生まれ変わった主人公が残された家族に残そうとしたメッセージとは?
なんでこんな事に。
もう意識が遠くなっていく…
もう俺はこのまま…
生まれてから、それなりに必死で生きてきたつもりだ。
小さい頃は決して目立たない性格だったけど、友達の事をよく心配する子供だった。
大学への進学が失敗し、そのまま就職した。大手メーカーの部品を扱う中小企業の営業として10年仕事してきた。
その間に結婚し、二人の子供にも恵まれた。妻は優しい性格。子供達は二人とも女の子で甘えん坊。
何もかもが上手くいっていたと思った。
今日もいつもと変わらず家族のみんなより早く仕事に出た。
子供達の寝顔を見て、妻だけが見送ってくれた。
会社の車で会社へ向かう。
ここ最近、仕事が朝早く続いて夜や徹夜で体も少しきつかった。
眠かったが運転には自信があった。
いつもの道だったから、感覚である程度運転出来た。
しかし、次の瞬間。
俺は目の前に若者のカップルが道路に飛び出してきたのが見えた。
「うわ、うわー」
俺は声を上げながらハンドルを切った。
しばらて目が覚めた時には、気を失っていたのがわかった。
そして身体中と足に激痛。
事故の衝撃で…と思っていたら、車の破片が胸に刺さっていた。大量の血が流れていた。
飛び出したカップルが何度も大丈夫ですか?すいません!救急車をと声がした。
しばらくて、体の感覚がなくなり意識が薄れていく感じだった。
周りの声も響くように聞こえるが心地よく聞こえてくる。
死ぬのかな…。
その時、家族の思い出がふわっと浮かんだ。
夢?
死にたくない。まだ死にたくない!俺には大切な家族がいる。みんなを残して…
気がつくと、天井が見えた。見たことない天井。
ここは…。
周りではみんなが泣いてる。妻に子供達、それに親父、お袋、友達や、会社の人達まで。
どうした?
俺はどうした?
俺の声が出ていない。体も動かない。でもみんなが見える。
これって、死んでるのか?
嘘だろ、嘘だろ、
嘘…。
でも、多分死んでるんだとわかった。
また意識が遠くなる。
もう最後になってしまう、そんな気がわかっていた。
嫌だ、嫌だ!こんなお別れ。
なんでもいい。ネコでもいい!生まれ変わりたい!もっとみんなといたいよ!
意識が遠くなる。
さようなら、みんな。
暗く、冷たい中にいる状態だった。
ここはどこ?目を開けるのが怖いが勇気を振り絞り目を開けた。
あれ、眩しい。
てっか、臭い。
ここは?とても大きな電柱が私の前に立っていた。
私は段ボールの中にいた。
うん?
えっ?
何この肉球は?
声を出すと
「ニャー」
あれ?喋れない。俺…
ネコにだったけ?
ネコ?
なんでネコになった?
ここどこ?