おごり
翌朝。
ゆうきはひとり、『上司いねーかなー…』と街を練り歩く。
!?
バス停の前で友達ふたりと笑い合っているあの女は。
『左目の横に十字のキズ…昨日の女じゃん…』
『チッ』
彼は地面に唾を吐き捨てる。
『朝っぱらから胸くそわりぃ…』
彼に気付く彼女。
「あの…!昨日はすみませんでした。ご迷惑をおかけしました」
いつのまにかゆうきの後ろへ来て謝る彼女。驚くゆうき。
「謝るならオヤッさんに謝れ。俺の店じゃねぇからよ…」
ラーメン屋。
「昨夜はすみませんでした」
「謝りに来てもらっちゃ こっちまで悪い気がするね…あんたにも色々あったんだろ。気にすんな。わざわざすまんな…」
「すまん、誤解してたよ。詫びに何かおごらせてくれ」
「いえ そんな…」
「じゃこの店に次食いきたときは、俺がもつよ。それ以外でも、別に何かあれば言ってくれ」
「お心遣い感謝します…今は友達との約束があるので…」
「おぅ、悪い。行ってくれ」
………
13:02.
「おい」
「へイ店長!」
店長なにやら にやっとしながら、親指を立てた手をビッと彼女ら(!)の方へ向ける。
※友達と3人で来てます。
「来たぞ?」
「やめて下さい、店長…」
彼女が友達ふたりに言う。
「今日はあたしのおごりだから!2人とも好きなだけ頼んで!」
「え゛っ」
「マジ!?」
ゆうきに小悪魔的に笑って目配せ。
『人生でこれほど嫌な目配せはないな…(本性はやはりこっちだったか)』
少々(汗)。
………
14:19.
「…………会計2万3700円になります…」
「払ってくれるんでしょ?」
「なんなんだあんたらの胃袋は…」
「じゃ、あたし行くから!」
「へイ…あざーしたーー」
………
20:37.
今夜も遠い駅まで捜しに。
『9時ぐらいにあっち方面行きだよな…』
『さて…今日は逃がさんぞ…』
ドドン、ダダン、
『!!』
早速目の前に来た電車の窓に、ハゲとメガネを発見!!
ゴウゥッ!!
「って、今夜は停車しねーのかよ!!」