表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

雨の鎮魂歌

作者: 亜夢人

大地を魔物が黒く染めるその中心で、カイは戦っていた。


手にしている剣の一振り一振りが魔物を両断していく。


戦闘が始まってすでに数時間は経過しているが魔物の減る気配はなく、カイは無我夢中で剣を振り続けた。


魔物の気配を感じとり、そこに向かって剣を振りぬく。


カイは思考する暇もないほどに集中していた。


いつの間にか雨が降り始め、少しづつではあるがカイの体力を削っていく。


そんな中、背後に現れた気配に気づき、そこに向かって剣を突き立てる。


勢いそのままに次の敵へと剣を振りかざそうとしたが、出来なかった。


本来なら死んだ魔物は霧となって消えていくはずだが、そうならず、刺さったまま抜けないというありえない状態に、カイは思考が回復していく。


振り返るとそこには、魔物に連れ去られたはずのサクラの姿があった。


胸には深々と突き刺さっているカイの剣。


「・・・・・・・・・サクラ?」


カイは呆然としながらもサクラへと近づいていく。


「・・・・・・・・・カイ」


サクラは最後の力を振り絞り、カイの方へ手を伸ばす。


カイの頬に触れる手の熱が、否応無しに彼に現実を突き付けてくる。


「・・・・・・・・・よかった」


サクラは微笑んでそう言った後、地面に倒れた。


「サクラ、ウソだろ・・・・・・・・・」


カイは急いで抱きかかえるが、すでにサクラから一切の反応は無かった。


「サクラ、サクラ、サクラッ!」


周囲に魔物の姿はすでになく、ただただ、雨が二人を濡らしていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ