妹は神竜さん改め、黒い竜さんになりました。
俺は農民、妹は竜だった……
俺は生まれた時から体に耐火能力を持つ農民だ。生まれた時から農民だったわけじゃない……
妹は生まれた時から竜だ。紛れもなく竜だった。しかも神の竜さんだったんだ。そこまでは覚えてる。
俺が各地の畑を耕し、妹は食糧を獲って来ては一緒に頂く仲のよい兄妹のはずだった――
俺の軽はずみな一言さえなければ……
「……今何て言いました? ご飯のことなんてどうでもいい……? 聞き間違え?」
「いや、確かに言ったぞ! どうでもいいことだ!!」
そして、今俺は……焦土化した土地を甦らせる為にひたすら耕している……もうかれこれ3日目だ。
妹……リリネは、神竜さんだったのに……大地を燃やし、人を滅ぼし続けた結果、耕すしか能の無い俺だけを残して、黒い竜さんと化してしまった。しかも単に色が黒いドラゴンではなく、一般的に言う……ブラック企業の様な竜さんになってしまった……
「ほらほら、お兄ちゃん! 早く大地を耕す!!」
「いや、俺…三日間、飲まず食わずなんだけど……」
「たった三日じゃない!! 足りないでしょ? 5連勤……ううん、10連勤でも20連勤でもいいよね?」
何の悪気も無く? 可愛い声をしたリリネ。見た目は黒竜さんなのに、ブラックすぎて可愛げが無くなってしまった。
リリネの指示通りに連勤で耕し、いつの日か俺は妹を神竜さんに戻してみる……と心に誓った――