢を貶め嵌めようとしたのであれば、これは重罪だ。王太子殿下。君はこの件を、すぐにでも調べるべきだと思うけれどね」
「ッ……」
グッと奥歯を噛み、エイネシアを見やる視線。
エイネシアの言葉は届かなかったけれど、流石に小さな頃からアレクシスを過剰に意識してきたヴィンセントだ。彼の言葉は届いたらしい。
「それが本当なら……とんでもないことだ」
「あぁ。一体誰が何の目的で、こんなくだらないことをことをしたのか」
そうジリッとヴィンセントと、その背中の奥を見るアレクシスに、ヴィンセントがあからさまにアイラを背中に庇った。
けれどそれに少しも物怖じしないアイラが、「まぁ。エイネシア様が誰かの恨みを買ったという事ですか?!」と、その背中を飛び出してくる。
これにはすかさず、アレクシスが眉を顰めた。
彼女は今なおアレクシスに礼を尽くしていないどころか、王太子と王弟の会話に割って入ったのだ。
それができる身分ではないことを、彼女は理解していない。
「なるほど……噂に違わないお嬢さんだね」
そう呟くアレクシスに、キッとヴィンセントが視線を鋭くした。
「大公ッ。アイラは私の許嫁だ。この程度は礼を失することにならない!」
「許嫁? そう。では君がキチンと躾けることだな。八歳のエイネシアにも出来たことが、そこの彼女にはできないらしいから」
「ッ。アイラを侮辱するのか!?」
「侮辱ではなく、忠言だ。そんなことも分からないのかい?」
ピリッとした二人の空気に、エイネシアは慌ててアレクシスの背中を引っ張った。
駄目だ。こんなところであからさまにヴィンセントと揉めるなど、絶対にアレクシスのためにならない。
けれどアレクシスは少しとして動じることも無く変わらずヴィンセントを睨むものだから、エイネシアも急いでその背中から離れると、「アイラさん!」と声をかける。
「こちらは“王弟殿下”であらせられますっ。急いで、礼をお尽くしになって。それから会話に口を挟んでしまったことの謝罪を!」
そう言ったところで、「必要ない!」とヴィンセントがきっぱりというものだから、ビックリしてエイネシアは目を瞬かせてしまった。
「殿下ッ?」
何を言っているのだとそう驚きの声を上げたところで、ハァァ、という深い深いアレクシスのため息が、この場の緊張を解きほぐしてゆく。
「ヴィー……。私はまだ、君が愚かになったわけではないと信じているよ。これ以上言ったところで君は意固地になるだけだろうから言わないが……本当にその子を大切に思うのであれば、きちんと“自制”をしなさい」
「ッ……」
ぐっと言葉を飲み込んだヴィンセントがきちんと理解をしたと見て取ったのか、もう一度吐息を溢しながら、アレクシスはエイネシアを振り返った。
「すまないね、シア。気を使わせた」
「……いいえ」
「今日のデートは中止だね」
「ア、アレク様ッ!」
誤解を生むからその言い方はやめてほしい。
そう頬を赤くして慌てるけれど、クスリ、といつものように笑ってくれたことが、少しだけ安堵を呼んだ。
アレクシスの服を掴む手が、少し震えていた。
この人が現れなかったら。来てくれなかったら……。
そう思うと、途端に恐ろしくなる。
それが分かっているのか、そっとエイネシアを抱き寄せた手が、そのままポンポン、と安心させるかのようにエイネシアの背中を撫でた。
それだけで、ほぅ、と、安堵の吐息が零れてくれる。
呼吸が、楽になる。
「陛下に事件のことを報告させている。気分が落ち着いているようなら、何があったのかを話してほしいのだけれど。大丈夫かい?」
「……はい。あの、でも私……」
こんな格好で、と自分を見降ろしたエイネシアに、クスクスと笑うアレクシスが、「私もこんなだけれど?」と言うから、エイネシアもほっと顔をほころばせた。
言われてみればその通りだ。今は陛下や近衛をお待たせる方が失礼というものだろうか。
ではすぐに、と、そうアレクシスの差し出したエスコートの手に、チョコンと手を重ねながら足を踏み出そうとしたところで、「待て」というヴィンセントの声色が、エイネシアの足を止めさせた。
「デートとは? 一体、何の事だ?」
そうジッとエイネシアを見たその視線に、エイネシアはドキッと肩を跳ね上げる。
その視線を知っている。エイネシアに自制を促す時のとても冷たい視線。窘めるように。咎めるように。そうエイネシアを見ていた視線。
けれどその視線は、すぐにもアレクシスがエイネシアの前を庇うように立ったことで遮られた。
「言っただろう? 出掛ける所だった、と。何か問題でも?」
「エイネシアはついこの間まで私の許嫁だった」
「だからどうしたんだい? 君だって、すでに別の許嫁がいるんだろう?」
「エイネシアは一方的に私との婚約を破棄したんだぞ! それを慎みもなくッ」
いつの間にか、エイネシアが一方的にという事になっているのはどういうことだろうか。
先に許嫁を破棄しようとしたのは王子の方で、エイネシアはそれを先んじて口にしただけ。そして最終的にも、ヴィンセントが直接国王にそう掛け合い、正式な破棄という運びになったはずだが。
「慎み? シアはもう誰の許嫁でもないのだから、何処で何をしようが君に遠慮する必要なんてないのでは?」
「エイネシアはアーデルハイドの娘で、私の元許嫁だ!」
「ヴィンセント様!?」
思わずアイラがそうキョトンと名前を呼ぶ。
それはエイネシアもまったく同じ心地で、一体この王子は何を言っているのだと驚いた。
婚約を破棄していながら、まさかまだエイネシアのことを束縛するつもりなのか。
元許嫁? だからどうしたというのか。
これだけ自分は好き勝手していながら、まだエイネシアには自制を求めるつもりなのか。
それはとんでもなく信じがたい言葉で、「そんな馬鹿な……」と、思わず口から零れ落ちてしまった。
「エイネシア!」
その言葉が聞こえたのか、キッと咎めるように名前を呼ばれる。
だがもうそれに、心が痛むことも何か感情が浮かぶことも無かった。
ただどうしようなく、がっかりとしているだけだ。
「殿下。私はもう、殿下の許嫁ではないのですよ? 誰とどう出掛けようが、それは私の自由です」
「自由? 何を言っている。君はアーデルハイドの娘だろ!」
「ええ。でもそれが何の関係があるのですか?」
この人が何を言っているのかが分からない。
アーデルハイドの娘だから何だ。元王子の許嫁だからなんだ。
どうしてそれで、慎まねばならなのか。
「よもや殿下は、私は殿下に慮って一生貞淑に生涯を終えねばならないと、そう仰るのですか?」
「当たり前だ」
きっぱりとそう口にしたヴィンセントには心から驚いた。
まさか本当に、そう思っているのか。
彼にとってエイネシアとは、未だに彼の“物”なのか。
「それはできません」
「何だとッ」
「以前にも申しましたが、私には私という意思があり、私の人生があるのですよ? 殿下は私を、“エルヴィア様のようにはさせたくない”と仰いました。なのに私に生涯の独身と慎みを強要するのですか?」
「だから正妃にはしない! そう言っただろう!」
分からない。ヴィンセントが何を言っているのかが、ちっともわからない。
一体何がどういう原理になってそんな言葉になっているのだろうか。
正妃にはしない。なのにヴィンセントに慮らねばならない?
まさか彼は、エイネシアの血筋を自分の後見に付けるために、妃にもなれないエイネシアを永遠に自分の手駒として飼い続けるつもりなのか。
ポカンとしたエイネシアに、傍らでアレクシスもまた思わず呆気にとられた顔で首を傾けた。
「ヴィンセント。君は未だに、シアを自分の物だと思っているのかい?」
「貴方には関係ない! 黙っていろ!」
そう鋭い視線を寄越したヴィンセントに、アレクシスは、ハァ、と息を吐いた。
だがすぐにも顔をあげると、おもむろにエイネシアの方を向いて、その手を取るから、エイネシアもキョトリとアレクシスを見やった。
はて。何だろうか。
「シア。君の婚約破棄は、国王陛下の了承を得たものだ」
「……はい。そうですが……」
「君は、何処の誰とデートしようが婚約しようが、なんら咎められたりなんてしない立場になった」
「えっと……」
だから今それをヴィンセントが咎めているわけで、どうしたものかと首を傾げる。
「君は自由だ」
だがその一言が、何かにがちがちに固められそうであった感情の殻を掻き消した。
「このシルクのように波打つ白金の髪も、玉のように透き通った薄紫の瞳も、その頭から爪先、目には見えないその気高い心に至るまで。体の端から胸の奥深くまですべてが、君のものだ。君の意思で、君の望む場所へと行くことができる、君だけの所有物だ。決して、ヴィーの所有物なんかじゃない。君はもう、誰のものでもない」
おもむろに、ほぅ、と肩の力が抜けた。
自由。そうだ。間違っていない。
それでいいのだ。
今はもう、ヴィンセントのために生きてきたエイネシアはいない。
そうであり続ける必要はないのだ。
だからそう安堵して顔をあげたら。
「だったらもう、私がもらってもいいんだよね?」
「……」
「……」
「……」
呆然と。
ただただ呆然と。
幾つもの視線が、ポカン、と呆気にとられてアレクシスを見る。
それはエイネシアも同じで、思わず口を開いて呆然としたところで、ニコリと微笑んだアレクシスが、エイネシアの手をそっと引き寄せて、指先に口付けを落とした。
「私の物になっておくれ、エイネシア」
暖かくて。柔らかくて。
ゆっくりと触れて離れたその感触に、カッと頬が上気する。
「大公! 気でも触れたのか!!」
そう激昂して声を荒げたヴィンセントに、「失礼なことを言うね」と、アレクシスはエイネシアの手をそのまま引き寄せて腕の中にしまい込む。
「君の許嫁だからと、遠慮していただけだよ。でももうそうではないのだから、私がシアに求婚しようがどうしようがもう君には関係がないことだ。それにこれで、私が君のシアに対する態度に対して口を挟む理由もできた」
「ふざけるな! そもそも、貴方がアーデルハイドの娘を手に入れるなどっ」
「野心を疑われる、か?」
クス、と笑うアレクシスに、ぐっとヴィンセントが言葉を噤む。
あぁ。やはり、ヴィンセントはずっとそれを疑り続けてきたのだろうか。
「そうだよ。それが、君が捨てたものだ。分かっているじゃないか」
「アレクシス!」
「だがもう、その野心だ王位だという話にシアを巻き込むのは止めてくれ。私はただこの子を大切にしたいんだ。小さな頃から君に散々に傷つけられてきた、この子を」
「アレク様……」
その人の突拍子もない申し出には驚いたけれど、その言葉だけは本当なのだと分かる。
今もこうして大切に、大切に腕の中に庇って、ヴィンセントの言葉の一つ一つにエイネシアが悲しまないようにと支えてくれている。
その言葉を聞かなくていいようにと。その顔を見なくていいようにと。そう庇ってくれている。
「そんなことが許されるはずがない!」
けれどそう声を荒げるヴィンセントの言葉が、エイネシアをドキリとさせる。
「君の許しなど求めていない。国王陛下とアーデルハイド家、それからシア。私に必要な許しは、その三つだけだ」
そうエイネシアの顔をあげさせたアレクシスの声に、エイネシアは再び頬に熱がのぼる感じた。
売り言葉に買い言葉……だろうか?
公衆の面前で、この人は一体何を言い出すのか。
「あの……落ち着いて、下さいませ。アレク様。冷静に。冷静に……」
「ふふっ、酷いな。冷静でないと思われているの?」
「だって……」
「まぁ、リジーにはくれぐれも“娘の気持ちが第一です”と念を押されているからね。ここで強引に返事を聞き出そうなんてしないから安心して」
「え?!」
何故そこで母が出て来るのかが分からない。
「ともあれこれで、私が私の求婚相手を所有物扱いして貞淑を求めるような野暮な元許嫁と真っ向から喧嘩をしても、問題ないわけだよね?」
呆気にとられたように空気を食むヴィンセントに対し、エイネシアは何やら訳も分からずに安堵の吐息をこぼしてしまった。
まったく……どうしてこの人はいつもいつも、こうも突拍子もないのだろうか。
どうして突拍子もなく……救ってくれるのだろうか。
「異論がないならこの話は終わりだ。陛下をお待たせしているから、失礼するよ」
そう言って王太子に軽く一礼をして見せたアレクシスが、「行こう」とエイネシアの手を取る。
それに戸惑いつつも、エイネシアは礼だけは尽くそうとキチンと振り返って、ヴィンセントに。それから、今にも扇を叩き割りそうなほどに怖い顔をしているフレデリカに、「場をお騒がせして申し訳ありませんでした」と丁寧な礼を尽くした。
そんなエイネシアを少し急ぐように促して歩き出すアレクシスに、慌ててエスコートされながら。
この何やら呆気にとられて沈黙してしまった気まずい空間から、連れ出されることになった。
二度目の断罪イベントはそれらしい話になるよりも早く、何だかとんでもない思いにも寄らない方向に向かってしまい。
「今度またヴィーに意味の分からないことを言われたら、私に言うんだよ?」
そうエイネシアの手を引く飄々としたその人に、言葉を失った。
これは一体……何なのだろうか?