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七人の少女とたった一人のバッドエンド  作者: 灯月 更夜
第六章 七人の少女とたった一つじゃないその結末
165/192

6-9 決別(1)

 あれからさらに地下の探索を続けた近衛達は、武器密造の鍛冶場を挟んで逆側に、エイネシアが向かった方に捕われていた人達よりはるかに無残な状態で腐乱していた男達と、どうやら自ら命を絶ったであろう女達のいた部屋を発見したらしい。

 かろうじて命を取り留めていたのは、エイネシアのみつけた二十数人の女性達だけ。

 唯一生きてくれていた男性は、医療の心得があるというヴィヴィ司祭が自ら手を尽くして看病してくれたが、救出されて三日目、かつての親族や友に囲まれながら、「ありがとう」という無慈悲な言葉を残して息を引き取った。

 それほどまでに、声もかすれがすれなほどであったというのに、それでも彼は懸命に、自分の使命だとばかりに、あの場所で行われていたすべてを話してくれた。

 ダグリア公爵家の抱える周辺の東方軍需包括領の中の一つ、なんとかいう侯爵家から、武器の製造を指導する魔法士が使わされていたこと。その指示の元、多い時は百人近い男達が、あの鍛冶場で武器を密造していたこと。

 その鍛冶場を通って、定期的に女達……それも時には領外の者とおぼしき毛色の女達が通過することがあったこと。その大半は、一度見たきりで二度見ることは無かったが、ただ一部に関しては、鍛冶場の水汲みや食事の分配などの雑事に従事していたという。

 そして製造された武器が、そんな女達を隠れ蓑にした馬車で、その地下から運び出されていたこと。

 その証言を元に、地下の奥に見つかった隠し扉から、地上の隠し倉庫も発見できた。

 地下道を通って、この広々とした平野の途中にこんもりと小さな丘があり、そこに古い廃城があったが、その一見廃城となった薄気味悪い場所の地下が、大きな収蔵庫になっていた。

 元々、旧王国時代の砦の一部だったらしいその廃城は、ただでさえ防備に優れた機能を残しており、地下には幾つもの坑道や脱出路が備えられていた。

 そしてそこには長い間貯蓄されたままになっていた大量の材が眠っていたようで、それが武器密造の原料になったのだ。

 そのすべての材料と証拠も、彼の命を削る証言によって、すべて押収できた。

 そうしてすべての情報を話し終えて命を落としたその男性は、サンクリクの町すべてを上げて、ヴィヴィが自ら葬送の式を取り仕切った。

 廃城に、つい今しがたまで人がいたような痕跡がある、といって追跡に出たリカルドが、二人の魔法士を捕えてきたのは、その日の内だった。

 東方八大軍需領……東方軍の後衛部隊として、国から武器製造を認められた八つの領地の内の一つ。クレイウッド侯爵領のお抱え魔法士である、と、そう彼らが吐いた時、近衛達が「やはりか」と眉をしかめる一方で、エイネシアは複雑な感情に拳を握りしめていた。


 クレイウッド――。

 信じたくない。ちっとも信じたくなかったけれど……。

 でもそれは間違えるはずもない。少なくともエイネシアにとっては二年間同じ星雲寮に在籍し、二年半同じ学校の同じ教室で学んでいた同級生、フレディ・ワーズ・クレイウッドの姓であった。

 クレイウッド侯爵家は歴史ある名家で、ここ数十年、東方ダグリア領と王国とを繋ぐパイプ役をも担ってきた家柄である。領地では東方への武器供給という大任を担っており、現在は当主の嫡男が、先代の指導の元、暫定領主としてその任に携わっているという。

 一方で現当主は、中央で貴族院の評議会議員という中央政治を担う重役についている。フレディは、その貴族院評議員を務める侯爵の次男である。

 彼の年の離れた兄が領地の祖父の元で育ち、領地の仕事を引き継いでいる一方、フレディは殆ど王都育ちで、ゆくゆくは父の後を継いで中央政治にかかわるのではという噂は学内でも公然のものであった。

 そんなフレディが二年の終わりの頃、『どうやら父がきな臭い政争に巻き込まれているらしい』とため息をつきながら星雲寮を出て、アイラの作った七星寮へと移ったことは、まだ記憶にも新しい出来事だった。

 フレディ自身はあくまでフレデリカ派とは距離を置いた態度に見えていたが、それでも彼の祖父と兄が今回の件に加担したことは、もはや明白となった。

 フレディがそんな自家の情勢を知っていたのかは知らないが……それでも、武器密造の罪は一族三世に及ぶまでの重罪であると、国の法律が定めている。

 一体どうしてこんなことになってしまったのか。

 エイネシアは、少なくともかつて同寮であった友を一人、自ら裁かねばならなくなったのだ。


 ◇◇◇



「そしてもしかしたら……これが、二人目、三人目」

 そうぼうっとエイネシアが見やったのは、この広々とした穀倉地帯の平野で、ずらりと隊列を組んだグリフォンの旗を掲げた一団であった。

 遠目では顔なんて分からないけれど、しかし国王旗であるグリフォンを掲げることが許されているのは国王親政軍のみ。まさか政治を放棄しているという国王陛下がそこにいらっしゃるはずなどないから、だとしたら、その旗を持ちだしてきた人物は一人しか思い当たらない。

「姫様。顔をお出しになりませんように。むやみに攻めてくる様子などはありませんが、警戒を」

 そう馬車の窓枠に肘を預けているエイネシアに厳しい声色で忠告したリカルドは、いつになく張りつめた様子で扉の外に張り付いて、剣に手をかけている。

 相手は数百だろうか。それ以上だろうか。

 それに対してエイネシアの周りにいるのは精々十人そこそこの近衛と、御者に扮するオーブ。馬車の中には非戦闘員であるエイネシアとジェシカとシロン。それに証言に立つと言ってくれた女性が一人。後続の荷馬車には、イースニック領で捕えた魔法士や大量の証拠書類。同じく証言に立ってくれるという非戦闘員の男性が二人乗っている。

 護衛に対して非戦闘員が多すぎる上に、重要書類も詰まっている。こんなところで襲われたら元も子もない。

 しかも相手が素人ならばまだしも、国軍だ。国王陛下の名を出されれば、こちらだって下手な動きはできない。

 それをさて。どうしたものか。

「お嬢様……まさ、か。国王陛下が……」

 不安そうな顔でこちらを窺うジェシカの顔は真っ白になっていて、そんな様子に、隣の女性も顔を青白くして怯えている。

 レムという名の二十代前半であろう彼女は、エイネシアが地下で救出した女性の内の一人であった。ほんのわずかだが火の魔法が使えるらしく、あの薄暗い部屋で灯りを点し続けていたのが彼女だ。

 かなり酷い目にあっていたはずだが、それでも強く生きる希望を説いて他の女性達を諌めてくれていたのも彼女で、救出されてからも、他人に怯え、エイネシアにしか近付きもしなかった女性達の中、一番最初に病棟を出て協力を申し出てくれた。まだ衰弱の色は濃いが、自ら証言のために王都に向かうと言ってくれた人物でもある。

 それでもやはり、不安は大きいのだろう。この状況になんとか気丈として見せようとしているが、その不安は手に取るようだった。

「不安になる必要はないわ、ジェシカ。シロンを見習いなさい。この落ち着きっぷりを」

 彼女達の恐怖を和らげるかのように、呆れた顔で傍らを見やったエイネシアに、相変わらず呑気にお茶を注いでいるシロンがニコリと微笑んで、エイネシアにそのティーカップを差し出してくれた。

 一応心配はしてくれているのか。心を落ち着けてくれる、優しい香りのハーブティーだった。

 本来シロンは上王陛下の命でエイネシアのために遣わされているのだから、エイネシアの世話だけが彼の仕事の内なわけだけれど、今ばかりはその立派なティーセットで、目の前の二人の女性の為にもハーブティーを注いで差し出した。

 そういう気遣いは流石である。

「シロン様まで……」

「姫様が落ち着いていらっしゃる時は、大抵大丈夫な時です。たしかそんなことを以前、上王陛下が仰っておられました」

「シロン……それをいうなら、『ジルが落ち着いている時は大抵大丈夫な時』では?」

「姫様は宰相閣下と瓜二つとの上王陛下の思し召しですから、同じことかと」

 ニコリと頬笑まれてしまったが、果たしてその評価を素直に受け取っていいのだろうか。

 なんだか複雑な気持ちだ。

 そうため息をつきつつも美味しいお茶を頂いていたら、カパカパと馬の足音と共に、講和のための青い旗を手にした男性が進み出てくるのが見えた。

 鎧に身を包んではいるが、かなりの大柄な様子と、鎧に刻まれた紋章、その兜の装飾から、それが大将軍といわれる位にある人物だと分かる。

 だが問題はその人物と馬を並べて進み出た、もう一人の人物の方だった。

 深い青の外套にすっぽりと身を包んだ、大将軍の傍らにあっては小柄に見えなくもない人影。その外套を留める遠目に見ても立派な装飾品と、見慣れた真っ白な月毛の馬。

 こんなところにいるはずがなく。でもいるといわれたら納得してしまう……会いたくない人。

 やがて両陣の中間地点に佇んだその二頭の馬に、エイネシアはゆっくりティーカップを置く。

 さぁ……一体今更、なんだというのか。

「お嬢様……」

「あちらの指揮を取っているのは、どうやら私も見知った御方だったようね」

「シグノーラ大将軍……」

 エイネシアとは裏腹に、いささか機嫌を悪くした声色のシロンが眉をしかめる。

 これまで国王陛下の寵臣として、かつ自制して中立を保っていたはずの人物だ。よもやシロンも、その人が動くとは思っていなかった。あるいは、そうであってほしくないと思っていたのだろう。

 それはエイネシアも同感だった。

「リック。扉を開けて頂戴。私が講和の席に着きます」

 すぐにそう扉を叩いて外に呼びかけると、案の定リカルドが眉をしかめてこちらを見やった。

 しかしご丁寧にも武装を解いて中間地点に馬を止めた大将軍を、無視するわけにもいかない。

 グリフォン旗は、少なからず“名目上”、国王陛下の御旗を意味するのだから、いち伯爵でありいち近衛であるリカルドではどうにもしかねるのが現実だ。

「しかし……」

「それと残念なことに、お隣の外套の人にね。どうにも、心当たりがあるの」

「は? 将軍の……侍従か何かでは?」

「侍従があんな立派な身なりで、立派な馬に乗っているはずがないでしょう?」

 そう呆れて見せたところで、キョトンと首を傾げるリカルドの様子に、あぁいや、近衛だったら有り得るか、と、揃いにもそろって品の良さそうな近衛の面々を見て納得した。

 だが相手は国軍。上層部はともかく、大半が平民から成る軍だ。いかに大将軍の付添とはいえ、その大将軍閣下よりも立派な馬には乗るまい。

「心配なら貴方も一緒にくると良いわ。そのかわり、武装は解いていただくわよ」

 その言葉に、仕方なさそうに息を吐いたリカルドは、すぐに腰の剣を佩いたベルトを取ると、しっかり警戒している御者台のオーブに預けた。

 無論、それ以外にも色々なところに刃物を仕込んでいることは知っているのだが、そこまでうるさいことは言わず、ひとまず扉を開けてくれたリカルドのエスコートの手を借りて、ジェシカの渡してくれた上着を肩に引っかけながら馬車を降りる。

 ここまでずっと風魔法のかかった馬車で座りっぱなしだったから、こんな状況ながらも外の空気が心地よい。

「宜しいですか、姫様。どうかくれぐれも……」

「リック。貴方アレク様に、お母さんみたい、って、言われない?」

 そう首を傾げてみたところで、珍しくリカルドの顔が凶悪に歪んだのを見て、思わず吹き出してしまった。

 どうやら言われたことがあったみたいだ。

「姫様……」

「ふふっ、ごめんなさい」

 でもこれでちょっとはその張りつめた気が和らいでくれたら幸いだ、と、その背中を叩きつつ、足を踏み出す。

 すぐにも追随していたシュナンが馬を引いて来てくれたので、リカルドの手を借りて馬に横乗りして、手綱を引いてもらった。

 本当なら、もう一人でだってちゃんと乗れるんだから、と言いたいところだったが、今は一応、お姫様らしくしておくべきだろう。

 それにこうすれば、リカルドを伴って行くことの理由づけにもなる。



 そうして丁度中間地点にまで来たところで、すでに馬を降りて待ち構えていたシグノーラ大将軍が、すぐにも兜を脱いで丁寧な敬礼を取った。

 流石に国王陛下の近侍として長年勤めただけあって、よく弁えていらっしゃる。

「ごきげんよう、大将軍閣下。このようなところでお会いするなんて、偶然ですね」

 そうニコリと微笑んでご挨拶する間にも、リカルドが手を差し伸べ、エイネシアを馬から下ろし、そのすぐ後ろに控えた。

 さわさわと全身を取り巻く風がほのかに生暖かい気がする。

 多分、近衛の誰かが自分に探査系の防御魔法をかけてくれているのだろう。

 まったく。皆心配性なのだから。

「お待ちしておりました、姫様。姫様が王都へ向かうならばこの道を通るとよんでおりましたが、正解だったようです」

 呆気なくエイネシアの言葉を覆した大将軍は、そう容赦ない言葉を口にしたけれど、そんなことはもとより承知の上だ。

 エイネシアが王都への道筋に選んだのは、王都への最短距離で、しかし以前とは違う北部と王都を結ぶ行路ではなく、どちらかというと東回りの行路だった。

 イースニックの北部に拠点を置いていたエイネシアは、出立に先んじて領都に一日滞在し、イースニック南部の巡検を行いながら数日を過ごし、すべての書類や証人らが出そろったところで、イースニックの南の旧関から領地を出た。

 なので、以前北部に向かった時よりもはるかに東よりの街道から北部穀倉地帯を離れたことになる。

 イースニックの南にはバーズレック領と東方を結ぶか細い街道が通っていたが、そこから以前同様の行路に向かうには時間がかかりすぎるため、多少危険を冒してでも、そのまま南下して、東側から王都に入るのが良い、と結論付けたのはエイネシアだ。

 王都の真北にあたるバーズレック領方面は、確かにあまりフレデリカ派の貴族の所領が無く、北部への入り口もほど近いし、途中途中に宰相府に出仕するような貴族の領地もあり、安全性が高い。だがそれでも、これほどの重要書類や証人を伴ったまま、何日も長々と旅をする危険性の方が大きいとの判断だった。

 一方この東回りでは、時間は短縮できるが王国派の領地が多い。それは当然懸念材料で、フレデリカ派に知られる可能性だって高いことは分かっていたのだが、まさか国王軍が出てくるとまでは思っていなかった。

 いいや、それどころか……。

「それに、“殿下”までこんなところにいらっしゃるだなんて……」

 そうわずかに息を吐いたエイネシアの言葉に、警戒を強めていたリカルドが一瞬、ぎょっ、と驚くそぶりを見せたのが分かった。

 外套は深く全身を包み込んでいたけれど、それでもエイネシアだけは見間違えるはずがなかった。

 その鮮やかなまでに青い瞳の色も。エイネシアを見つめる、そのどこか冷たさをはらんだ眼差しも。

 案の定、すぐにも外套のフードを落としたその人の姿は、思っていた通りの人物……ヴィンセントだった。

 だけどもう、その人に過度に礼を尽くすことはない。

「エイネシア……まさか本当に、北部にいたとはな」

「そのご様子だと、連日私の元に物騒なお客様を寄越しておられたのは、やはり殿下ではないのですね」

「……」

 それでも明確な返事をしないところを見ると、それが誰が送ったお客様なのかは存じているというわけだ。

 それを知っていてなお、のこのことこんなところに現れるというのはどういうことなのだろうか。

「もはや無駄に言葉を尽くしたりはすまい。エイネシア。私が君に言いたいことは一つだけだ」

「何でございましょう」

「今すぐ荷とともに、私に従え」

「……」

 分かっている。分かってはいたけれど……そんなことを言われて、はいそうですね、なんていうはずがないではないか。

 まったく。舐められたものだ。

「少々、言葉の意味が分かりませんね。それができかねることくらい、百も承知と思いますが」

「一体何が不満なのだ。望むのであれば正妃にすると言っている。そうすればお前の望み通り、こんな北部でこそこそとせずとも、すべてが丸く収まったのだ。それをお前は……」

「……は?」

 あれ? なんか。あれ?

 聞き間違いだろうか?

 なんかものすっごい、今更な問題をぶり返された気がする。

 セイヒ? 何それ。美味しいの?

「あのう、殿下? もしかして殿下はこんな地方くんだりまで、私に貴方に嫁げ、そうすれば内乱にはならない、と、説得に参ったのですか?」

「それ以外に何がある。賢いお前ならわかるだろう。もはやそれ以外に、反乱の芽を摘む方法はない」

 うーん。ううーん。んん? もしかして耳がおかしくなったのかしら?

 そうチラリと後ろを振り返ってみたところで、リカルドがポカンとした顔をしているのを見て、聞き間違いではないことを理解した。

 この情勢下、まだエイネシアが自分のものに成りうる可能性があるとでも思っているのか。

 その滑稽さは、もはや怒りも苛立ちも思い浮かばない。ただただあきれるばかりだった。

「私はこの数日で、両の手では足りない数の、貴方の周りにいる人たちからの暗殺を企てられたばかりですのよ?」

「それはっ……すまないと、思っている。私に彼らを留める力がなかったせいだ。だが神に誓って、私がそう仕向けたわけではない!」

「私が命を狙われるのは、私が殿下が言う()()()()の、中核を担う存在だからです。今殿下を後見する勢力が次々と窮地に追いやられているのも、私が送った証拠の品々のせいなのですよ?」

「イースニック前伯に許されない行いがあったのは確かだ。お前は何ら間違ったことをしていない」

「……」

 えーっと。

 うん? いいのか?

「でも殿下は今、私が持ち帰ろうとしている積荷をご所望なんですよね?」

「もういいだろう、エイネシア。その証拠を正しく扱うことは、私が約束する。だからその荷と共に、私と共に来い。そうすれば無駄な争いをすることなく、この混乱を収められる」

 混乱? 収める? 一体、何の話だろうか。

 エイネシアが北方に出立して以来目にしてきた現状は、もはや混乱などと呼べたものではなかった。

 飢える民。やり場のない憤りに反感を募らせる者達。一方的な搾取に、もはや領主を討つということさえも思い浮かばず、死人のようになっていたイースニックの領民と、その政庁の地下で行われていた非道すぎる行い。これはもう、政治的な混乱がどうのこうのの話ではない。

 フレデリカ派は、絶対にやってはならない人としての非道を働いた。彼らはもはや間違いなく、ただ法の下に裁かれねばならない者達なのだ。


 そしてそれは、加害者であるこの“ヴィンセント王子”も――。






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