4.知り過ぎた者、冒険者になる
「ふむ、なるほど。これが認識標と言う奴か……」
自分の手にぶら下がった物を見る。
言ってしまえば形も役割もドッグタグの様な代物だな。
名前に所属ギルド。
階級を示す証。
「これをギルドに所属する人間一人一人に渡すとは手間のかかることを……」
俺はぶら下がった認識標の向こうに立っている受付嬢に目をやった。
「は、はいぃ……」
昨日の大立ち回りのせいだろう。受付嬢はおろか、周りの人間全員バツの悪そうな顔をしている。
まあ、そりゃそうだ……
俺も俺でどんなツラでここに居ればいいのか困ってる。
気まずい……
「これからはよろしく頼む」
「は、はぃぃ……」
受付嬢がおっかなびっくりと言った様子で御辞儀をしてみせる。
俺は周りを見渡しこちら眺めている者達にも声をかける。
「なにぶん無学無知な者だが、よろしく頼む」
取り敢えず頭を下げるが一様にして反応は良くない。
一様にして怪訝そうな顔を見せている。
見ると、俺の隣にいるエルフも微妙な顔をしている。
「おい、口を利いてくれるんじゃなかったのか?」
思わず彼女を小突く。
「いや、ははは…… 思ったより警戒されてるなぁ…… なんて……」
そう言うと彼女は満面苦笑いを浮かべた。
そんなもん浮かべんなよ、俺が浮いちゃってんじゃん。
お前だけは俺を満面の笑みで向かえ入れろよ……
「まあいい、取り敢えず当面の活動資金を稼がなくては、先ずは依頼だ依頼。薬草でもなんでも摘むぞ、依頼を寄越してくれ」
「薬草って…… それは新人がやる奴じゃん……」
エルフが呆れた様な表情を浮かべる。
「なにがおかしいのかな? 私は新人ですよ?」
エルフは一瞬呆れた様な表情を浮かべたが、直ぐにそれを引っ込めると真剣な表情を作って見せた。
「ええ、いいわ。細かいことは後々詰めて行くとしましょう」
そう言うと彼女は人差し指をピンと立てて見せた。
「先ずは依頼をこなしましょう。ちょっとした魔物の退治。私と一緒なら受けられるから、それをやりましょう。報酬は山分け。いいわね?」
「うん、願ってもない事だ。先輩の手腕を見せてもらおう」
「ええ、望むところよ!」
そう言うと、彼女は無い胸を張って見せた。
そうして俺達二人はギルドを後にし森へと姿を消したのだった……




