第1話 出会い、そして別れ。
ベッドの上には人間の男が眠っている。
こいつは森の端で倒れていたのだ。いや、正確には催眠魔法をかけられ捨てられていた。
「ぅにゅぅ・・・。」
可愛い喘ぎと共に目を覚ました。
「おはよう。気が付いたかい?」
まだボーとしているようで、体はおこしたものの、こちらを見つめたまま何も言わない。仕方ないので、見つめたまま少し待ってみる。
「・・・綺麗な人・・・。」
そんなことを呟きそのまま見つめ続けられる。
確かに1000年以上生きてるとはいえ、見た目は30後半で美人の自覚はある。しかし、少し話し合いってになってもらうつもりだったが、これでは話にならん。当初の目的に移行しましょう。
「喜びなさい私の糧となることが出来たことを。」
そう言って私は近づいていき首筋に唇を這わせ・・・ぷつぅ・・・二つの穴を穿ち、血を吸い始める。
何を隠そう、吸血鬼である。血を吸われた者は、味わったことのない快楽えて、イキ死にするか、失血死しかない。つまり、死ぬということだ。
ぴくっと男の肩が震える。
ふっ、イッたか・・・ギューっ!
「!!な!?」
あろうことか、男は私を抱きしめてきた。力強く・・・しかし、優しく。気づけば頭も撫でられているではないか・・・。
「・・・っあ・・・」
思はず、口を離し見つめる。なんとも言えない深く優しい目、しかしどこか悲しげなそんな瞳で見つめ返される。
「どうして・・・」
私は思わず聞き返してしまう。そもそもだ、吸血の快楽から逃れる者など滅多にいない。抗ったとしても、吸血鬼を前に恐怖するでもなく、愛しき人でも抱くかのように抱きしめられたのは初めてだ。
「俺の人生はさ、いいことなんてなんーにもなっかた。死にたいと思ったことなんて数えきれない。それでも最後にこんな綺麗な女にこの命を捧げられるなら嬉しいと思って。それに、お姉さん寂しそうな眼してたから。」
そう言ってはにかむ。
ドキ。こんな気持ちになったのは初めてだ。これがこいなんだろうか・・・。
気が付いたら私は彼を押し倒していた・・・・。
翌朝、俺は死にかけていた腕の中で今だ俺を見つめているリサ。昨日何回もヤッた後、お互いに話をした。彼女はリサ・ウ゛ァレンタイン、吸血鬼である。
「お腹が減って死にそう・・・」
それだけ言うとリサはすぐご飯を作ってくれた。それがまたうまい思わずおかわりをしてしまった。
それからは1ヶ月くらいかな、この世界のことを聞いたりした。すでに俺が異世界人だということや生い立ちは話しているので前の世界のこともはなした。
そうやって愛を深めながら、いろんな話をした。しかし、そんな日々は長く続かなかった。
「今日はやたらと熱いな。」
「おかしいわね。この森が熱くなったことなんてなかったのに・・・?」
俺は家の扉を開け絶句した。
「うそ・・・。」
彼女は絶望に座り込んでしまった。
「おいおい、天下の吸血鬼様がこの程度で何絶望してんだ?」
目の前、いや、森全体が炎に包まれていた。そんでもリサがどれほどすごいか聞かされていた俺は絶望している理由がはからず、聞き返した。
「私はねここで死ぬつもりでこの森に来たの。」
「え?」
「この森に来てあなたに出会うまで500年血を吸わずにいたの。自分の膨大な魔力のおかげでいきていたわ。」
「そんな、でも・・・」
「そうあなたに出会った時わたしは死ぬ寸前だった。でも何故かあなたに惹かれたの。結果、血を少し飲んだだけで延命したは。」
「うそだろう?じゃぁ・・・」
「そうよ。あなたの腕の中で死ぬつもりだったの。」
何だ2人とも死にたかったんだな。なら話は簡単だ。
「ふ、なら一緒に死のうぜ。」
そういって、手を差し出す。
しかし、首を振られてしまう。拒絶されたのが初めてだったためか、思考が止まる・・・
「あなたには生きて欲しいの。」
「・・・なんで・・・。」
おれは絞り出すように言う。
「わたしの我儘よ。お願い私のために生きて・・・」
そういって首筋に噛み付く。あの時と違って、全てを流し込まれてくる。そこで意識を手放した。
読んでいただき有難うございます。