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七人の少女とたった一人のバッドエンド  作者: 灯月 更夜
第二章 エデルニアの雪融け
53/192

2-23 真冬のお茶会(1)

「今日のお茶会……本当にごめんなさい。ビアンナ。ジュスタス」

 しんしんと降った雪がうっすらと庭の木の表面を彩る中、その日はちっとも空気を読まない冬晴れで、陽気が少し暖かいくらいだった。

 そんな昼下がり、寮の廊下で遭遇した二人に、エイネシアは眉尻を下げる。

「気にしないで、エイネシア姫。随分と出過ぎたことをしましたから、“アイラ姫様”に嫌われたようですわ」

 本当は言いたいことが沢山あっただろうけれど、それらのすべてを飲み込んで朗らかに言ってくれたビアンナには、少し安堵した。

「それよりも姫の方が心配です。今日はアン王女も出席なさらないのでしょう?」

 そう言ったのはジュスタスで、エイネシアもその点については懸念の顔をした。

 今日は十二月二十七日。年末の終業は二十八日であるのが慣例で、しかし今年は二十八日が休日であるので、昨日、二十六日に年内の授業が終業した。そのため今日頃からちらほらと実家へ帰省する人が散見しており、アンナマリアもまた三日ほど前、急遽王宮から母フレデリカの手紙があって、二十七日に帰ってくるように、とのご命令があったのだ。

 そのため今朝からとても心配そうにエイネシアの手を握って、何度も何度も『気を付けて』と言いながら、一足先に帰省して行った。

 アンナマリアだけではない。ビアンナやジュスタスもすでに帰省の仕度をしていて、今廊下ですれ違ったのも、これから帰省する彼らと行き会っただけのこと。

「本当なら今日一日……寮に残っていたいのだけれど」

「早く帰ってくるようにとのご実家からの連絡が有ったのでしょう? どうか、そちらを優先してください。大丈夫。私にはエドがいます」

 そう微笑んでは見せるが、そのエドワードも、今日の茶会には出席しない。

 あろうことかヴィンセントが、自ら名簿からその名前を省いたのだ。

 それはエドワードだけではなく、アルフォンスの名前も。

 わざわざ彼らに、『今回の茶会は貴賓のいないものにしたい』との理由の説明を受けたそうで、決して蔑ろにされたというわけでないことは確かだが、しかしいつの間にか招待客の中に入っていたシンドリー侯爵令孫らの名前を見れば、それがどういう意味での除外であったのかなど一目瞭然だった。

 とにかく、徹底してエイネシアの味方を名簿から除外した。そういうことなのだ。

 しかし今日のお茶会の開催場所はこの星雲寮の裏庭に面した南棟のサロン。

 すぐ傍の建物に、エドワードもアルフォンスもいて、ましてやほど近い場所には寮監事務室もあるし、恐れることなんて何もない。

「年が明けたら、すぐに戻ってきますわ」

「ええ。有難う、ビアンナ」

「何かあったなら、今日でも明日でも、とにかく便りを。うちのタウンハウスは学院から近いので、すぐにも駆けつけます」

「ジュスタスも、有難う。二人ともお気をつけて帰ってね」

 そう名残惜しそうにする二人を見送ってから、玄関脇の談話室へと入った。

 そこには先んじてヴィンセントが待っていて、いつもより少しラフに装ったその人の胸元に、もうエイネシアと揃いの薔薇はない。

 エイネシアも今日は髪に薔薇を飾ってはおらず、やんわりと結い上げて、あの翡翠の百合の簪を飾っていた。

 この茶会に、リードスからもらった髪飾りを着用したのは、密かな意趣返しだ。

 当然ヴィンセントはこの髪飾りの来歴なんて知らないのだけれど、あくまでエイネシアの心の中での一つの支えのようなもの。

 自分の側にも、異性からもらった髪飾りがあることと。そして、ダグリア公爵家が傍についているという、そんなささやかな心の支え。

「茶会の準備は」

 部屋に入って早々、目も見ずにかけられた言葉に、「滞りなく」と答える。

 すると「だろうな」という短い言葉が返ってきて、会話二言目にしてこっそりとため息をついてしまった。

 わざわざそんなとげとげしい物言いをすることなんてないのに。

「主催者として、茶会の初めはエスコートする。だが退席のエスコートはできない。先に言っておく」

「わかりました。あぁ。アイラさんに、寮をご案内して差し上げるのでしたか?」

 そんな予定は聞いていなかったが、多分そういうことだろうとかまをかけて口にしたら、ヴィンセントはチラリと視線を寄越した後、「そういう約束だ」と答えた。

 なるほど。本当にそうだったのか。隠すつもりもないとは。

 だとしたら、まさか……。

「それで、ビアンナたちを急いで家に帰らせたのですか?」

 口にしてすぐに、ああ、この質問は不味かったな、と思った。

 別に答えて欲しい質問ではない。むしろ、答えて欲しくない質問だったかもしれない。

「私が、スカーレット家に圧力をかけたとでもいいたいのか」

 ギッ、と睨むような視線を受けて、僅かに瞼を下ろす。

「いいえ。そのようなことは信じたくありません。ですので一言、“違う”と仰ってくださいませ。そしたら私は、それを信じます」

 アンナマリアが急に帰らねばならなくなったことも。違うと言うのであれば、それを信じる。

「……もういい」

 だがきっぱりと否定することも無くそう言って視線を逸らしたその人に、あぁ、と、俄かに納得してしまった。

 ヴィンセントは昔から、腹芸のできない人なのだ。

 必要な嘘は吐くが、必要のない嘘は吐けない。

 後ろめたい時は尚更で、自分の矜持に反する行いをする時は、いつも必ず言葉を濁す。

 そんな癖も知り尽くすくらいには、ヴィンセントと長く一緒にいた。

 だから彼が言葉を濁した理由も、知りたくないのに、知ってしまった。

 そんなことをしてまで、エイネシアから味方を引き離したかったのだろうか。

 何のために。


 そのうち、がやがやと玄関は賑やかになり始め、「お客様がお揃いです」と顔を出したアマリアに、ヴィンセントは席を立つ。

 この日の茶会にはエニーやアニタ、メリッサやオルガ。この寮の馴染みの侍女達は一切かかわることが禁じられており、侍女達さえもすべて王子が王宮から連れてきた昔からの近侍の侍女達で取り仕切られることになっているのだ。

 その状況に、少しだけ。少しだけヴィンセントを試すかのように、腰をあげずに座り続けたエイネシアに、しかしやはりヴィンセントは手を差し伸べてくれることは無かった。

「何をしている。早くしろ」

 ただそう言った彼に、ゆっくりと席を立ち、扉の前でじっと待つヴィンセントの腕に、義務的に手を回す。

 腕に触れる指先が、嫌に冷たい。

 肌に感じる感触が、どこか空虚で頼りない。

 許嫁を“演じる”というのは、こんなにも虚しいものだったのだなと実感した。

 それでも長年培ってきた笑顔というスキルは完璧だ。ニコリと上品な笑みを浮かべ、玄関ホールに集まっていた十数人のいつもよりずっと少ないお客様に視線を寄越す。

「よく来てくれた。今日はささやかながら、茶会の席を用意した。楽しんでいって欲しい」

「さぁ。ここは冷えますわ。サロンへどうぞ」

 王子の許嫁として少しの遜色も無くそう促して、ヴィンセントの手に導かれながら玄関ホールの奥の階段室を突き抜け、テラスから中庭へ。中庭から南棟へ入り、その正面のサロンへとこの日のお客様方を誘う。

 星雲寮へ入るのが初めてである人達も多く、皆思い思いに辺りを見回しては、「まぁ。中庭があるのね。素敵」「本当にこんなに広い寮を十数人で?」などと会話を交わす。

「まぁ、見て。とてもかわいいお花。白くて小さくて。まるで星みたい」

 中庭の途中、足を止めたアイラがそうしゃがみ込んで、木の根のたもとに沢山生えた白い小花に声をあげる。

「まぁ。アイラさん。そんなところにしゃがみ込んでしまって」

 そう言いながら手を差し伸べるメアリスに、「だってとっても可愛らしくて」と言う無邪気な声色が、僅かにヴィンセントに目を細めさせ、まるで眩しそうにその姿に微笑を浮かべた。

 彼女のその素直な反応が、きっと可愛らしいのだろう。

「こんなにひっそりと咲いているのがもったいないわ。でも……名もない野花では、仕方がないのかしら」

 憂えを帯びたような、まるで自分とその花を重ねるかのような物言いに、皆がどこか切なげな顔をした。けれど、お生憎様。その花は名もない野花なんかじゃない。ユリ目ヒガンバナ科スイセン属。薬にも観賞用にもなる立派な水仙の原種の一つである。

「あら、アイラさん。ペーパーホワイトをお気に召して下さった?」

「え? あ、え?」

 エイネシアが自ら話しかけたことに驚いたのか、パッと顔をあげたアイラはエイネシアを。それからチラと花を見て、またサッと驚いた顔を跳ね上げる。

「ペーパー、ホワイト?」

 疑問の声を上げたのは、少し離れたところで相変わらず所在なさそうに立っていたカレンナだった。

「可愛いお花でしょう? 星形のお花が小さく一杯に咲き乱れる様子が星雲寮のお名前にもぴったりだと思って、薬室の研究林で見つけたのを分けていただいたんです」

「え? ではエイネシア様が?」

 そう首を傾げたのは同じ二年の子だ。

「お気に召していただけたならよかった。お部屋にも沢山飾ってありますから、宜しければ、暖かい部屋の中でご覧になって」

 そう促したエイネシアに、「そうしよう。外は寒い!」と、シンドリー侯爵令孫のダリッドがいち早く部屋に飛び込んだものだから、皆もそれに倣うようにして、チラチラとアイラを気にしながらも順々に部屋へと入って行った。

 アイラは今しばらくどこか悔しそうに拳を握りしめてエイネシアを睨んでいたけれど、ふっとヴィンセントが振り返った瞬間見事なほどに顔を微笑ませて、「それは楽しみです」だなんて言って、最後に部屋に入った。


 さぁ。これでヴィンセントのエスコートのお仕事は終わりだ。

 手を添えたまま部屋に入ると、すぐにもどちらからともなくその手は解ける。

 続けて部屋に入ってきたアマリア達が、カップを並べてゆく。

 サロンは小ぶりなので、基本的には固定の席のない立食式。四方にはソファーが並べられていて、適宜座りながらお茶を楽しむスタイルで、お茶会と言っても会話の方がメインとなる。

 なので部屋の一角に置かれたテーブルに並べられた沢山のティーカップに、その場でエイネシアが手ずから紅茶を注いで行き、アマリア達と手分けしながら一人一人にカップを持って行った。

 もちろんだが、主催者といえども王子様にそんな役はやらせない。

「最初のお紅茶は、さっぱりとしたコクの楽しめるアッシアをご用意しました。今日はお寒いですから、ソーサーにはジンジャーキャンディーを添えてあります。とても体を温めてくれますのよ。宜しければお好みで、キャンディーを紅茶に溶かしていただいてください。ではどうぞ皆様。心行くまで楽しんでいって下さいませ」

 そう促したところで、「まぁ、キャンディーですって」「紅茶に生姜?」と、早速興味を示したお嬢様方が、カラカラと棒付きのキャンディーで紅茶をかき混ぜた。

 このジンジャーキャンディーは最近アンナマリアやメリッサ達と色々と試作を重ねて作り上げたもので、すりおろした生姜とたっぷりの蜂蜜を溶かしこんである。

 紅茶に溶かすとほんのりとスパイシーになり、冬にはどことなくぽかぽかと暖かい心地がして、とりわけ寒い職場で水仕事などをする侍女たちに大人気になっている代物だ。

 幸い、お嬢様方も気に入ってくれたようで、「これ美味しいわ」と、思わずそんな会話が飛び交う。

 さてさて、アイラさんは、と見てみたら、なんと紅茶にすら一口も手を付けずにテーブルに戻して、早速ヴィンセントの元へと駆け寄っていた。

 主催者が最初に入れた紅茶に手を付けないのはマナー違反なのだが。

 まぁ、今更そんなことを窘めるのも詮無いことだ。

「ごきげんよう、ダリッド卿。お紅茶は口に合いまして?」

 取りあえず主催者としてそのままぼうっとしているわけにもいかないので、まずはこの中で一番家格の高いシンドリー候の令孫に声をかける。

 すでにカップの中は空で、すぐに壁際に立つアマリアに視線を寄越すと、気が付いたアマリアが歩み寄ってきてカップを引き取った。

「ええ。まぁ、私には紅茶の味なんてわかりませんがね」

 はははっ、と豪快に笑うその笑い方は、お祖父様にそっくりだった。

「お好みがありましたら伺いますわ。ミルクや蜂蜜。甘いのがお好きでなければ、シナモンやカルダモンなどのスパイスもお試しになってみませんか?」

「シナモン? 菓子に入ってるようなものを?」

「お試しになってみます? ほんのりとした甘味と香りがたって、いつもとは違ったお味が楽しめますわよ」

 そうエイネシアが言うのと同じくして、アマリアが新しい紅茶を注いだカップに、シナモンスティックを一本添えて持ってきた。

「これを溶かして飲むのか?」

「ええ。ゆっくりと、二、三回回してください」

 先ほどから随分と口調が礼を失しているが、案外素直なところもあるようで、興味津々に言われた通りにスティックをかき混ぜると、紅茶を口に含む。

「へぇ。これは面白い。確かに、飲んだことのない……うん。悪くないな。カルダモンというのは?」

 どうやら随分と食いついたようで、他の物にも興味を示す。

「清涼感があってほんのりと刺激的なお味に。ダリッド卿のような精悍な紳士には、お勧めですのよ」

 本気でそう思っているわけではないが、その言葉に気を良くし、そそくさとポットのあるテーブルに自ら足を進めるほどに興味を持ってくれたのは幸いで、あっという間に三杯目へと手を伸ばす様子は実に意欲的なお客様だった。

 まぁ……あんまりガブガブ飲むというのも、本来ならば礼を失する行為なのだけれど。気に入ってくれたようなら良いとする。

「あの……エイネシア、様」

 そんな中で、こそっ、と控え目に声をかけて来たのはカレンナだった。

 周りを少し気にしながら。でも手に空いたティーカップを持って、話しかけるためというより新しい紅茶を受け取るために、といった風を装っているのがすぐにわかった。

「ごきげんよう、カレン。紅茶はお気に召していただけましたか?」

「はい。生姜とハチミツ。とても美味しかったです」

 そう顔をほころばせるカレンナに、ほっとする。

「カレンはどのような紅茶がお好きかしら。ミルクや蜂蜜。いえ。少し緊張しているようね。ほっと気持ちを和らげてくれるハーブティーはいかが?」

「アーデルハイド家でのお茶会も、そういえばいつもこうして、色々な趣向が凝らしてありましたよね」

「覚えていてくれたのね。嬉しいわ」

 エイネシアも少し、気が和らいだ。

 カレンナの声色には少しも敵対心は無くて、むしろどことなく申し訳なさのようなものがにじんでいる。

 実際のところエイネシアはカレンナが何をしたのかなどまるで存じていないのだが、少なからずエイネシアの悪い噂の流出元に絡んでいるのは間違いないのだろう。それが彼女を委縮させてしまっている。

「ハーブティーを。いただいても、宜しいですか?」

 それからそう侍女の方へとカップを返しながら言ったカレンナの言葉には、『とても緊張しているんです』とでも言うようなニュアンスが含まれていたように思えた。

 そんな彼女にぴったりの、心を落ち着けてくれるハーブティーをアマリアが差し出してくれる。

「懐かしい、お味です」

 そうだろう。これもエイネシアが事前に調合したハーブで、かつてアーデルハイド家で催した茶会でも用意していた。

 幼い子供ばかりが集まる茶会だから、緊張してうまくしゃべれない子が絶対にいるはずだから、と、そう気配りして用意したお茶だった。

「カレン。そんなに萎縮しなくていいのよ」

「……っ。いえ」

「お茶は心を休めてくれるものなの。どうか自分を責めずに、楽しんでいってちょうだい」

「エイネシア様……」

 あぁ、そうか。この人は全部分かっているんだ、と。そう驚いたような視線が向けられたけれど、エイネシアはそれにニコリと微笑んで見せただけで、歩み寄ってきた別の令嬢に、同じような言葉をかけてカレンナの傍を離れた。

 そうやって一人、二人と対応している内に、今日の来客の傾向が大体読めてきた。

 客は十人ちょっとだが、その内の数人はアイラの側でよく見かける人達になる。だがそのアイラの擁護者の一人になっているというマクレス・シグノーラや、この寮の住人であるシシリアの姿はなく、前者についてはヴィンセントとの面識があまりないこと。後者は、寮長らの出席を断っている手前という理由があるように見受けられた。

 しかしシンドリーやカレンナ、メアリスといった、よく他のお茶会でもアイラを取り巻いて現れる人達はおおむね揃っていて、その他に、関係があるのかないのか良く存じていないような伯爵家や子爵家の子女が招かれているようだった。

 王族が催す茶会でありながら、侯爵家の人間がたったの一人。しかも大半が子爵家以下という異例のお茶会であることは、まだいい。だが、日頃当たり前のようにこの寮内で交わされている礼儀がまるで失されているこの空間は、とてもじゃないが居心地のいいものではなかった。

 それなのに平然と馴染んでいるヴィンセントは、一体どういう心境なのだろうか。この礼や作法のない無礼講の空間が、心地よく思えているのだろうか。

 こんな状況なものだから、お客様も最初は多少なり礼儀を知っている人達が主催者との儀礼的な会話を交わしに新たな紅茶を求めに来てくれたものの、すぐにもエイネシアは役目を失った。

 皆エイネシアなど目に入らないかのようにヴィンセントを取り囲んではしゃいでいて、その光景はもはや茶会などではない。ただヴィンセントが、私的に親しい人達を寮に招いただけの、私的な催しにしか見えなかった。

 役目が無いならさっさと部屋に帰りたいくらいだったが、一応主催者である以上、そうすることもできない。そんないたたまれない空間で、エイネシアはあっという間に壁際の侍女と同じ立場に追いやられてしまった。

 その上この狭い部屋にありながら、一部の客人達があからさまにチラチラとエイネシアを見て何やらクスクスと笑いながら会話をする。

『使用人と見間違えてしまいましたわ』

『紅茶に詳しいのね。随分と高説なさっていたけれど、私達“下級貴族”にはちっとも分からないお話だったわ』

『殿下とお話する令嬢には容赦ないのでしょう? 私、大丈夫かしら』

 クスクス、クスクスクス……。

 エイネシアの耳に届いていることも想定内なのだろうか。

 堂々と交わされる言葉の数々が、俄かにエイネシアをため息吐かせる。

 このくらいはっきりとエイネシアに聞こえているのに、もっと近くにいるはずのヴィンセントの耳にはちっとも入っている様子が無くて、それが不思議でならなかった。

 さて。今日はエイネシアを散々にこけにする会かなにかなのだろうか。


「エイネシア様。私にもピッタリのお紅茶を淹れてくださいませ」

 そんな中、クスリと嘲笑うようにして声をかけたアイラに、ふとエイネシアは視線を寄越す。

 もう散々ヴィンセントとは話し尽くして満足したのか、それとも部屋の隅でヴィンセントがシンドリーと話しこんでいる様子から、彼らの話についていけなくなり、つまらないからとエイネシア苛めに趣向を変えたのか。それは知らないけれど、こんな狭い部屋でよくもまぁ平然と声をかけてこられたものだと感心する。

 現にヴィンセントがチラリと此方を気にするそぶりを見せているが、この子はそれで良いのだろうか。

「アイラさんはどのようなお紅茶がお好きかしら? たしかレディグラムがお好きと仰っていましたわね。生憎と今の季節には良いものが無いので揃えていませんが、口当たりが軽く香りが良いものなら、アッシアに、少しローズヒップなどを加えてみましょうか」

 そう手ずからテーブルの前に立ち、すぐに紅茶の葉を揃えてくれたアマリアからティースプーンを受け取り、自らティーポットに葉を落とす。

「何でもいいわ。どうせ味なんて分からないし」

 そう適当なことを言うアイラの物言いに、あぁ、なるほど、彼女にとって侍女達は人間ではないのだ、と理解した。

 ヴィンセントの前でさえなければ、令嬢らしい振舞いさえもする必要はない。侍女達が聞いていようがいなかろうが、関係ないのだと。

 だからお湯を持ってきた侍女がぎょっと目を瞬かせて硬直したけれど、そんなものに目を止めることもないアイラは、「早くして頂戴」なんて急かす。

 だがエイネシアの方はそれにももう慣れたもので、少しも動じることなく、ポカンとした侍女からポットを受け取ってお湯を注いだ。(ちなみに、王子付の侍女の大半は子爵家や男爵家の子女で、アイラより身分が高い者も多いことを彼女は存じていないらしい)

「今日の髪飾りは一層素敵ですわね。先日殿下から頂いたものかしら?」

 寒くない? と突っ込みたいような肩をむき出しにしたピンクのドレス。それに合わせたピンクのリボンに、とても手の込んだピンクスピネルの小薔薇のあしらわれた豪華な髪飾り。

 昼の茶会に付けて来るには主張が激しすぎる類のものだが、それが要するに、先日ヴィンセントが贈った髪飾りであろうことを一目瞭然にしていた。

 少なくとも、大した特産のある所領でもないキャロライン男爵家で用立てられるような代物ではないのは確かだ。

「とっても素敵でしょう? “薔薇”ですのよ」

 ニコリと表情だけはお行儀のよい令嬢の顔で、しかしどこかねっとりとした声色がエイネシアに絡みつく。

 薔薇の髪飾り。アイラも、その意味が解らない程に、馬鹿ではないらしい。

 これまで何度もエイネシアがヴィンセントと揃いの薔薇を髪に飾ったのは、王侯貴族のマナーの一つである。紳士は胸ポケットに、淑女は髪に、その家とかかわりの深い花を身に着ける。男女で色や種類を揃えるのも、この国における古き良き伝統的なパートナーの証のようなものである。

 そしてアーデルハイド家の百合や王家の薔薇の紋のように、名門の家紋に准えた花は、他の貴族は少なくとも生花では飾らないことを暗黙の了解とするほどに、扱いを重要視される。

 良識のある者であれば、少なくとも現在の貴族社会において薔薇は勿論の事、四公爵家の家花とされる百合に椿、待雪草や牡丹などを身に着けることは忌避されており、エイネシアが度々百合を模した髪飾りや装飾品を身に着けるのも、それがアーデルハイド家の証であるから。薔薇を飾るのは、王太子の許嫁として、それを許されていたからだ。

 装飾品として加工されたものであれば規制はないが、それでも普通は多少遠慮したものが好まれる。

 だというのにこうも堂々と薔薇を全面主張した髪飾りを贈る殿下も殿下であるし、それを少しの迷いも無く身に着けてくるアイラもアイラだ。

 そしてそれは、それはおそらくアイラが思っている以上に大変なことなのだ。それを彼女は理解していない。

「殿下のお見立てかしら。とてもお似合いですが、使い所はお気を付けになって。ピンクの薔薇は、“王子妃”様のお色なのよ」

「まぁ。では私、もしかして。あっ」

 ニヤリニヤリとエイネシアを見る眼差しと申し訳なさそうな声色と。その矛盾した二つを同時にこなすアイラに、あぁこれでは忠告になっていなかったな、と後悔する。

 “王子妃”に一番近しいエイネシアの前でそれを身に着けることの意味を教えるつもりだったが、この子の脳内では単なる負け惜しみに聞こえているのであろう。ちっとも、マナーだ何だという話にはなっていないことが容易に想像できた。

「そういう貴女の髪飾りは随分と質素なのね。私、悪役令嬢ってもっと派手派手しいと思ってたのに」

 ブツブツと余所を向いてそう呟くアイラには、エイネシアも密かに息を吐いた。

 紛い物の宝石類が当たり前のようにそこらへんの店舗やネットショップに並んでいた現代日本での記憶があると、この髪飾りの価値は分からないだろう。

 髪飾りの材質は翡翠。しかしエーデルワイス国内では翡翠はほとんど産出されず、いつも戦争と休戦を繰り返している東方の国からの輸入品としてしか手に入らないため、非常に希少価値が高いのだ。

 とりわけエイネシアが身に着けている“白百合”を思わせるこの淡緑色の翡翠は、東方国境の護り手であるダグリア公爵家が特に厳選して選び抜いた一品で、手ずから加工を加えて贈ってくれた特別なもの。大きさや派手派手しさなどとは比べ物にならない、価値と由緒のある代物なのだ。

 このシンプルな簪一つで、その贅沢にピンクスピネルの宝石をあしらった銀の髪飾りが十本は買えるのだが、そんなことを言ったところで、彼女には、きっとこの髪飾りの価値は理解してもらえないだろう。

 当然、そんな自慢をするつもりはないし、価値を分かってもらいたいわけでもない。

 それに、エイネシアにとって、この簪の価値は値段ではない。

 これは親戚のリードス・シグル・ダグリアが、初めて会うちっちゃなエイネシアにプレゼントしてくれた、大切な大切な手作りの贈り物だ。他人なんて関係ない。エイネシアが大切にしている。大事なのは、それだけである。

「さぁ。紅茶をどうぞ」

 ちょうどよく蒸らし終えた紅茶を注ぎ、アイラに手渡す。

 今更だが、素直にエイネシアに紅茶を頼むというのが腑に落ちない。最初の一杯には手も付けなかったくせに、どういう風の吹き回しだろうか。

 単なる会話のきっかけなのだとしたら、貴重な茶葉を割くのが勿体無い。でもだからといってお茶を淹れることを断れるはずも無く、きちんと手をかけて一番よい方法で淹れたものを差し出すと、思いがけずあっさりと受け取ってくれたから驚いた。

 誰が淹れたか、なんてことまでには気が回らない、もとい、気にならないのだろうか。

 それならそれでいい。お茶会のホストとしての役割を果たせるのだから、と、アイラの手にティーカップを託して、そのまま手を離そうとして。

「きゃあっ!」

 途端に声をあげたアイラに、ビクッと手が跳ねた。

 その目の前で、ふわりと浮いたティーカップに、咄嗟に手が伸びた。

 だがこれは失敗だった。落ちないようにと伸ばした手だったが、受け止められようはずもない。当然、傾いたティーカップからこぼれた熱々の紅茶が、掴みそこなった手に降りかかる。

 ましてやその熱を感じるよりも早く、ドンッと突き飛ばしてきたアイラの手に、体が傾いだ。

 はて。これは何だろうか。何が起こったのだろうか。

 それを考える時間もないままに、ドンッと強烈に背中を打ち付けた壁の感触と、ガシャーーンッッ、というティーカップの割れる音に意識を奪われた。

 巻き添えを食った侍女の手から離れた熱々のお湯の入ったポットがテーブルの上で大きく弾む。

 目の前に迫ったアツアツのお湯に、ヒュッと息をのんで飛び下がったせいで、頭を打った。

 その惨状に、騒然とした客人たちの叫び声が部屋を取り巻く。

 見る見る目の前でアイラが床にへたり込むのが見えたが、突き飛ばされたエイネシアも、背中と頭を打った衝撃に視界を白黒と瞬たいていて、動けない。

 何が起こったのかすぐには理解できず、ただ一人の侍女が慌てて謝罪を口にして深く頭を下げたことと、近くで一部始終を見ていたアマリアがすかさず手を差し伸べてくれたことだけがはっきりとしていた。

 その手に、ぐわんぐわんと回った頭が支えられ、ようやくこの場の状況が理解できてくる。

「アイラ!」

 許嫁の心配など余所に、真っ先にしゃがみ込んだままのアイラに飛びつく王子様。

 じわりと突き刺すような痛みを伴い出したエイネシアの手の火傷などお構いなしに、手を庇ってうずくまるアイラを心配そうに見やったヴィンセントは、すぐにもキッ、と鋭い眼差しをエイネシアに投げてよこした。

 あぁ。まただ……、と。どこかエイネシアの中に、諦めの気持ちが過る。

「エイネシアッ。何をした!」

「……」

 何をしたと言われても、ちっともわからない。

 チリチリと傷むお湯のかかった手。それだけじゃない。ドレスに広がった紅茶の染み。床に落ちたこの日の為にと選んだティーカップ。

 居住まいを正そうとゆっくりとぶつけていた壁から背を起こしたところで、カラン、という虚しい音が響いたのを耳にして、ハッと振り返った。

 頭をぶつけた、硬い額縁に縁どられた絵。

 思わず手をやったのは、はらはらと零れ落ちてきた自分の髪。

 視線の先で、無残に床に落ちた……翡翠の欠片。

 それを見た瞬間、頭が真っ白になった。

 赤くはれた手が髪に触れ。落ちかかっていた簪を引き抜く。

 ハラリと背中に舞ったプラチナの髪。

 その髪を彩っていたはずの、“欠けてしまった”百合の簪……。

 その瞬間、何故か無性に悲しくて、悲しくて。

 ただただ悲しくて。

「エイネシア!」

「ッ。まだ目の前の事実が見えないのですか!」

 気が付いた時にはもう、そう叫んでいた。

 ビックリとして目を丸くしたヴィンセント。

 それでもこのふつふつとたぎる怒りは、ちっとも冷めやらない。

 落ち着け。落ち着かないと駄目だ、と。どこかで自分が自分に囁く。

 ずっと堪えていたはずなのに、ふつふつ、ふつふつと怒りが募る。

 壊れてしまった簪が。

 欠けてしまった百合の紋が。

 壊れてしまった心のようで。

「アマリア、ティーカップを!」

 そう叫ぶと、すぐにアマリアが望みのものを渡してくれたので、そのカップの中に精霊魔法を囁いてたっぷりの細かい氷を出すと、それをずい! とヴィンセントに突きだした。

 意味が解らないのか、ヴィンセントはそれを訝しそうに見やる。

「必要がないのであれば、自分の手を冷やすのに使いますわ!」

 そう言ったところで、はっと思わずヴィンセントはそれを受け取った。

 それから礼の一つも無しにアイラの目の前に膝をつき、「手を出しなさい」と促した。

 そのアイラが、どこかうるうると涙を沢山にため込んだ顔を持ち上げて、チラ、とエイネシアを見る。

 その手が火傷していない事なんて百も承知。そもそも聖魔法士に氷を出してやるだなんて実に馬鹿馬鹿しいと思う。

 それでも為すべき勤めを果したところで、己のチリチリと傷む掌をぎゅっと握りしめた。

 僅かでも……ほんの僅かでも。出した氷に、『その前にお前の手を冷やせ』との言葉が返ってこないかと期待した自分が腹立たしい。

「私は大丈夫ですっ。少し、紅茶がかかっただけで……」

 そうか細い声で言うアイラに、「いいからよく冷やしなさい」と優しい言葉をかけて、エイネシアの出した氷でちっとも怪我などない手を冷やして差し上げるヴィンセント。

 そのヴィンセントが、やがてゆっくりと腰を上げ、エイネシアを見る。

 ヴィンセントの目に、今のエイネシアはどう映っているのだろうか。

 火傷で赤くなった手。壊れた簪。紅茶の染みたドレス。髪飾りが落ちてバラバラと無造作に落ちた長い髪。

 ただそこでうずくまっているアイラと。

 酷い姿でたたずむエイネシアと。

 その様子が、どう映っているのだろうか。

「……アイラに、何をした」

 しかし、少しばかり声の覇気は落ちたとはいえ、未だなおそうエイネシアを責める言葉に代わりはなかった。

 それがどうしようもなく、エイネシアを落胆させた。

 彼の目は、そこまで曇ってしまったのか。

「アイラさんにお聞きになって下さい。私の言葉は、もはや殿下のご信用には足らぬようですから」

「エイネシア」

 窘めるような声色は変わらずだ。

 僅かばかりに瞼を下ろしたエイネシアは、一つ、自分を落ち着けるかのようなため息を吐いた。

 落ち着け。落ち着いて、自制しろ。

 たとえ事実がどうであれ、私は今なお王太子の許嫁であり、アーデルハイド公爵家の娘である。ざわざわと声を上げひそひそとこの様子を遠巻きにする茶会の招待客たちに、無様な姿など微塵として見せてはならないはずの立場である。

 自制しろ。

 自制しろ――。

 そう何度も何度も自分に言い聞かせ。

 さらにぎゅうっ、と簪を握る手に力を込めると、それからゆっくりと力を抜いて、顔をあげる。

「殿下。お客様の前でこれ以上見苦しい姿はお見せすべきではありませんわ。この件はどうぞ、また後ほどと致しましょう」

 そう一つ断ると、さっと招待客の方へと笑顔を浮かべて見せる。

「お騒がせして申し訳ありません、皆様。紅茶の受け渡しに不手際があったようです。でも“アイラさんにお怪我が無くて良かったわ”」

 そうわざとらしいほどに氷のティーカップを握りしめるアイラに微笑みを一つ浮かべる。

「とはいえこのようなお姿では失礼でございますし、恐れながら私は退席させていただきます。皆様はどうかご歓談をお引き続きお楽しみになって」

 そう招待客たちをほっと安堵させるように空気を和ませ、次いで手際よく落ちたティーカップを片付けたアマリアに、「後のことは宜しくお願いします」と頼んだ。

 その言葉にアマリアはチラとヴィンセントを見やったけれど、彼がただジッとエイネシアを睨んだままで茶会のことを気にかけていないのを見て取ると、首肯……するのではなく、「お待ちください」とエイネシアを呼びとめた。

 まさかこの場で呼びとめられるとは思わなかったから、少し驚いてエイネシアはアマリアを見やる。

「“百合の簪”が壊れていらっしゃいます。“姫様を突き飛ばした”男爵令嬢には、正式な謝罪を請うべきではありませんか?」

「えっ?!」

 そうきっぱりと口にしたアマリアに、アイラが素っ頓狂な声をあげる。

 何故侍女如きが、そんなつまらない簪に? という視線がありありと伝わってくる。

「アマリア……」

 気持ちはすごく嬉しい。ヴィンセントの小さな頃からの一番の腹心であるアマリアが、エイネシアを庇うような物言いをしてくれたことも、胸がずくんと温まった。とはいえこれ以上問題を大きくしたくない、というのが本音で、窘めるようにその名を呼んだのだが、しかしアマリアはその顔を引き締めたまま、じろっ、と厳しくアイラを見やった。

 そのアイラが、自分が標的にされたのだと気が付くと、酷く忌々しそうに眉をしかめ、助けを求めるかのようにヴィンセントに縋る。

 だが生憎と、今アマリアが口にしたことについては、ヴィンセントが顔を青くするのにも十分な内容だった。

「百合の……簪が?」

 ヴィンセントの視線が、エイネシアが握りしめる簪を見る。

 その“翡翠”に、更にヴィンセントが顔色を曇らせた。

 彼になら分かるはずだ。それが、東方からしか入ってこない希少な物であることも。それが百合を象っている意味も。

「それは……」

「私? 私が悪いの?」

 そんな中で、声を震わせて言葉を紡ぐアイラ。

 おろおろとした眼差しが、エイネシアを向く。

「私、弁償いたしますッ。エイネシア様が私のせいだと仰るのであれば、私、何をしてでも頑張りますッ。だからっ」

「無理よ」

 思わず短く吐き捨てたエイネシアの声色が、厳しくなってしまった。

 だがそれには、ヴィンセントからの咎めの声は飛んでこない。

 当たり前だ。この簪に、“代え”が無いことは、彼にだって分かるはず。

「ご心配なく。こちらを仕立てて下さった“ダグリア家”への謝罪は私が致しますわ。私のせいで壊してしまったと。それで宜しいのでしょう? 殿下」

「……あ、あぁ。それがいい」

 なるほど。“それがいい”、か、と。思わず吐きそうになったため息をぎゅっと堪えてから、「宜しいわね?」と、アマリアに言った。

 侍女とはいえ、アマリアは王子の侍女。その影として裏向きの仕事もこなす側近。彼女は王子を取り巻く貴族達を監視する役目も担っている。アマリアの権限では、“公爵家の家紋を傷つけた男爵令嬢”を、その場で不敬罪とすることさえ出来るのだ。

 だが彼女の主君であるヴィンセントは決してそれを命じはしないし、命じられない限り、アマリアもこれ以上出過ぎたことはしない。

 なのでエイネシアが納得している様子を見せれば、「姫様がそう仰るのであれば」とすぐに引き下がってくれた。

「私のお役目も済んだようですし、下がらせていただきます」

 そう、紅茶の染みたドレスの裾を丁寧につまみ、恭しく王太子殿下への礼を尽くす。

 それでも何一つとして言葉が返ってこない。

 退席を許す言葉も、それを咎める言葉もどちらもない。

 なので許しをもらう前に顔をあげると、もう一度招待客に「ごゆっくりなされて下さいね」と声をかけながらサロンを出た。





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