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七人の少女とたった一人のバッドエンド  作者: 灯月 更夜
第二章 エデルニアの雪融け
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2-17 光と闇と舞踏会(2)

『真っ暗闇の何も見えない場所にいて、手を伸ばしたら壁に触れるか触れないか。君にはそれが見極められるかい?』

『何のお話ですか? アレクシス様』

『うーん。空間学? いや、ただの謎かけかな?』

『もしもそこが小さな箱のようなものであるのなら、分かると思います』

『どうして?』

『呼吸をすれば空気が返ってきます。声を出せば、その反響で広さを少しは拾えます』

『うん、なるほど。そうだね。ではとても広い場所の場合は?』

『広い場所……』

『何十歩、何百歩も歩かないと壁にたどり着かない。とてもとても広くて、出口の見えない暗闇。そこから出口を見つけなさい、と言われたらどうする?』

『それはどうしようもないですね』

『ははっ。随分と簡単にあきらめるんだね』

『勿論手当たり次第歩いて探してみますが、あるいは出口は手が届かない場所にあるかもしれません。ですのでまずはアレクシス様のお名前をお呼びしますね』

『ん? 私?』

『アレクシス様は光の精霊魔法がお使いになれますもの。もしかしたら広い広い暗闇の中で、私の声を聞いて、どこかでぽっと蛍のような光が灯るかもしれませんわ』

『うん、なるほど。確かにそうだ。まぁ、私がいることができたならそれも良いが……』

『ではヴィンセント様もお呼びします』

『あー……はは。うん。そうなんだけど。困ったな。何でシアは時折そう、迷いなく突拍子もないことをいうのかな』

『突拍子もないですか? まぁ、空間学的には議論になっていませんが。ですがアレク様は一言だって、“暗闇にたった一人でいたら”とは条件はお付けになっていませんもの』

『なるほど。いや、その通りだ。これは私の出題ミスだな』

『もしもたった一人なのでしたら……そうですね。どうしましょう。それはきっと孤独で。とっても、怖いですよね』

『……あぁ。そうだね』

『生きてゆくのに真っ暗闇では、道に迷ってしまいます』

『うん。それで? シアは何処へ行く?』

『そうですね。ではとりあえず……』


 私が“光”だと思う、その方向へ。

 ただひたすらにそれを信じて、まずは一歩を踏み出してみるのはどうだろうか。




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