未来へ、未来へ
金はねぇよ。運もないし、特別な能力もない。根性もないし頭も悪かったからへらへらしてるしかなかったんだな。
へらへらした男がへらへらと話している。
私は無感情で聞いていた。そこにスーツを着たいかにもできるといった感じの若い男がやって来た。
おい、おっさん、あんたの話聞いてると反吐が出る。
おっさんはへらへらしていた。
若い男はおっさんの腹を蹴った。
おっさんはへらへらと倒れた。私は傍観していた。
おっさんは腹を押さえて立ち上がろうとしている。その時ちょうど良い高さになったおっさんの顔面に蹴りが入った。おっさんは再び倒れた。おっさんの顔はへらへらしているのかもう分からなかった。
若い男はにやにやしていた。へらへらしていた。おっさんはぴくぴくしている。
私は傍観していた。
男は私には一瞥もくれず去って行った。実に地に足ついた足取りだった。
おっさんは瀕死のようだった。
倒れて居るおっさんの頭を思いっきり蹴り上げた。
おっさんは動かなくなった。
足が酷く痛んだ。
私は若い男の後を追った。
男はへらへらしていた。にやにやしていた。
男の顎を下から殴り上げた。男の舌が飛んだ。
目をひんむいたままその場に倒れこんだ男の後頭部を踏みつけた。男の眼球が飛んだ。
動かなくなった男を抱えておっさんの居た所にもどるとおっさんはまだ寝ていた。
男をおっさんの横にならべた。
ちゃんとしなきゃね
私は帰路についた。足が痛い。湿布を貼っておこう。そんなことを考えていた。
未来へ、未来へ