初任務
藍色の海が輝いているここはとある港。工場地帯が広がり輸送船がビッシリと港に定着していた。数知れない有名会社のコンテナ等が無数に建てられている。空には暗雲が掛かっており、昼を忘れさせるような暗さである。その工場地帯に一台の黒い車が走っていた。ドリフトをしながら、早々と走行している。助手席にいる男性は懸命にその運行に
耐えている。すると、目的の物を見つけた様に車は急ブレーキを掛けた。車体の半分が
中に浮いた。そしてガシャン、という音を立てて止まった。そして二人の男性が車から
出てきた。黒いスーツに身を包み金色のバッヂをつけている。相原と神崎である。神崎は演習場で貰った『サムライエッジシ』を握り相原は愛銃、『フォリッジウォーリア』を握っている。
フォーリッジウォーリアとは市街地での銃撃戦でのの戦いに最適な拳銃であり、
テロリストなどの潜伏している街などで軍隊がサブとして使用している。
そして、ガレージの横にあるドアへそっと近づき、安全装置を外す。そして、軽く耳打ちをした。
「神崎、良いか言った通りだ。焦るなよ。」
神崎は頷くと、銃を構えドアノブに手をかざした。そして腰に手をやり、『手榴弾』を
取り出した。手榴弾とは円形で緑色をした小型爆弾であり上のピンを取ると数秒後に爆発し、
突入などに最適なので有る。そして、ピンを外しガレージ内に投げ込んだ。手榴弾は中を舞い落下地点で
爆発した。爆発と同時に相原と神崎がガレージ内に突入その場で銃を構えた。
「警察だ銃を捨てろ!。」
中には数十人のテロリストが武装をしていた。相原達を鋭く睨み付け応戦を覚悟している。そして一人のテロリストがハンドガンの引き金を引いた。弾は外れシャッターに当たった。すると、神崎も発砲したテロリストに向かって威嚇射撃をした。そしてすぐさま
近くにあった木箱の裏に身を潜めた。
「先輩。応戦しますか。」
「あぁ。神崎、援護を頼む」
「了解しました。」
相原はフォリッジウォーリアをリロードすると、辺りを見渡すと向かいの木箱まで走った。 そして木箱に着くと神崎にGOのサインを出した。すると神崎がスッと身を木箱から出し、テロリストの脚を撃ち貫いた。テロリストが悲鳴を上げて転倒する。それを気に
相原も次々にテロリストを倒していく、すると一人のテロリストが大声を上げた。
「キング万歳」
相原は違和感を持たず銃撃戦に専念したが神崎は気になったため相原に聞いた。
「先輩、キングって誰なんですか?」
「きっと金城の事だろう、アイツはテロリストのカリスマだからな」
乗り出していた身を隠し相原は弾の補給をした。そしてリロードすると立ち上がった。
ーどんだけ敵はいるんだ。まさに蟻の大群だな。
すると、神崎の木箱が破損し、敵に神崎の位置が明白になった。直ぐに、神崎は前方にある木箱へ移ろうとしたが、奥の方にいたスナイパーに脚を撃たれてしまった。前方に倒れ撃たれた脚を引きずりながら目の前の木箱を目指す。すると神崎の目の前に、テロリストが一人前に現れた。そして神崎の顔面を蹴り飛ばし銃を向けた。テロリストはニヤリと
笑い引き金に手を掛けた。すると木箱に身を潜めていた相原がその隙を狙いテロリストの肩を撃った。血が大雑把に吹き飛び辺り一面血だらけになったがその隙に神崎はサムライエッジシをリロードし相手の顔面目掛け発砲した。みごとテロリストの胸に直撃。激痛の余りテロリストは気を失った。そのうちに神崎は全力を尽くして木箱に辿り着き、身を木箱に立て掛け弾を補給した。その直後だった。神崎が身を潜める木箱の上にサブ・マシンガンを持ったテロリストが現れた。
撃ち抜かれた脚の痺れで、正確に敵を判断できない。震える手でサムライエッジシを両手で支えるが標準は合っていない。撃ってみるが思うように的を絞れない。
脚の大量出血が神崎の視界を奪い始め目の前の物も見るのが危うい。決死の覚悟で、
腰に手をやり『閃光手榴弾』を取り出しだしたがピンを外し起爆まではもう間に合わない
ーここまでか・・・・・・
神崎が諦めかけたその時だった。テロリストの頭を一発の弾丸が貫いた。撃ったのは
敵の増援に対応していた相原だった。そして、そのまま押し寄せてくるテロリストを次々に討ち取っていった。神崎も体制を立て直し木箱を盾にして身を潜めた。相原が神崎の事を気にかけているが敵の増援は絶えず相原達を襲う。二人の銃口からは火花が絶えない。
自分を盾にしている木箱がもう持たないと判断した相原は神崎の居る木箱へ走ることを決意した。しかし、敵の戦力は厚く超えられたものではない。だがこのままの場所に居る訳にはいかない。危険を顧みず相原は銃声が止むのを静かに待った。銃声が止むとガレージ内は緊張感溢れる静かな空間となった。この機会を逃すまいと相原は前方の神崎の木箱へ
ダッシュした。神崎の木箱へは数多の木箱があるが相原は華麗な開脚で木箱を乗り越え神崎の木箱へ向かう。しかし、それに気づいたテロリスト達は相原を狙い撃ちし始めた。
鳴り止んだ銃声がまた始まり出した。相原は神崎を目前として木箱に身を潜めた。そして
銃声が止んだ途端に神崎の元へダッシュした。神崎が身を立て掛けている木箱に相原は到着すると相原は直ぐに神崎の脇を抱えて出口に向かった。ゆっくりと時間を掛けて安全に脱出しようとする相原に神崎は首を数回ほど横に振り相原の耳元で軽く話した。
「先輩、俺を置いて行ってください・・・・・囮ぐらいにはなりますよ・・・・・・」
軽く笑みを浮かべた神崎は自分から木箱に身を立て掛けた。そして出血している脚に
ハンカチを巻きつけた。そして弾をマガジンに補給した。狙い撃ちの姿勢を作る神崎を相原は力尽くで肩に腕を抱え歩きだした。そして、懸命に神崎を抱えながら軽く呟いた。
「まだ、任務は終わってない。これから俺たちがどうするかでこの任務が動くのだ。」
相原はそれを言ったきり無言で出口を目指した。すると爆発で真っ黒になっている
床が見え始め二人に歓喜が湧いてきたしかしその時だった。一人のテロリストが出口を
塞いでいた。ガッチリとした装備で防弾チョッキを着用していた。すぐさま二人は近くにあった物陰に身を潜めた。そして、神崎を静かに立て掛けた。相原の頬から一滴の汗が
流れ落ちた。相原に緊張と疲れが一気に圧し掛かる。そして陰からテロリストの出方を
窺った。
ー俺だけならともかく流石に神崎は・・・・・・・難しい
まさに絶対絶命である。その時だった遠くの方からサイレン音がしたのは。そして段々と音が大きくなっている。そしてサイレン音が鳴り止むとテロリスト達はざわめき、逃げ出した。
ーそうか、神崎が援軍を呼び付けたのか・・・・
一呼吸置いていると突入部隊がガレージのシャッターごと爆破し突入して来た。轟音がガレージに響く。逃げ惑うテロリスト達は突入部隊に次々に精密射撃で脚を撃たれその場に転げ倒れた。もがいて必死の抵抗をするものの簡単に確保されそのまま手錠付きの病院搬送になった。相原達も陰に居るのを隊員に見つけられ無事に確保され二人は一緒に病院に搬送された。搬送途中寝ている神崎に優しい笑みを見せた相原は神崎のブラウスの中に入っていた携帯電話を取った。そして、劣る様な動作で発信履歴を調べた。
あれ、相原は自分の目を疑った。何故なら神崎は今日1回も通話をしていなかったからである。
ーまさか・・・・!
言葉を無くしながら相原は病院へ搬送された。