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元人間の天狗徒然紀行  作者: 唐墨 いくら
第一章 山籠もり編
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その六、最初の山

漸く光翼みつばが山へ旅立ちました。今回はその初日の様子です。

 時は最初の話に戻る。現在に至るまでの出来事を思い起こしていた光翼は高度をさらに上げ、それから滑空飛行の体制をしばらく取った。できるだけ軽量サイズのものを必要最低限にまで留めて詰め込み、荷物を軽くしようと試みたものの、自分の体重+大きめの荷物を持ち、腹にリュックを抱えてとなると長時間の飛行は苦行である。従って上昇しては滑空の繰り返しをしてはばたきの回数を節約しようとしていたのだ。なんでこんな目にと愚痴をこぼしたのもつかの間、親友とまた会うことを約束したのを思い出して自分を奮い立たせる。もう旅立ってしまったのだ、後戻りはできない。親友の香音に呆れられないため、T強く自分で生きるため、光翼はもう泣き寝言を言うまいと表情をきりりと引き締める。

 まもなく最初の滞在ポイントの山に付く。しかし時刻は午前4時前、月がどんどんと沈みかけ、薄っすらと明るくなったかどうかという状況でも、木々でこんもりとした山の上空から着地地点を見つけるのは容易ではない。光翼は速度を下げて少し離れたところから山を見て、近づいたところで旋回を数回行い、着地地点を見極める。ちょうど、木々が密集しておらず、大きめの岩が突き出た形状の土地が見つかったため、そこに降りることにした。


 スィーー…バサバサバサッ、トン

 

 カバンを着地した岩の上に置き、光翼は内心で着地にこけなかったことを自画自賛しながら、周りを見渡す。コケに覆われた大きな岩がそこら中あり、下の地面は背の低い草木で覆われたり落ち葉で埋まっていたりする。雪解けのまだ残っている個所もあり、雪が解けて水が流れる音がする。水はチョロチョロと川と呼ぶには小さすぎる流れに集まっているようだ。早朝に近い時間、鳥たちの鳴き声が聞こえ、あたりの空気は冷たくて澄んでいる。


 (ここは、結構好きかも。それに少しだけ懐かしさ感じるな)


 幼少時代は実家の田舎の裏山でよく遊んでいたものだ。懐かしさを感じるのは小さい頃の思い出からきているのだろう。一瞬のひと時、過去の思い出に浸りながら地形の把握をしていく。

 辺り一帯の地形を大雑把に確認した後、一晩中飛行移動した疲れをいやすためにテントを張る場所を探す。岩が散乱している近くではテントを立てるのと焚火や料理をするのに必要なスペースの確保が難しいと判断したため、より開けた場所を求めて少し移動する。

 歩いて5分ほどで、ちょっとしたやや平らな広いスペースが見つかった。ここならばテントを張るにも料理をするにも、そして、翼を広げて飛び立つこともできるだろう。


 「とりあえず今日はここにしよう。野犬や熊が出ないか心配だけど、このまま寝ずに完璧に安全な場所を探すのは不可能ってもんよ。」


疲労困憊といった様子の光翼はすかさず持ってきたカバンから必要なものを出してテントを張り、寝袋にすっぽりと入り寝る態勢に入った。ちなみに翼はもちろん寝袋に納まらないため、寝るときは体を横向きにし、チャックは腰までで止めて羽を出している。そして上半身を羽で覆い隠すことで寒さから身を守る。このように寝る態勢が整ったところで、光翼は漸く眠りの中に素早く入っていった。


次回は食べ物の採集などを書けたらいいなと思っております。感想等頂けましたら幸いです。

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