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初任務前夜

  


「話がある・・・・・・」

 急な相原の言葉に神崎は軽く驚いた。相原の顔を見つめていると相原はドアに向かって

歩き出した。それを神崎も追った。相原は大して急いではいなかったが見失ってはいけないと神崎は出来るだけ相原に付き添った。相原は、デスクに一旦戻り浅倉に挨拶をして

そのまま帰りの支度を始めた。神崎も支度をして相原が支度を終了した間際に相原の前に

立ち尽くした。相原は頷きそのまま神崎と一緒に麻薬取締課の部屋を後にした。

 廊下を歩いていると相原の革鞄から透明のクリアファイルが突き出していた。神崎は気を使い相原にクリアファイルが出ていますよと言った。

それを聞いた相原は即座にクリアファイルを鞄に入れた。そして、神崎に警視庁の前に居ろという指示を出し駐車場に車を取りに行った。

神崎は警視庁を出て駐車場から出てくる相原を待った。

そして助手席に

乗り込みそのままいつもの所へ向かった。



   *  *  *  *


 警視庁から車で走って十分が経過した。相原の車はちょっと媚びれた商店街に着いた。

夕方時なので大いに商店街はにぎわっていた相原は近くのパーキングエリアに車を止めた。

駐車切符を受け取りそのまま真っ直ぐ歩いた。数分歩くと赤色の看板をした中華屋が見えてきたそしてそのまま中華屋の方へ歩いて行った。

中華屋に近くになるにつれて中華料理独特のニオイが道に溢れていた。仕事帰りでもあり二人の空腹は頂点に達しており、

目の前に中華屋が光った。すると相原がそこで止まり中華屋を見下ろした。

近くで見ると意外と古そうな店で看板もここ数年掃除していないみたいであった。 

しかし相原は店外にあるメニューを見ると神崎に入るぞ、と言いそのまま店へ入って行った。神崎も続いて入った。

入ると油で汚れた壁が全体に映し出されたがそこまで気にするほどの汚れではなかった。カウンター席に2,3人の男女がラーメンをすすっており、それ以外の客はいなかった。相原は入り口付近にあるレジの前に立ち店員が来るのを待っていた。

すると30代ぐらいの女性が相原を見つけ小走りでこちらへ来た。レジの前に立つと何かを見つめるような顔で二人を見た。

そしてパッとした表情で調理をしている男性を呼びつけた。

すると男性も小走りでこちらへやって来た。バンダナを外し金髪の髪が軽く揺れる。

そして今日相原達が来るように予想していた様に相原に話しかけた。

 「いらっしゃい、待ってましたよ。アニキ」

 男性は笑みを浮かべると神崎の方を見つめた。

 「ほぉこれが新しい新人さんかぁ~若いですね。」

 相原は一歩前に出て神崎を男性達に紹介した

 「そうだコイツが俺の部下の神崎だ。」

  二人の男女は納得し軽く頷いた。するとその二人も自己紹介をし始めた。

 「俺はこの中華屋の店主星野や。以後お見知りおきを。」

星野は軽く一礼をすると、女性の紹介に移った

「この子はここでアルバイトをしている近藤だ。」

  近藤は一礼をすると、そのまま料理を作りに行ってしまった。

 星野はそのまま残り話を続けた。

 「貴方がここに来るという事は、仕事関係で来たんですね。では個室に案内しますので付いて来てください。」

 そういうと星野は相原と神崎を連れ奥の方の塀で囲まれている席に案内した。

 何故かここの席だけが設備が良く油の汚れも少なかった。星野は流し台へ行き布巾を

熱湯に浸し、それで相原達の机を磨いた。そして、メモ帳を出し注文を聞いた。

相原はメニューも見ずうどん2つ、と言った。 星野はメモ帳にそれを書くとすぐさま

料理に掛かった。星野が行く所を見た相原は鞄からクリア・ファイルを取り出し中に入っていたを書類を机に載せた。

そして指で重要な所を指して神崎に教えた。

 「金城(かなしろ) 隆弘(たかひろ)麻薬密売及び連続殺人行為で指名手配ですか・・・・」

 黙々と書類に目を付けている神崎に相原はこう言った。

 「俺たちが始めて任務に付く最初の大物ターゲットだ。」

 「でも、まだ浅倉部長から指示が出ていませんし・・・・・・・・・」

 戸惑った表情を浮かべる神崎に相原は強く言い切った。

 「入って直ぐのお前に言うのもあれだが、警視庁内にはスパイが居る。」

 「・・・・・・・・!」

  体を裂くような相原の発言に神崎は言葉も出なかった。その様子は相原からも窺う事が出来た。                      「俺たちはスパイにこの情報が伝わる前になんとしても金城を捕まえなくてはならない」

 相原は握り拳を机に置き、言い放った。

 「明日任務開始だ。頼むぞ、相棒。」

 「ハイ!。」

 二人はガッチリと握手を交わした。すると、鰹節の利いたうどんが2つ運ばれてきた。

 「今日は俺の奢りだ。たらふく食え。」

 「ありがとうございます!」

 空腹だった腹を満たすためと明日の任務のため二人はうどんを汁の一滴も残さず食べつくした。

    

 

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